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身体障害を知る
身体障害者福祉法にて、「身体障害」は、身体の機能に障害があって、身体障害者手帳を交付された18歳以上の方と定義されています。
※18歳未満の方は児童福祉法に位置づけられます。児童福祉法では「身体に障害がある18歳未満」を「身体障害」と定義されています。
主な身体障害の種類
肢体不自由
- 上肢、下肢、体幹に障害があり、具体的には、握る・なでる・摘むといったような手指の機能障害、歩く・登る・座るといったような下肢の機能障害、運動機能などに障害があって、日常生活の動作へ支障がでている状態です。身体障害者等級(手帳)は1級~7級で分類されます。
【肢体不自由の症状】
肢体不自由の症状として、「軽度の障害」と呼ばれるものだと日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度で足関節の場合は30度を超えないもの。)の状態をいいます。「機能の著しい障害」ですと、各々の部位で関節可動域が日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度)のほぼ30%(概ね30度以下)のものをいいます。さらに「全廃」の状態だと関節可動域が10度以内のものをいいます。
※ただしこの数値は、機能障害の一面を表したものであるので、その判定に当たっては、その機能障害全般を総合したうえで定めなければならない。とされています。
【こんなことに困っています】
- 物理的な部分での困りごと
十分なスペースがなかったり、ちょっとした段差や障害物があるために、移動することができないことがあります。また高いところは見えにくいうえ手が届きにくく、床の物は拾いにくく、困難です。 ATMや自動販売機など、正面から向き合うと、足が入らずに使いにくいです。十分なスペースが設けられているトイレなども多くはなく、健常者が利用し本当に必要としている方が利用できない場合も往々にあります。
【こんなサポートが嬉しいです】
- まずは声をかけてください
人により必要なサポートは違います。「何かお手伝いしましょうか?」などのお声がけがあると必要なサポートが必要か否か、どんなサポートが必要かが明確になります。また、車いすを介助する場合、急な発進や方向転換は非常に危険で事故の元です。必ず一声お声がけください。
視覚障害
- 視覚障害とは、視力や視野などに障害があって、目が見えにくい・見えない状態です。身体障害者等級(手帳)は1級~6級に分類されます。
【視覚障害の症状】
視覚障害には全盲、弱視、視野狭窄(見える範囲が限定 されている)などがあり、形の識別、明るさや暗さへの対応、文字の読み速度、コントラストの差が低い色の識別に困難が生じます。「見えにくさ」はさまざまで、複数の「見えにくさ」をもっていることがあります。
【こんなことに困っています】
- 認識がしづらい
人の顔が見えづらく個人を判別しにくかったり、お金や値札が見づらかったりするため、判断に困るまたは判断ができないことがあります。また、信号機や案内表示、階段等の境が分かりづらく、危険が伴います。必要な情報を必要なときに受け取れないこともあります。 - 点字ブロック等には障害物を置かないで
視覚障がいがある方の中には、白杖を使用し視覚障害者誘導用ブロックを頼りに移動する方もいます。点字ブロックの上に自転車などの障害物が置かれるとぶつかってしまったり事故の原因となり非常に危険です。 - 盲導犬にはむやみに触らないで
盲導犬は主人を危険から守るために一生懸命仕事をしています。むやみに触ったりすると集中ができず、行動が制限されとても危険です。温かな目で見守ってください。どうしても触りたい場合は正面から声をかけるようにしてください。
【こんなサポートが嬉しいです】
- 困っている様子を見かけたら声をかけてください
見て見ぬふりはせず、どんな手助けが必要か尋ねてみましょう。手助けを必要としていなくても、善意は伝わります。 - できるだけ正面から声をかけてください
横や後ろから声をかけられると、進行方向がわからな分からなくなってしまったり、声かけに気づかない場合があります。できるだけ正面から声をかけたり、肩を叩くようにしましょう。お知り合いの場合は、相手の名前を呼び、自分を名乗るようにしてください。しばらく会っていなかった場合は、前にどこで会ったかなど、理解の助けになるような情報提供を心がけましょう。
聴覚障害
- 音が聞こえない、または聞こえにくい状態をいいます。 病気、事故などで生じる場合や、生まれつきの場合、加齢による場合などがあります。 身体障害者等級(手帳)は1級~6級に分類されます。
【聴覚障害の症状】
聴覚障害は、障害部位で、伝音難聴、感音難聴とこの両方がある混合難聴に分けられます。 伝音系は、耳介、外耳道、鼓膜、中耳の部分で、内耳から脳の聞こえの中枢までが感音系です。主な症状としては、
- 音は聞こえているが、何を話しているか分からない。話し声が明瞭に聞き取れず、こもったような音として認識される。
- 大勢の人の中や、雑音がする環境では会話が困難。
- 時計のアラームなど高い音が聞き取りにくい。
などがあります。また、音がまったく聴こえなくなってしまうこともあります。
こうした症状によって会話がうまく成り立たず、コミュニケーションに支障をきたしたり、自分の気持ちがうまく伝わらないという思いから、心理的なストレスを感じたりすることもあります。
また、先天性の聴覚障害の場合、発語に必要な【言葉を音として認識すること】ができないため、発語にも支障をきたすことがあります。
【こんなことに困っています】
- 人との会話に困る
補聴器を使用している方と話す際には、ゆっくりと、文節で区切って話しましょう。相手の顔を見ながらはっきりと話すことと、周囲の雑音を少なくするということも意識しましょう。 - 声を大きくすればいいというわけではありません
音を感じる器官(内耳)に障害がある方も多く、声を大きくしても聞き取れない場合があります。聴覚障害があるからと、やみくもに大声で話すのは避けてください。 - 複数の人が同時に話すと、会話についていけない
読話(口話)をする人や、1人対1人のときは音声で会話ができる人でも、複数の人に同時に話されてしまうと、言葉の聞き取りや読み取りが非常に難しくなります。会議や交流会など、複数の人が話す場では、できるだけ一人ずつ発言しましょう。
手話通訳者がいるときでも、一人ずつ発言すると通訳がしやすくなり、情報が伝わりやすくなります。
【こんなサポートが嬉しいです】
- その人に合ったサポートを
コミュニケーションは、手話、筆談、音声での方法があります。スマートフォンや携帯電話は多くの人が持っています。そういうものを使ったコミュニケーションを心がけましょう。 - 手話も言語です
塩尻市では、令和4年4月に【塩尻市手話言語条例】が制定されました。手話も言語のひとつとして、簡単な手話から学んでみませんか?
表紙 [PDFファイル/103KB] 2ページ [PDFファイル/389KB]
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音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害
音声機能、言語機能の障がいとは、「話す」「聞く」「読む」「書く」などコミュニケーションにかかわる障がいのことです。音声機能障害の主な原因は、無喉頭やがんなどによる喉頭の摘出手術や発声筋麻痺、口唇裂や口蓋裂などの先天的な形状異常などがあげられます。
言語機能障がいの主な原因は、ろうあ、失語症などです。次に、そしゃく機能の障がいとは、口から食べたり飲んだりすることが難しいため、経管栄養以外に方法がない状態を指します。原因として、重症筋無力症などの神経・筋疾患や延髄機能障害、外傷、腫瘍切除による顎、口腔、咽頭、喉頭の欠損などがあげられます。
身体障害者等級(手帳)は、それぞれの障がいの程度により3級または4級が設定されています。
内部障害
内部障害とは、体の内部に障がいがある状態のことをいい、身体障害者福祉法で定められた次の7つの障がいを指します。
- 心臓機能障害
- じん臓機能障害
- 呼吸器機能障害
- ぼうこう又は直腸の機能障害
- 小腸機能障害
- ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
- 肝臓機能障害
内部障害の認定基準は、それぞれの障がいによって日常生活にどの程度制限を受けるかにより判定されます。
【こんなことに困っています】
- 外見では分かりにくい
周りから理解されにくいため、電車やバスの優先席に座りにくいなど、心理的ストレスを受けやすい状況にあります。 - 体力の低下
障害のある臓器だけでなく、全身状態が低下しているため、体力が低下し、とても疲れやすいです。 重い荷物を持ったり、長時間立っているなどの身体的負担を伴う行動が制限されてしまいます。
【こんなサポートが嬉しいです】
- 風邪をひいている時は特に注意をしてください
内部障害によって体力、免疫力ともに低い状態です。もしあなたが風邪をひいている時や体調が悪い時は、移さないよう細心の注意を払ってください。 - 席を譲ってください
上記のとおり、重い荷物を持ったり、長時間立っていることはとても負担があります。電車やバスで気付いたら、席をお譲りください。
最後に
身体障害は『見て分かる障害』と『見えない障害』に分かれます。困っている様子の人がいたら、障害の有無にとらわれず、声をかけてみませんか?その一言が救いになり、お互いの心の充実につながるはずです。また、中には【ヘルプマーク】というものを付けている方もいます。ヘルプマークとは、援助や配慮を必要としている人が身に着けています。もし街中などで見かけたら、必要に応じて声かけなどをしていただけると幸いです。