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入道焼は、片丘南熊井入道の田中五左衛門の登り窯で、幕末から大正期にかけて造られた焼物です。製品は飴釉(あめゆう)・鉄釉(てつゆう)・白釉(はくゆう)等の釉薬を帯びた甕・徳利・盃・兜鉢(かぶとばち)・摺鉢(すりばち)、その他多岐にわたる日用雑器が多く、大きな物では灯篭・水がめなどがあります。
用土は東山大崖付近の粘土を多く用いたが、広丘野村の土や豊科の白い石の粉も使っていました。毎年2回程度焼き、一時は相当量産もしており、明治10年(1877)には内国勧業博覧会へ出品、賞牌を受けています。
五左衛門一代で61年続いた入道焼は大正9年(1920)に窯を閉鎖しましたが、今も多くの家に所蔵・使用されています。片丘小学校の34点と本洗馬歴史の里資料館の14点が市有形文化財に指定されています。