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重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されて、20年がたつ木曾平沢。歴史的な価値が高いと認められている木曾平沢の町並みや産業「木曽漆器」、重伝建を将来に守り継いでいく人々の思いをお伝えします。
問い合わせ 文化財課 電話0263-52-0280 内線3134
木曾平沢は、慶長3(1598)年に奈良井川の左岸にあった道が右岸に付け替えられたことを契機に、周辺で生活していた人が道沿いに居住し、集落が形成されていったと考えられています。この道は、徳川幕府により中山道の一部として整備されたものです。
近世には奈良井宿の発展を支えた隣接する分村として、漆器などの生産で生計を立ててきました。明治期以降、技術革新により成長し、現在でも日本有数の漆器生産地としての地位を維持しています。
重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の範囲は、奈良井川右岸の河岸段丘の低位面に広がる集落と北にある諏訪神社を含んだ地域です。中央を本通りである中山道が南北に縦断し、西側に並行して金西町(きんさいちょう)の街路があります。
本通りと金西町の街路に沿って形成された町並みは、それぞれ異なった景観を見せています。本通りは道の両側で漆器の店舗を持つ主屋が多く見られ、金西町の街路は漆器職人の住まいが建ち並ぶ景観になっています。店舗が並ぶ本通りと職人町としての金西町の街路が一体となり、漆器生産から販売までを行う「漆工町」としての町並みになっています。
平成15年2月に平沢町並み保存推進委員会が組織され、伝統的建造物に関する学習会や先進地視察などを実施。住民と行政の協働の成果として、文化庁の指導を受けながら15年6月から2年かけて、奈良文化財研究所による調査が実現しました。この調査報告で、木曾平沢の漆工に立脚した文化財としての町並みの特性が明らかにされ、保存と利活用について提言されました。
その後、住民の合意を得たことで、市教育委員会は、保存地区と保存整備に関する基本方針となる保存計画を決定。文化庁へ重伝建選定の申出を行い、18年7月5日に木曾平沢は重伝建に選定されました。
選定により、町並み保存に向けた地域の活動が活発になり、この活動が地域の人を束ねる重要な役割を担っています。選定から20年。地域の人は、暮らしと町並みを後世に残すため重伝建の町を守るという思いの下、この町で暮らしています。
伝統的な町並みが色濃く残る伝統的建造物群保存地区のうち、特に価値が高いものを国が重要伝統的建造物群保存地区に選定します。現在では全国で129地区が選定されています。
保存地区では、景観を良好に保つため、建物の現状変更に基準を設け、国の補助制度を活用して地区の個性を伝えています。
平成15(2003)年
平沢町並み保存準備会を設立(後に、平沢町並み保存推進委員会に改組)
奈良文化財研究所による伝統的建造物群保存対策調査(平成16年まで)
平成17(2005)年
楢川村と塩尻市が合併
保存地区と保存整備に関する基本方針となる保存計画を決定
平成18(2006)年
木曾平沢町並み保存会を設立
重要伝統的建造物群保存地区に選定(7月5日)
平成19(2007)年
修理・修景事業開始(令和7年度末までに69件実施)
平成24(2012)年
街なみ環境整備事業(街路、看板、公園などの整備)(平成29年まで)
平成25(2013)年
防災設備整備事業(消火栓、ホース格納箱、防火水槽の整備)(平成27年まで)
平成28(2016)年
重伝建選定10周年記念式典
令和8(2026)年
重伝建選定20年
保存地区の範囲 東西約200m、南北約850m、面積約12.5ha
至松本 国道19号 JR木曽平沢駅 至中津川
諏訪神社 表紙の撮影場所 本通り(中山道) 金西町
中山道が部分的に湾曲しているため、地割が街路と直角ではなく自然と建物が雁行して建ち、側面が連続して見えます。建物は敷地間口いっぱいに建て、南側に通り土間を配し、敷地奥の塗蔵への通路とすることがほとんどです。
「写真」街路に面してアガモチと称する空き地を取って主屋を建てています。
「イラスト」中庭を介して漆塗りの作業場である塗蔵(大谷石蔵)を配し、その奥に離れや土蔵などがあります。主屋は表からミセ、オカッテ、ザシキが一列に並ぶことを基本としています。
長い年月をかけて育まれてきた、木曾平沢の伝統的な町並み。この風景は、地域の人々の営みによって守られ、今日へと受け継がれています。町並み保存会から、木曽漆器産業を支える職人、地域の長、そして未来を担う小学生まで。それぞれの立場から見つめる町のことを聞きました。
町のみんなが顔見知りなので、学校から帰ってくると「おかえり」と声を掛けてくれます。私が通っている楢川小中学校は小中一貫校で、小学生も中学生も一緒に下校することが多く、学年を超えてみんな知り合いです。全校の人数が多すぎず、お互いのことをよく知れる今の環境は、私にとってちょうどいいと感じています。
学校では、給食で自分が使うお盆に漆を塗る体験をしたり、5、6年生での「ならにこ漆器会社」でいろいろな人に漆器を知ってもらう体験をしたりと、日常的に木曽漆器に触れています。こうした体験があることや、お父さんが木曽漆器に携わっていることから、将来は私も木曽漆器の仕事を継ぐことを考えています。
私は、人との関係が良く、木曽漆器があるこの木曾平沢が好きです。この町がこれからも続いてほしいと思っています。
重伝建への選定はゴールではなく、あくまで地域の活性化を目指すための手段です。「将来のために今できることをする」という長期的な考えや思いを住民の皆さんが共有しているからこそ、町並み保存会の活動などを通じ、この20年を着実に歩むことができました。
木曾平沢は町並みだけではなく、木曽漆器に触れる体験や、職人の仕事を間近で見学できることが魅力。来た人にとってここでの体験が思い出となり、「また体験したい」という気持ちが二度、三度と来るきっかけになるはずです。
重伝建を生かした地域づくりに、地区として協力していきたいと考えています。それこそが、将来の町のために「今できること」だと考えています。
そして、地域の皆さんには、自分たちの地域の良さをあらためて知り、誇りや自信を持っていただきたいです。
町並み保存の活動では、傷んだ建物を直す「修理」、建物の外観を整備して景観を整える「修景」、消火設備の整備を行う「防災整備」などを行っています。
木曾平沢は、町並みと木曽漆器産業が一体となり重伝建に選定されています。町並みの保存だけではなく、訪れた人が職人や漆と触れ合える漆工町としての体験が重要です。木曽漆器を生産する創作の町として、最近では宿泊施設や工芸の創作場などの活用も進み、観光地とはひと味違う落ち着いた時間を過ごせる場所が増えてきました。木曾平沢ならではの魅力を多くの人に感じていただきたいです。
今後は、地域の人口減少や空き家の増加は避けられない問題です。町を守るさまざまな取り組みにチャレンジして、市外の空き家所有者に投資価値を見いだしてもらえるような、魅力ある木曾平沢を守っていきたいですね。
木曾平沢は、全国で唯一「漆工町」として重伝建に選定されています。単なる観光地ではなく、木曽漆器職人の生活が感じられる町並みが特徴です。選定地区内の金西町は、職人の仕事場が多くある場所です。通りの景色と共に、職人の技を間近で見られることや、木曽漆器をいつでも手に取れるといった魅力を発信し、多くの人に訪れていただきたいですね。
昔に比べ、通りにある店の数は減ってしまいましたが、インバウンドなど木曾平沢に来る人の増加で町がにぎわい、店が増える好循環をつくりたいです。
そのためには、重伝建というブランドを活用していくことも必要だと思っています。奈良井のように町並みを整えていくには長い時間が必要ですが、木曾平沢の建物には積み重ねてきた歴史があります。特徴ある木曾平沢の町並みと木曽漆器を、より多くの人に知ってほしいです。
「294年前に再建された本殿が覆い守られ、当時の建物が残っているので、この地の歴史を肌で感じられます」
「道に沿って建物が連続して見える木曾平沢の特徴的な町並みは、とても雰囲気がありますね」
「子どもの頃など、学校と家の往復以外で、遊んだ場所です。多くの思い出がある風景です」
「公園で遊ぶときは、公園に行く前に本通りにあるこのお店で、友達と一緒にお菓子を買います」
木曾平沢の重伝建選定20周年を記念して、シンポジウムを開催します。「イラスト」
■日時 10月25日日曜日 13時00分から16時00分
■場所 楢川公民館
■内容 関係者によるパネルディスカッションなど
※参加費、申し込みは不要です。
木曾平沢の魅力再発見のため、ならかわ桜プロジェクトが企画し、楢川小中学校、木曾平沢町並み保存会と共に制作した冊子です。町を巡って謎解きに挑戦してください。
※配布場所などの詳細は、右のコード(ならかわ桜プロジェクトホームページ)でご確認ください。「二次元コード」
※ならかわ桜プロジェクトとは、病気になった桜の再生をきっかけに、地域の元気を取り戻すためのさまざまな活動を行う団体です。