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高校生が聞く木曽漆器―職人×高校生

ページID:0026164 更新日:2022年9月29日更新 印刷ページ表示

高校生が聞く木曽漆器

触れてみて分かること

福島さん 私自身、木曽漆器に触れるのが今回初めてで、最初は昔ながらのもので今の若い人たちにはなじみにくいのかなと正直思っていました。でも、工房や職人さんの取材を通じて、色が鮮やかなものや、模様がきれいなものなど、皆さんいろいろと工夫をされていて、若い人たちにも親しみやすいものなんだということはすごく感じました。

石本さん 漆は歴史が長い分、時代をいくつも超えてきているので、その時々の人たちの目に合うものをみんなで努力して作ってきたから、こうして何百年も続いているんですよね。

木曽漆器を使っている福島さん

福島さん 「かしだしっき」を使ってみて、一番最初に思ったのはすごく軽くて扱いやすいということです。普段使うお皿を木曽漆器に変えるだけで、料理が華やかになり、また違う感じに見えるところが良かったです。

石本さん そう言ってもらえるとうれしいです。私も漆が大好きでこの仕事をしていますが、手触りや口触りが優しいんですよね。でも、その部分をどのように伝えていくのかが難しくて。生の温かみを知ってもらうためにも福島さんのような若い人たちに1回使ってみてもらいたいですよね。

知りたい木曽漆器のこと

福島さん 実際に使ってみて、お皿の扱い方が気になりました。

石本さん 電子レンジと食洗機が使えないことを除いては、普通の食器と同じように使ってもらって大丈夫です。高級なものだという意識から漆器を使うときは何か気を付けないといけないと思う人が多いんですよね。でも、怖がらずにどんどん使ってもらうとありがたいです。万が一、長いこと使って傷がついてしまっても、塗り直しができるのが漆器の魅力ですからね。

人にも環境にも優しい木曽漆器

福島さん その他の木曽漆器の魅力を教えてもらいたいです。

石本さん 木曽漆器の特徴として、小さなものから大きなものまで何でも塗れる職人の技術力と適応力が挙げられます。こうした技術は、最近では文化財の修復や陶器の金継ぎなどにも生かされています。また漆器は、漆をはじめ使用する材料も天然のものが多く、人にも環境にも優しいんです。漆は、使えば使うほど透明感が増し、つやが出たり、色が変化したりするんですよ。経年変化を楽しめるんです。物を大切に使う意識が高まりつつある今の時代に合っているのかなと思っています。

金継ぎ

人口減少。担い手不足の現状

福島さん 取材を通して、人手不足が問題になっていると聞きました。その他に産地での問題はありますか。

石本さん 一番の悩みは、人口の減少ですよね。特にこの地域は高齢化率が高く、人口減少も激しいんです。また、後継者不足も難しい状況が続いていますが、今はクラフト作家や漆に関心のある人々が気軽に入ってこられる環境を整えられれば産地にも活気が出るのではないかと思っています。あとは、生活様式の変化による漆離れも深刻ですね。福島さんの世代である、「Z世代」といわれる皆さんに好んでもらえるものを作っていかないと売れなくなってしまう。売れなくなるということは、木曽漆器の伝統が守れなくなるということです。福島さんはどんなものが「かわいい」とか「写真映え」すると思いますか。

福島さん 色が鮮やかだったり、グラデーションになっていたりするものを見ると、きれいだなと思いますね。でも、昔ながらのいわゆる木曽漆器らしいものも、それもまた良くて、失ってほしくないものですね。逆に私たち若者に期待することはありますか。

石本さんが漆塗りをする様子

石本さん まず木曽漆器を知らない人が多いと思うので、知ってもらって後世に伝えていってもらいたいです。木曽漆器は職人だけで作り上げるものではなく、作り手と使い手がいて、作られていくものですからね。

石本則男さんプロフィール

伝統工芸士(加飾部門)。昭和43年より漆工界に入り、産地内では沈金技法の第一人者。木曽漆器の普及PRのため、各地の講座などに出向き、自身の技術や知識を惜しみなく伝授するなど、産地振興と後継者育成に注力している。令和2年には、長年の功労が認められ、瑞宝単光章を受章。令和3年からは木曽漆器工業協同組合理事長を務める。

福島さんも使ってみた!木曽漆器のレンタル「かしだしっき」

木曽くらしの工芸館では、木曽漆器の新しい取り組みの一つとして木曽漆器をレンタルできる「かしだしっき」を行っています。1枚から貸し出しを行っていますので、この機会に漆器を食卓に取り入れてみるのはいかがでしょうか。バラエティ豊かなサイズの器を揃えています。
※料金などの詳細は、お問い合わせください。

申し込みおよび問い合わせ先

木曽くらしの工芸館
電話0264-34-3888