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「新しい、古いではなく、時代に合った感性が重要だと思っています」そう語るのは店主の手塚英明さん。2件目に訪れたのは、木曽漆器の伝統技術を守りつつも、カラフルでかわいい絵柄の漆器が並ぶちきりや手塚万右衛門商店。7代目店主の英明さんと、漆器に絵や模様を描く蒔絵師の希望さんの親子が高校生を迎えてくれました。
店舗内には江戸時代の漆器などを展示する資料館もあり、昔と今の漆器の違いを見ることができます。「漆の一滴は血の一滴」と言われるほど漆が貴重であることなど、高校生は英明さんから木曽漆器の歴史を学びます。
また、店舗内の作業スペースでは希望さんの蒔絵作業を見学しました。「漆器になじみのない若い人にも手に取ってほしくて、漆器のイメージとは少し違う色味を加えたり、絵柄を入れたりしています」と語る希望さん。希望さんが生み出すかわいらしい漆器に高校生の目がキラキラと輝きます。「歴史があるものをかわいいと思えることってすごいことだと思うんです」と馬場さん。自分の知らない世界を知って、さらに木曽漆器の世界に魅了されていました。
丸いフォルムとつやつやした感じ、かわいい絵柄がお気に入り。インテリアにも良さそう!
レトロなものでも、高校生の皆さんなどの若い人にとっては新鮮なものもあります。新しい古いということではなく、時代に合ったものを取り入れていきたいと思っています。また、これからは漆器にとらわれずにモノづくりの人が集まってクラフト村みたいなものができたら面白いですよね。新しい分野の人が集まって、新たな客層が増えて広がっていけばいいなと思います。
漆器や絵の勉強をしていたわけではなかったので、自分が木曽漆器を制作するとは思ってもいませんでした。何か作れたらいいなという気持ちで始めましたが、今はやればやるほど木曽漆器の魅力にはまっています。木曽漆器は高級品といったイメージがありますが、中にはインテリアとしてもかわいいと思ってもらえるものもあります。新しいイメージを持ってもらいたいです。
創業から約200年の歴史を受け継ぎ、7代目ちきりや万右衛門を継承した店主の英明さんと、蒔絵師で娘の希望さん。伝統を守りつつ、時代に合わせた新しい感覚を大切にする漆器作りで木曽漆器の発展に寄与している