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常光寺の木造如意輪観音坐像は片丘北熊井の常光寺の本尊で、像高84.5cm、寄木造、漆箔(しっぱく)の坐像です。
顔をやや右に傾け、右膝を立て左膝を折ってすわり、右の第一手は軽く握って頬に触れ、第二手は胸前にて如意宝珠を捧げ、第三手は右膝の外側に伸ばし念珠を持つ形をしています。左の第一手は左膝の外側に伸ばし地に触れる触地印を結び、第二手は胸前に蓮華を捧げ、第三手は肘を折って掌をひろげて法輪を持つ形をしており、これは如意輪観音の基本的な形を表しています。
製作年代は鎌倉時代中期ごろと推定され、端正優美な顔の表現や、衣文(えもん)の彫りの強さなどに鎌倉時代の特色がみられます。寺伝の記録によると、享保13年(1728)に寺僧運澄が京都嵯峨の法輪寺から懇望して常光寺に移されたものといいます。