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精神障害を知る

ページID:0045987 更新日:2024年9月1日更新 印刷ページ表示
 精神障害とは、何らかの脳の器質的変化あるいは機能的障害が起こり、さまざまな精神症状、身体症状、行動の変化が見られる状態です。風邪をひいて熱が出たり、アレルギーで湿疹がでるのと同じで、脳内で生物学的な変化が起こって、一連の症状が引き起こされているものですので、けっして特別視することはありません。しかし、症状の変化に患者さん自身でも気づかないことがあったり、見た目では分かりにくいため、状態についての周囲の理解を得るのが難しいこともあります。障害の症状からくる強い倦怠感や、喪失感から活動ができないとこがありますが、周囲からは怠けていると判断されてしまい、辛い思いをしている方も多くいます。
 精神障害者等級(手帳)は1級~3級で分類されます。

代表的な特性

統合失調症

  • 発症の原因はよく分かっていませんが、100人に1人弱がかかる、比較的一般的な病気です。
  • 「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状ですが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られています。
 
  陽性症状
幻覚 実態がなく他人には認識できないが、本人には感じ取れる感覚のこと。なかでも、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い。
妄想 明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのこと。誰かにいやがらせをされているという被害妄想、周囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想などがある。
 
陰性症状
意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる。(喜怒哀楽などの感情表現が乏しくなる)
疲れやすく集中力が保てず、人づきあいを避け引きこもりがちになる。
入浴や着替えなど清潔を保つことが苦手となる。
 
認知や行動の障害
物事の正常な判断ができなくなる。
考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる。
相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない。

【配慮のポイント】

  • 病気のことを理解する
    統合失調症の治療には、家族を中心とした周りの方の理解とサポートが必要不可欠です。改善するまでには長い期間を要するケースが多い上に、繊細なコミュニケーションが求められます。そのため、周りの方が病気のことを理解する必要があり、その理解が本人の安心につながります。
  • どのような事で辛い思いをしているかを知る
    「誰かが自分の悪口を言っている」「常に監視されている」などの思い込みから、周囲に対して疑心暗鬼になり、人間不信に陥っているケースが多く見られます。認知機能障害のため、何をしようとしていたのか分からなくなったり、本来やるべきことを忘れてしまったりといった症状によって、日常生活に支障をきたすこともあります。周囲は本人がどのような状態なのかを把握し、どのようなサポートが必要か意識しながら寄り添ってあげましょう。

 治療や社会復帰を焦らせるようなサポートはかえってプレッシャーになることもあります。本人の意思を尊重し、見守りと励ましをお願いします。

 

気分障害

  • 気分の波が主な症状として表れる病気。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼びます。
  • うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状があります。
  • 躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりします。その一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりすることもあります。

【配慮のポイント】​

  • 専門家の診察の上で、家族や本人、周囲の人が病気について理解する
    薬物療法が主な治療法になるため、内服を続けることがとても大切です。専門的な診察のうえ周囲の人の理解があれば、比較的気持ちよく過ごせます。
  • 症状の観察
    うつ状態のときは無理をさせず、しっかりと休養を取れるような配慮、躁状態のときは金銭の管理、安全の管理を心がけ、対応が難しい場合は専門家に相談を。

 自分を傷つけてしまったり、自殺に至ったりすることもあるため、自殺などを疑わせるような言動があった場合には、本人の安全に配慮した上で、速やかに専門家に相談するよう本人や家族等に促してください。

てんかん

  • 何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きます。
  • 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがあります。

【配慮のポイント】

  • 病気への理解
    誰もがかかる可能性がある病気であり、専門家の指導の下に内服治療を行うことで、多くの者が一般的な生活が送れます。発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコントロールされている場合は、過剰に活動を制限する必要はありません。
  • 発作への対応
    突然、発作が起こる可能性があります。その場合は周囲の安全の確保をし、横にさせ、救急車を呼ぶ等、専門機関に相談してください。

依存症

  • 適度な依存を逸脱し、その行為を繰り返さないと満足できない状態となり、自らの力では止めることができなくなった結果、心身に障害が生じたり家庭生活や社会生活に支障をきたします。代表的な依存の対象として、アルコール、薬物およびギャンブル等があります。

【配慮のポイント】

  • 治療が必要とする病気だと理解する
    本人に病識がなく、依存症は治療を必要とする病気であるということを、本人・家族・周囲が理解しましょう。本人だけではなく、場合によっては家族も病識が無い場合があります。また、他者からの非難などの厳しい現実から逃れるために、さらに依存が強まるという可能性があるため、家族も同伴の上で、依存症の専門家に相談しましょう。
  • 根気強い見守りを
    一度依存対象を断っても、再度依存してしまうことがあるため、根気強く本人を見守り寄り添ってください。

高次脳機能障害

  • 高次脳機能障害とは、交通事故などによる脳外傷、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎・低酸素脳症などの病気が原因で、脳が部分的に損傷を受けたためにおこる障害です。高次脳機能障害の症状には、何度も同じ事を話したり質問したりする「記憶障害」、気が散りやすく、仕事上でのミスが多くなる「注意障害」、感情のコントロールができない「感情障害」のような様々な症状があり、日常生活にさまざまな困難が生じます。外見から障害があることが分かりづらいため、周囲から誤解を受けたり、本人や家族の負担が大きなものになっています。

【配慮のポイント】

  • それぞれの症状にあった対応を
    例えば、記憶障害に対しては手帳やメモ、アラームを利用したり、ルートマップを持ち歩いてもらったりなどをし、手がかりとなるものを用意しましょう。注意障害に対しては、こまめに休憩をとりながらひとつずつ順番にやるなど、ペース配分の配慮も効果的です。
  • クールダウンも必要です
    どうしても感情のコントロールがうまくいかないことがあります。その際には、話題を変えたり、静かな場所に案内したりとクールダウンできるような場を提供しましょう。

最後に

精神障害は『見えない障害』のひとつです。周りの人は【症状は障害からくるもの】と気づかず、無意識な差別をしている可能性があり、人知れず苦しい思いや体験をし、生きづらさを感じている当事者は多く存在します。多くの障害特性に対して該当することですが、まずは【病気の症状であること、誰にでもかかりうる病気であること】を知っていただき、障害の有無に関わらず誰もが過ごしやすい塩尻市の実現へ向けて一歩踏み出しましょう。