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伊夜彦社は本殿以外の建物は更新されながらも、平出集落の鎮守としてふさわしい景観を維持してきました。本殿は、一間社流造、銅板葺、江戸時代後期の名工と謳われた立川流二代目和四郎富昌の作品で保存状態が良く、時代や流派の特徴を非常によく伝え、200年後の現在でも技の冴えが充分に感じられます。辰野町矢彦神社神楽殿や諏訪大社下社秋宮神楽殿のような大作も手がけた立川富昌ですが、小規模な本殿としては一種の標準作ともいえ、この時代の神社建築の動向を知る上でなくてはならないものです。