本文
意見書(平成20年6月定例会)
意見書(平成20年6月定例会)について記載しています。
平成20年6月定例会では、4件の意見書が可決され、それぞれ関係行政省庁へ提出しました。
携帯電話リサイクルの推進を求める意見書
レアメタルを含む非鉄金属はわが国の産業競争力の要とも言われており、その安定確保はわが国の産業にとって重要な課題である。近年、国際価格の高騰や資源獲得競争の激化により、その確保に懸念が生じています。
貴重な鉱物資源をめぐるこのような状況を受け、資源エネルギー庁に設置された「資源戦略研究会」が平成18年にとりまとめた報告書「非鉄金属資源の安定供給確保に向けた戦略」では、使用済み製品に使われたレアメタルの再利用推進が重視されています。なかでも普及台数が1億台を超えている携帯電話には、リチウム、希土類、インジウム、金、銀などが含まれており、これらを含んだ使用済みの携帯電話は他のレアメタルなどを含む使用済み製品とともに「都市鉱山」として、適切な処理と有用資源の回収が期待されています。
しかし、使用済み携帯電話の回収実績は2000年の約1,362万台をピークに減少傾向が続いており、2006年には約662万台に半減しています。回収率向上のための課題として、携帯電話ユーザーへのリサイクル方法の情報提供、携帯電話のリサイクル活動を行うMRN(モバイル・リサイクル・ネットワーク)の認知度向上、ACアダプター等の充電器を標準化することによる省資源化などが指摘されています。
そこで、政府に対して、使用済みの携帯電話の適正な処理とレアメタル等の有用な資源の回収促進を図るため、次の事項について早急な対策を講じるよう強く要望します。
- 携帯電話の買い換え・解約時においてユーザーに対して販売員からリサイクルの情報提供を行うことを定める等、携帯電話の回収促進のために必要な法整備を行うこと。
- 携帯電話ユーザーに対する啓発、携帯電話回収促進につながる企業・団体の取り組みを支援する施策を行うこと。
- ACアダプター等充電器の標準化や取り扱い説明書の簡略化等による省資源化を実現すること。
- レアメタルなどの高度なリサイクル技術の開発に加え、循環利用のための社会システムの確立を目指すこと。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
平成20年6月19日
塩尻市議会
<提出先>内閣総理大臣、総務大臣、経済産業大臣、環境大臣
子宮頸がん予防ワクチンに関する意見書
女性のがんである子宮頸がんの死亡率は高く、毎年約8,000人が子宮頸がんと診断され、約2,500人が亡くなっています。
子宮頸がんには、他のがんにない特徴があります。一つは、発症年齢が低いということです。子宮頸がんの発症年齢層のピークは年々低年齢化しており、1978年ごろは50歳以降だったのに対し、1998年には30歳代になり、20歳代、30歳代の若い女性の子宮頸がんが急増しています。
もう一つは、子宮頸がんの原因のほとんどが、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染であるということです。8割近くの女性が一生のうちにHPVに感染するものの感染した女性がすべて発症するわけではなく、持続感染により子宮頸がんが発症するといわれています。このHPV感染を予防するワクチンの研究開発が進み、2006年6月に米国をはじめ80カ国以上の国で承認されています。つまり、子宮頸がんは「予防可能ながん」ということになります。
しかし、まだ日本ではこの予防ワクチンが承認されておりません。わが国においても予防ワクチンへの期待は高まっています。
よって政府におかれては、子宮頸がんの予防・早期発見のための取り組みを推進するため、次の項目について早急に実現するよう強く要望いたします。
- 子宮頸がん予防ワクチンの早期承認に向けた審査をすすめること。
- 女性の一生においてHPV感染の可能性が高いこと、また予防可能ながんであることをかんがみ、予防ワクチンが承認された後は、その推進を図るために接種への助成を行うこと。
- 日本におけるワクチンの開発、製造、接種のあり方に関して、世界の動向等も考慮し検討を進め、必要な対応を行うこと。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
平成20年6月19日
塩尻市議会
<提出先>内閣総理大臣、厚生労働大臣
「義務教育費国庫負担制度」の堅持に関する意見書
今日ある教育的諸課題の解決を思うとき、義務教育費国庫負担制度を堅持することは、国民全体の切なる願いです。
しかし、義務教育費国庫負担制度については、昭和60年度予算において、旅費・教材費が除外されて以来、平成元年度までに、恩給費の除外・地方交付税不交付団体への退職手当の補助率の大幅削減・共済費追加費用の負担率の引き下げが行われました。平成5年度には、共済費追加費用が一般財源化され、平成6年度には、私立高校以下の私学助成費の大幅削減、教科書無償制度の見直し等が財政制度審議会で検討対象とされました。平成16年度には退職手当と児童手当が一般財源化され、平成17年秋には、現状を維持するべきだという中央教育審議会の答申が出されたにもかかわらず、国庫負担率が二分の一から三分の一へ引き下げられました。
また、平成21年度予算編成においても、国庫負担率の更なる削減や義務教育費国庫負担制度そのものの見直しを検討課題にすることが危惧されます。
よって、義務教育の水準の維持と機会均等及び地方財政の安定を図るため、義務教育費国庫負担制度の堅持と国庫負担率二分の一への復元を強く要望します。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
平成20年6月19日
塩尻市議会
<提出先>内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣
国営事業の存続に関する意見書
農業農村整備事業、とりわけ大規模で高度な技術性・公共性を有し、その整備に相当額の投資が必要となる頭首工、幹線水路等の基幹的施設の整備を行う国営事業については、食料の安定供給や国土保全に係る国の施策目標を達成するうえで、欠かすことのできない最も根幹的な重要事業であります。
ここ中信平地域においてもその時々のニーズに基づき、国営事業により頭首工、幹線水路等の用水施設の整備により、水田は長野県下でもトップクラスの穀倉地帯に変貌するとともに、標高700m前後の畑地帯では地形条件を生かして、レタス、スイカ、ながいも、りんごなど新たな作物が導入され、ブランド化されるなど、地域農業の発展に大きな役割を果たしてきたことは論をまたないものであります。
また、本地域が今後とも日本の食糧供給基地として持続的な発展を遂げていく上で、農業の基盤であるこれらの基幹的な農業施設を適時適切に更新していくことが不可欠でありますが、この更新事業の実施については、水利権の更新や変更協議、利水管理等の調整など個々の地方公共団体の守備範囲を超えた広域的な対応を伴うとともに、大規模災害の未然防止等国土保全、食料の安定供給、食料の安全保障に資するなど、その便益が広く国民に及ぶものであり、今後も国に責任を持って着実に推進してもらう必要があります。
一方、地方分権改革推進委員会の「地方分権改革推進に当たっての基本的な考え方」において、国の地方支部局等の廃止・縮小の方針が示され、同委員会は地方分権改革の重要課題として国の地方支部局の整理に取り組む姿勢を明確に打ち出しまた。その中で、国営事業の業務を地方に移譲し、廃止する方針が示されました。
しかし、このような地方農政局の事務を地方に移譲し、廃止する方針は地方分権を名目にした三位一体改革と同様、地方の切り捨てであり、本来、国が重点的に担うべき役割までも全て地方に押しつけ、国による責任ある対応を自ら放棄するにも等しく、都市と地方の格差をより一層拡大させるものであります。
よって国営事業の実施については、全国的な視点に立って、国が本来重点的に
担うべき役割であることから、引き続き地方農政局を通じて、国営事業の一層の推進を図ることを強く要望します。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
平成20年6月19日
塩尻市議会
<提出先>衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、経済財政政策担当大臣、内閣官房長官、長野県知事、地方分権改革推進委員会委員長