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伝えてつなぐ役割―BYAKU Narai

ページID:0026295 更新日:2022年9月30日更新 印刷ページ表示

宿泊施設「BYAKU Narai」
地域、木曽漆器、その魅力を伝えてつなぐ役割

宿泊施設「BYAKU Narai」

interview BYAKU Narai 支配人 高山 京平さん
伝えることで、それが物語になって広がっていく

高山 京平さん

木曽平沢と隣り合う町、奈良井宿には木曽漆器の心強い伝え手がいます。奈良井宿にある築約200年の酒蔵「杉の森酒造」と民宿を改修した宿泊施設「BYAKU Narai(ビャク ナライ)」。本市と株式会社竹中工務店は地域連携協定を締結し、歴史的建物活用まちづくり事業の一つとして、古民家を活用した新規観光拠点の整備を進めてきました。その中でオープンしたこの施設には宿泊棟や浴場、レストラン、酒蔵などがあり、複数の業態で構成しています。

地域に眠る百の物語を伝える施設

「地域に眠る百の物語をお客様に伝え、劇的な出会いを演出する場です」。施設についてこう語るのは、支配人を務める高山京平さん。奈良井宿を中心にこの土地ならではのさまざまな体験を提供し、宿泊客と地域とのつながりを生む場所を目指しているそうです。
そんなBYAKU Naraiには、壁を紙漆で設えた客室や、漆塗りのカウンターなど、利用者が触れられる場所に漆が施されており、滞在時間の中で漆を感じる体験を提供しています。また、宿泊客に提供する食事を盛り付ける器や、客室の中でくつろぐためのアイテム、コーヒードリッパーなどにも木曽漆器が使われています。「この奈良井宿の町並みとこの施設がお客様の心に自然と入っていくためには、木曽漆器は欠かせないものだと思っていて、実際にお客様に手に取っていただける機会をたくさん設けています」と高山さん。取材したこの日のディナー8品すべてが木曽漆器に盛り付けられていました。
漆器の魅力について高山さんは「職人さんの言葉を借りると、自然から生まれて自然に返るものということが一番の魅力だと思います。ここに職人さんが関わることでまったく違う顔を見せる漆器に生まれ変わるんですよね」。使っている木曽漆器は、一人の職人のものだけではなく、何人もの職人のものを使っているそう。その理由について高山さんは「作り手によってそれぞれの表現があると思うので、僕たちも使う食材が変わる中でいろんな表情を見せるために、器である漆器もたくさんの職人さんの力を借りています」。

背景にあるものや思いを伝えたい

施設で使用している木曽漆器については宿泊客の反応に合わせながら紹介しています。「その作品が作られた背景やどんな思いで作られたのかなど、そういうところをお客様に伝えたくて。きっとそこに物自体の価値や、お客様との接点になる付加価値があると思っているんです」と高山さん。実際にお客様が木曽漆器に興味を持ったり、気に入ったりして、直接木曽平沢の工房や店舗に出向いたりすることもあるそうで、宿泊客と木曽漆器や職人との橋渡しの役割を担っています。「ここでしか体験できない、知ることができない、そういったことをお客様に知っていただくことが、まず一つの物語だと思っているんです。今後その物語がお客様のご友人などの周りに伝わって何十にも何百にもなってほしいから、今後も伝えることを大切にしていきたいと思っています」。

奈良井と木曽平沢をつなぐ
奈良井宿・木曽平沢はし渡しプロジェクト

奈良井宿と木曽平沢は、旧中山道沿いの隣り合う町です。奈良井宿の宿泊客を木曽平沢に誘導し、木曽漆器に触れて、知ってもらうことを目的に木曽漆器青年部と奈良井宿の宿泊事業者が連携して、「奈良井宿・木曽平沢はし渡しプロジェクト」が昨年始まりました。

木曽漆器の箸がつなぐ「はし渡し」

奈良井宿を訪れる宿泊客とのコミュニケーションの中で、木曽漆器に興味を持った人に木曽ヒノキの特製漆塗り箸と交換できる引換券を渡すことで、木曽平沢の漆器店や工房を訪れるきっかけ作りをしています。

奈良井宿と木曽平沢の地域の人同士がつながる「中山道モーニングライド」

はし渡しプロジェクトをきっかけに、生まれた取り組みがあります。「地域の人同士」と「地域の人と外の人」の交流の場になることを目的に、地元の人や宿泊事業者がe-Bikeを使って宿泊客とともに奈良井から木曽平沢間(往復8kmのコース)を毎週日曜日に一緒に走っています。

interview BYAKU Narai 小澤 敏之さん
地元の人と宿泊のお客様、木曽平沢の職人をつなげたい

小澤 敏之さん

地元の人と宿泊のお客様、木曽平沢の職人さんたちをつなげることができないかと考えていた時に立ち上がったプロジェクトで、塩尻市観光協会の協力のもと、現在実証実験中です。私は地域の一員として、このサイクリングに毎週参加しています。活動を通じて、奈良井宿や木曽平沢での新しい過ごし方や、地域の人同士のつながり、地域の人と地域外から来た人の交流の場になればと思っています。