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広報塩尻令和8年2月号テキスト版 2ページから5ページ
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特集 地域の「らしさ」を守り、育てていく 北小野地区の地域づくり計画「写真」
問い合わせ 地域づくり課 移住定住係 電話0263-52-0280 内線1153
地域づくり課では、新たに移住・定住の視点を加えた、持続可能な地域づくりの取り組み「地域づくり計画」の策定を始めています。今回は、北小野地区の取り組みをご紹介します。
新たな視点での地域づくりへ
本市では、令和6年度に地域づくり課に移住定住係を新設しました。人口減少や少子高齢化が進む中でも、「暮らし続けたい」「自慢したい」と思える地域づくりに、移住者を含めた多様な意見を反映していくためです。
そこで、地区ごとの魅力(資源)と課題を、移住・定住の視点で整理し、地域の皆さんが主体となって取り組むことができる「地域づくり計画」を、地域の皆さんと策定しました。
北小野地区からスタート
最初に計画の策定に取り組んだのが北小野地区でした。地区では人口減少が急速に進み、とりわけ乳幼児人口が少ないなど、次世代を支える年齢層の減少が課題となっています。区長会や北小野地区振興会などが地域活性化のための調査や事業に熱意を持って取り組んでいましたが、現状のままでは、地域行事や暮らしを支える仕組みが弱まり、北小野の魅力が埋もれてしまう、といった危機感が広がっていました。
この計画づくりは、将来にわたり、里山の風景と歴史や文化が受け継がれ、地域の良さがさらに輝き、活気が続くようにしたいという思いをきっかけに始まりました。
みんなで考えた「北小野らしさ」を守る取り組み
計画策定には約1年をかけ、住民の皆さんと同じ目線で調査と対話を重ねました。ワークショップには幅広い世代が参加し、「人口・移住定住」「交通・生活インフラ」「住環境・空き家対策」など12の項目で、現状と課題を整理。計画を作って終わりではなく、小さくても確実に実行できる内容にするため、できることの優先順位も話し合いました。
その結果、将来のありたい姿が見えてきて、北小野らしさを「歴史が育んだ地域の文化と、人を大切にする精神」「山・水・畑・集落から成る里山の風景」と捉え直しました。さらに、北小野らしさを守り、育てる取り組みを、7から8年度の実施計画としてまとめました。
次のページからは、実施計画に基づき、今年度から順次始めている取り組みを紹介します。
■北小野総人口の推移(未来予測)「棒グラフ」
R2年 1‚804人
R7年 1‚655人
R12年 1‚514人
R17年 1‚362人
R22年 1‚195人
出典:北小野地区地域づくり計画
地域づくり計画とは
将来にわたり活気のある地域であり続けるために、今できることを考え、小さくても確実に実施できるような行動計画を盛り込んだ計画です。具体的に実施できることから優先順位をつけ、取り組みます。
北小野地区地域づくり計画の詳細は、右のコード(市ホームページ)でご覧ください。「QRコード」「写真」
策定の目的
●地域の未来に向けて動く機運の醸成
●地域の「らしさ」を受け継ぎ、守る
●住民主体の地域課題の掘り起こし
●地域外から人を受け入れる下地づくり
策定の方法
●統計情報の分析
●多様な住民への詳細なヒアリング
●みんなで未来を考えるワークショップ
●各種団体との連携と情報共有
新たなアイデアに触れ、移住者の定住に期待 北小野財産区 議長 横沢 澄人さん「写真」
地域づくり計画策定に向けたワークショップの参加を通じて、地域の若い人や移住者の多様な意見と、新たなアイデアに触れることができて、とても有意義でした。「写真」
今年度から取り組みを開始した「地域の教科書づくり」が、今後、移住者と地域とのミスマッチを防ぐツールとして活用され、移住者の定住が促進されることを期待しています。
ワークショップから見えてきた北小野のありたい姿
里山の風景がきちんと守られている
子どもたちの元気な声が聞こえる
地域交通が残り移動の不安がない
人の温かいつながりが続いている
高齢者が元気
御柱祭が引き継がれている
みんなの力を持ち寄る北小野の取り組み
北小野地区では、住民を中心に、多様な主体がそれぞれの強みや知恵を持ち寄り、北小野らしさを守っていく取り組みがスタートしています。ここでは、主な三つを紹介します。
01 地域の教科書づくり「写真」
地域の教科書とは、観光ガイドではなく地域のリアルを伝える「暮らしの実用書」です。地域の行事やごみ出しなど移住希望者が知っておくと助かる情報や、北小野ならではのルールなどを正直に掲載し、安心して北小野を選んでもらえるようにするとともに、地域住民との共通理解を深め、次世代に「ふるさと北小野」を伝えるツールを目指しています。
世代を超えて出し合った意見を基に、令和8年度の発行に向けた準備を進めています。
地域の皆さんの「声」を集めています
住民主体の持続可能な地域づくりを伴走・サポートするため、今年度から総務省の集落支援員制度を活用して、北小野地区の住民であり、移住者でもある二人の集落支援員が着任しました。
地域の皆さんと一緒に地域づくりに取り組みたい 集落支援員 湯浅 亜木さん「写真」
私は移住者として、また、子育て中の一人として北小野での暮らしを続けています。集落支援員として関わる中で、北小野の皆さんが、自分たちの手でこの地域を守り、つないできたことを日々実感しています。
その自治の精神に敬意を抱きながら、地域の皆さんの声を丁寧に拾い、まちづくりへとつなげていきたいですね。北小野の皆さんと一緒に取り組んでいけたらと思っています。
日々の暮らしに役立つ教科書を目指して 集落支援員 赤石 望さん「写真」
「ここでの暮らしの当たり前が、いつまでも続くように」。この思いで集落支援員として活動しています。状況が変わる中で大切なのは、暮らす人たちの声がつながること。新しく生まれるものも、守りたいものも、その声が暮らしや関係を編み直していくと思います。
「地域の教科書」では、多様な世代の声に触れながら、暮らし方のあれこれを可視化。移住者も地域の人も、日々の暮らしに役立つ内容を目指しています。
02 買い物移動支援「写真」 塩尻市社会福祉協議会北小野支部 支部長 中嶋 正幸さん「写真」
塩尻市社会福祉協議会北小野支部では、毎週水曜日に大門・広丘エリアへの買い物移動支援車両「たのめ号」の試験運行をしています。年齢に関係なく利用が可能なため、運転免許を返納した方だけでなく、移住お試し住宅の入居者などにも利用され、好評です。また、利用者同士の交流の機会にもなっており、「地域のライドシェア」機能として、来年度の本格運行に向けて運転手確保や会員制度を整備しています。
03 空き家対策・移住支援「写真」 株式会社しおじり街元気カンパニー 代表取締役 藤森 茂樹さん「写真」
株式会社しおじり街元気カンパニーは、市の空き家対策として「空き家バンク事業」に取り組んでいる強みを生かし、地区の協力の下、移住・定住促進のため、空き物件の賃貸化の可能性調査に取り組んでいます。移住希望者にとって、新築や空き家の物件購入だけではなく、賃貸物件も選択できれば移住を決めるハードルを下げられます。今後も、地域と共に賃貸用物件の掘り起こしに努めていきます。
自分たちで楽しく住める地域にしていきたい 三枝 実生子さん(大出)「写真」
北小野は、住民同士の顔の見える関係性が魅力だと感じています。保育園では子どもも保護者もみんな顔見知りですし、地域で子どもをかわいがってくれ、程よい距離感が心地良いですね。
気になっているのは、子どもが少なく、成長していく中で人間関係が固定化していきそうなことです。また、10年後を思うと、高齢化による自治活動の縮小や空き家の増加などにも不安を感じています。
最近は、集落支援員のおかげで、見えにくかった地域の大きな決まり事も分かってきて、子どもの教育について同世代で話し合う機会もできました。老若男女が話し合える地域づくり計画のワークショップもあり、自分たちで楽しく住める地域にしていきたいです。
北小野らしさを守り、伝えていくために
今後も地域づくり計画を基点に、住民の皆さんを中心として、関係する多様な主体がそれぞれの強みを生かしながら関わり、取り組みを一つずつ着実に進めていきます。
また、当初の実施計画には記載されていなかった「教育環境の将来」についても、子育て世代が自主的に集まり意見交換を始めるなど、新たな動きが生まれてきました。保護者の思いを行政に届けようとするアイデアも出ています。
まだ住民全体を巻き込んだ議論が十分にできている段階ではなく、課題に対して、必ずしもすぐに解決策が見つかるわけでもありません。それでも、地域づくり計画をきっかけに、これまで漠然と抱いていた不安やアイデアを共有する機会が生まれ、これまでになかった取り組みが動き出していることは、未来に向けた大きな一歩となります。
北小野らしさを守り、育てていくために。地区ごとに描く地域の未来が、地域づくり計画を道しるべに、今動き始めています。






