本文
この古写経は、小県郡海禅寺・大宝寺等で書写されたものですが、のちに牛伏寺に移り、その後さらに常光寺に所蔵されるようになったものです。現存するものは南北朝時の写経本45冊です。「大方等大集経」14冊、「大乗大方等日蔵経」1冊、「大方広仏華厳経」13冊、「大般涅槃経」9冊、「魔訶般若波羅蜜経」8冊で、そのうち写経年号の記入されているものには、康応2年(1390)、明徳元年(1390)、明徳2年(1391)等でいずれも北朝の年号です。
巻末には慶長13年~14年(1608~1609)に牛伏寺憲康法印によって識語を加えられたものが17冊あります。
写経年代が古いうえに写経者、場所等が明記されていること、識語が記入されていることなど歴史資料としても価値の高いものとなっています。
識語:本文のあと、または前に、書写・入手の由来や年月などを記したもの。特に、後人の書き加えたものをいう。