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知的障害を知る
知的障害の程度は『最重度・重度・中度・軽度』の4段階に分類することが多いです。
発達期を過ぎ、成人した段階において、知能の発達段階がおよそ3歳程度以下の人を最重度、発達段階がおよそ3~5月5日歳程度の人を重度、発達段階がおよそ5月5日~8歳程度の人を中度、発達段階がおよそ8~11歳程度の人を軽度とみなしています。
様々な障がい特性
同じ障害でも、人それぞれ性格が違うように、人それぞれに特性があります。一見不思議なあの言動は、障がい特性からくるものであり、本人は苦しんでいるかもしれません。
ここでは、主な特性を4つ紹介させていただきます。
(1)『大声を出す』
自分の声量を調整するのが難しい場合があります。嬉しいときや楽しいときや、不安などを感じたときに感覚が敏感になって耳をふさいだり、自分の声で落ち着こうとしていることもあります。大きい声を出して意地悪しようとしているわけではありません。皆さんが深呼吸するのと一緒で、落ち着こうとしています。
(2)『落ち着く場所・物がある』
障害特性のひとつとして、急な予定の変更がとても苦手な場合があります。また、いつも有るものがなくなったり、いつも通りじゃないととても不安になり、取り乱してしまいます。
いつもの場所やお気に入りの場所、物はとても安心です。一見、おかしなところに座ったり、価値がないように思えるものを大事にしていたり、違和感があるかもしれませんが、それは心を落ち着かせるためです。皆さんにも安心できる場所や物、ありますよね。
(3)『独り言』
嬉しくて独り言で趣味の世界を楽しんだり、出来事を繰り返し思い浮かべ、気持ちの整理をしていることもあります。同じことを繰り返し話すことも多く、不安な気持ちの表れです。不思議に思うかもしれませんが、不安や緊張を落ち着かせるために無意識に行っていることです。温かく見守ってください。
(4)『バタバタ・キョロキョロ』
場所を選ばず、飛び跳ねたり、何かを触ってみたり、何度も周りを見渡したり、無意識に何かをじーっと見つめることもあります。また、様々な人に話かけ確認をしようとすることもあります。これらの言動は、嬉しい出来事や悲しい出来事により気持ちが昂ったり、何かが気になってしょうがない時に多くみられます。身体を動かしたり、人に確認することにより、気持ちを落ち着かせたり不安を解消しようとしています。
温かく見守ってください
知的障がいの特性として、自分の思いを言葉にして上手く伝えられないという特徴があります。また、周りからの視線を被害的にとらえてしまい、不安定になってしまうことも多くあります。言葉での表現は難しいため、行動やしぐさで表現し、伝わらないもどかしさから不安が強くなります。
そして、日々の生活を送る中、冷ややかな目で見られたり、気味悪がられたり、無視をされたり、日々つらい経験をされ生きづらさを感じている知的障がい者の方がたくさんいるのが現状です。
こういった現状の中、まずは『知的障がいを知る』ことから始めてみてはいかがでしょうか。障がい特性を知れば一見不思議なあの行動も、きっと違う目線で見ることができ、理解につながります。その目線・理解だけでも、その人の落ち着きにつながります。声をかけ、手を差し伸べることもとても大事なことではありますが、『見守り』もすごく大事です。まずは障がいを知り、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
知的障害の原因
生理的原因
先天的原因
後天的原因
生まれた後に罹った日本脳炎やポリオ、麻疹、百日咳などが重篤化して、脳炎になることで知的障害を引き起こす場合があります。こういった感染症などは、予防接種をすることである程度感染の可能性を下げることもできます。
また、事故や怪我などで頭に外傷を負ったことで、脳機能に影響が出て知的障害に繋がることや、乳幼児期の栄養失調などの成長環境が知的障害の原因となることもあります。
遺伝的原因
親が知的障害の素因を持っていても、子どもに必ず遺伝するわけではなく、遺伝したとして発現するとも限りません。
実際、遺伝性疾患のほとんどは正常な遺伝子や染色体が突現変異して生じるものであり、誰にでも起こり得ることといえます。