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広報塩尻令和8年1月号テキスト版 6ページから11ページ
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特集 障がいを知る、見守る
障がいを理解してお互いを尊重する社会へ「写真」
問い合わせ 福祉支援課 障がい福祉係 電話0263-52-0280 内線2115
本市は、障がいのある人に対する差別をなくし、相互に人格と個性を尊重し合える社会を目指しています。障がいの特性や就労継続支援施設、新たな活動の取り組みを知るとともに、障がいについて考えてみませんか。
障がいの理解は、特性などを知ることから
障がいは大きく分けて、身体障がい、知的障がい、精神障がいの三つに分類されています。それぞれの障がいの中にもさらに分類があり、障がいの特性や特徴は一人ひとり異なります。障がい者の数は増加傾向にあり、市内では、令和7年4月時点で3825人います(グラフ参照)。
外見で分かる障がいはもちろんですが、外見からは分からない障がいもたくさんあり、皆さんの配慮や理解を必要としています。以前から、障がいへの理解が進みつつあり、スロープや手すり、専用駐車場や車椅子用観覧席などをよく見かけるようになりました。バリアフリー社会へ進んでいる中ですが、まだまだ生きづらさを抱えている人は多くいます。
障がい者の福祉について関心と理解を深め、障がい者が社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的として、毎年12月3日から9日までの7日間が「障害者週間」に設定されています。障がいには、どのような特性や特徴、意味があるか、まずは知ることから始めてみませんか。
「写真」本市では障害者週間に、スーパーなどでクッキーの手配りなどを行い、障がいへの理解を促進するために活動しています。
■障害者手帳の交付数
R3年 身体2,378人 知的648人 精神 691人 合計3,717人
R4年 身体2,482人 知的577人 精神 750人 合計3,809人
R5年 身体2,395人 知的583人 精神 814人 合計3,792人
R6年 身体2,371人 知的611人 精神 864人 合計3,846人
R7年 身体2,303人 知的617人 精神 965人 合計3,825人
出典:福祉支援課
知的障がいによる四つの言動
知的障がいには、言動に特性がある人もいます。うろうろ歩き回ったり、独り言を言ったり、大きい声や落ち着きのない言動、繰り返しの確認作業…。これらは、本人にとっては落ち着く言動であり、不安な気持ちを和らげているのかもしれないと考えましょう。
落ち着く場所・物がある「イラスト」
ささいな事で不安になることがあります。いつもの場所や気に入った場所は、とても安心します。
ばたばた・きょろきょろ「イラスト」
緊張や不安で気持ちが落ち着かない時に何度も飛び跳ねたり、周りを見渡したりして平静を保とうとすることがあります。
大声を出す「イラスト」
不安などで、感覚が敏感になって耳をふさいだり、自分の声で落ち着こうとしたりしていることもあります。
独り言「イラスト」
うれしくて独り言で趣味の世界を楽しんだり、出来事を繰り返し思い浮かべ、気持ちの整理をしたりしていることもあります。
温かく見守ることも大切
人それぞれ性格が違うように、同じ障がいでも人それぞれに特性があります。言動は障がい特性からくるものであり、本人は苦しんでいるかもしれません。ここでは、外見からは分かりづらい障がいの一つ、知的障がいのよく見られる特性の中から、「大声を出す」「落ち着く場所・物がある」「独り言」「ばたばた・きょろきょろ」の四つを紹介します(上図参照)。知的障がいの特性として、自分の思いを言葉にしてうまく伝えられないという特徴があります。また、周りからの視線を被害的に捉えてしまい、不安定になってしまうことも多くあります。言葉での表現は難しいため、行動やしぐさで表現し、伝わらないもどかしさから不安が強くなります。
障がい特性を知れば、きっと違う目線で見ることができ、理解につながります。その理解だけでも、その人の落ち着きにつながります。声を掛け、手を差し伸べることもとても大切なことではありますが、見守りもとても大切です。まずは障がいを知り、温かい目見守ってください。
就労支援と新たな居場所づくり
障がいと向き合い、障がい者が社会で自立していくために、地域で支援する人たちがいます。次のページからは、障がい者が、就労の経験や業務スキル、社会的活動を訓練するために利用する市内の就労継続支援事業所や、日常生活での居場所を広げるために行う新しい取り組みなどを紹介します。
働く場所 市内の就労継続支援施設
障がい者が、就労の経験や業務スキル、社会的活動を訓練するために利用する市内の就労継続支援事業所。特徴や就労支援への思いなどを各事業所の職員に聞きました。
就労継続支援B型事業所 そよ風の家(野村)
所長 百瀬 努さん「写真」
イチ推し 自主製品のクッキーや木工キーホルダー、刺し子「写真」
外部から受けている主な業務は、線香の箱折りや商品の梱包、福祉施設のトイレ清掃などです。さらに、そよ風の家では、自主製品として菓子(クッキーやはちみつケーキ)、布製品(刺し子や布巾、バッグなど)を作っています。クッキーは10年以上の定番商品で、はちみつケーキは国産の蜂蜜を使用している人気商品です。受注業務も自主製品も、利用者の得意なことを生かして仕事ができるようにしています。
作業量のバランスを考え利用者の分担を割り振り、仕事が終わった時に利用者の皆さんに1日来てよかったと思ってもらえるように、就労支援をしています。
就労継続支援A型事業所 ドネーション(大門七区)
施設長 北澤 充典さん「写真」
イチ推し エアコン内部の清掃など、技術が必要な仕事を受注「写真」
市内唯一のA型就労継続支援施設です。カードケースの箱折りをはじめ、ビジネスホテルの客室やエアコン内部の清掃、秋には塩尻市ならではのブドウの収穫などさまざまな仕事を受注していて、ドネーションの利用者がプロ並みの技術で応えています。
A型事業所は、利用者を職業と結びつけ、社会への自立・社会への参加ができるようにするため、職員による仕事の指導には熱い思いを持っています。ほうきの使い方や雑巾での掃除も分からなかった利用者が、清掃を一人前にできるようになり、ご家族から感謝されたときはとてもうれしかったです。
仕事で収入を得て将来を考えられるように、これからも職員一同で就労支援をしていきます。
就労継続支援B型事業所 みどりが丘(野村)
所長 増澤 郷惠さん「写真」
イチ推し すみれ食堂では、日替わりメニューなどを安く提供「写真」
公民館や社会福祉協議会のホール、トイレの清掃、市内の除草、カプセルトイの組み立てなどを受注。ふれあいセンター広丘内で営業している「すみれ食堂」がみどりが丘の特徴です。開店前の準備で客席を掃除し、営業中は受け付けや食事の提供をします。調理は職員が行いますが、営業中のお客さまとのやりとりには、事業所内での作業とは違った楽しさや難しさがあり、働く利用者も日々学んでいます。また、花見や五平餅づくり、趣味の発表会などのレクリエーションを月1回ほど行い、仕事だけでなく利用者同士の交流も楽しんでいます。
無理なく1日過ごせて、それが2日になり、1週間になり、外に出る生活になるよう生活のリズムを整え、自立することを目指しています。
就労継続支援B型事業所 ちゅーりっぷ(原新田)
所長 小池 袈裟光さん「写真」
イチ推し 感謝などを忘れないよう事業所内に掲げるスローガン「写真」
令和2年に設立。今では平均工賃が、県内のB型事業所の中で8番目、中信地区では1番高い事業所です。さまざまな仕事を受けていて、ダイレクトメールの仕分け・封入や食料品の検品・梱包などの施設内作業と、庭木の剪定(せんてい)や社員食堂の補助作業、ポスティング、ワイナリーの除草・収穫・片付け作業などの施設外作業があります。受けた仕事に責任を持ち、リピートしていただいているので、信頼や満足を得られていると思っています。仕事の種類が多いので、利用者ができる仕事や得意な仕事を選べることが、ちゅーりっぷの特徴だと思います。
事業所の設立時から、仕事ができることに「感謝」し、一緒に働く仲間に「思いやり」の優しい心を常に持ち、毎日が「笑顔」あふれるちゅーりっぷにしたいという思いを方針にして、日々取り組んでいます。
就労継続支援B型事業所 のむらダイム(野村)
職業指導員 太田 八重子さん「写真」
イチ推し 布バッグは、巾着タイプやファスナー付きがある「写真」
職員や利用者に女性が多かったこともあり、布製のバッグを自主製品として作って販売しています。カーテン生地を頂き、工業用のミシンで作成する布バッグは、裏地付きでポケットもあり、丈夫で機能的だと思います。受注業務としては、レタスなどの畑で収穫後のマルチ剥ぎやヤマイモ棚片付け、市内ワイナリーでの農作業などの農福連携の仕事や、宅配業者のコンテナ清掃などがあります。冬場は農作業などができないので、企業から依頼があったニンニクの水耕栽培も行っています。
「良いところを伸ばし、できないことは、できるように! 毎日元気よく、仕事を頑張ろう! 生き生きと生活しよう!」を目標に活動しています。
就労継続支援B型事業所 はなひらく塩尻(野村)
統括責任者 小池 雄悟さん「写真」
イチ推し 人気メニューのキーマカレーと水耕栽培のサラダ「写真」
薬局が母体の事業所なので、薬局の窓拭きや使用書類への押印、錠剤シートのリサイクルなどの作業を行っています。はなひらく塩尻の特徴は、日替わりの弁当と自社で水耕栽培しているサラダの配達です。日替わりメニューは、1週間毎日、丼物が続かないようにメニューを工夫しています。仕込みなどの調理補助からお客さまへの配達まで行い、自分たちが作った物が届いていることを実感。柔らかくおいしいサラダは、お客さまにとても喜んでいただいています。
包丁を使う弁当の調理は、人気の作業です。包丁での調理を誰に任せるかなど、利用者の背中をどのくらい押してあげるかには毎回悩みます。ただ、調理ができることで、自立した生活につながると思うので、基本は挑戦させてあげたいと思っています。
就労継続支援B型事業所 エフォートマシュマロ(大門七区)
理事長 上原 泉さん「写真」
イチ推し クッキー、雑巾やスマホ入れなどの布製品を作成「写真」
事業所内で行う仕事が中心で、クッキーの製造・販売、布バッグやスマホショルダーなどの布製品の作成、機械部品並べ、土産品の梱包などを行っています。外での仕事として、健康ランドや企業のトイレ清掃なども行っています。利用者は、好きなことや得意なことを選んで真面目で手を抜かずに働いています。職員が準備をしておくと、利用者はうまく流れてやってくれて、発注していただいた企業から「ありがとう」と感謝されることが多くあります。
作るクッキーは、ハロウィーンやクリスマスには、季節を感じる形に変えています。小坂田公園などで売っていますので、ぜひ購入してください。また、一緒に働いてくれる職員も募集しています。
※就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に対して、就労や生産活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識と能力の向上のために必要な訓練などの支援をします。A型事業所は雇用契約に基づく就労が可能である利用者と雇用契約の締結などをし、B型事業所は雇用契約に基づく就労が困難な利用者が通所します。
地域での生活を広げる 心と体を健康に保つきっかけに
長年地域に密着している入浴施設の桑の湯に行き、新しい居場所の創出やさまざまなお客さんとの交流のきっかけになるよう、市と塩尻市社会福祉協議会で初めて企画しました。市内に住む障がい者を対象に、みんなで桑の湯に行こうというシンプルな内容です。
地域の人も障がい者も、いろいろな人に入浴を楽しんでもらいたい
ニコニコ温泉株式会社 桑の湯店長 山田 花さん「写真」
ニコニコ温泉は、東京や大阪などで五つの銭湯を運営していて、それぞれの銭湯で自治体と連携し、高齢者が入浴しやすいように料金を下げる日を設けています。桑の湯でも、いろいろなお客さんに来てもらいたくて、自治体と協力してできることがないか考えているときに、つながりのあった塩尻市社会福祉協議会に相談しました。そこで、市や社会福祉協議会と協力して、就労継続支援B型事業所の利用者が、就労後の汗を流すために桑の湯に来てもらう機会をつくりました。市職員などの引率はありますが、私たちが特別なサポートをすることもなく、入浴を楽しんでいただけました。感想を聞くと、笑顔で「気持ちよかった」と言ってくれて心が温まりました。
また、市と社会福祉協議会が作成した「桑の湯新聞」を浴場内に貼り、入浴するお客さんに知ってもらうことにも取り組みました。障がい者と地域の人との交流の場になることも期待しています。
この入浴をきっかけに、障がいのある人にも継続して来てほしいです。今はみんなで集まって来ていますが、ゆくゆくは一人でも来てくれるようになるといいですね。入浴時の困りごとなどが分かるよう、いわゆるヘルプマークがあれば、より入浴がしやすくていいと思います。
桑の湯は大衆浴場なので、障がい者だけでなくいろいろな人に、入浴を楽しみに来てもらいたいです。
「写真」桑の湯新聞は、障がいについて知ってほしいことなどを掲載
「写真」
気持ちよかったよ。また行くね。
銭湯っていいもんですね。
次はいつですか?
障がい者と企業のマッチング 就業・生活支援コネクター事業
就業・生活支援コネクター事業では、心身に障がいのある人や引きこもり状態にある人などが、個々の能力や適性に応じて就労できるよう支援します。地域企業に対して、障がい者雇用に関する理解を促進し、地域における就労支援の仕組みを構築することが目的です。
事業のフロー図
NPO法人 MEGURU→市内企業
受け入れ企業の開拓
雇用枠の確認、障がい者雇用の促進、見学・体験の調整、障がい者と企業の橋渡し など
NPO法人 MEGURU←→福祉支援課
情報共有
企業からの聞き取り内容、就労希望者の情報、見学・体験希望
障がい者→市内企業
見学、体験、就労
障がい者→福祉支援課、塩尻市社会福祉協議会(ボイス)
相談
就職先を紹介してほしい、働きたいけど障がいがあって不安、就職をサポートしてほしい
福祉支援課←→塩尻市社会福祉協議会(ボイス)
情報共有
就労・見学・体験希望者の情報、MEGURUからの企業情報 など
塩尻市社会福祉協議会(ボイス)→市内企業
伴走支援
見学・体験の同行、就業後の相談支援 など
障がい者雇用を考えるきっかけになってほしい
NPO法人MEGURU 清住 朋香さん 草野 エリさん「写真」
市内には、人材面で課題を抱えている企業が多くあります。その中で、解決策の一つとして障がい者雇用という選択肢を持っていただけるよう、企業側との対話を進めています。
障がい者の受け入れはケースごとにさまざまで、決まったかたちがありません。だからこそ企業側も、どう準備すればいいのか分からず、最初の一歩を踏み出しにくいのが現状だと思います。私たちの役割は、企業の業務を一緒に整理しながら、「この部分なら任せられるかもしれない」という業務の切り出し観点を引き出し、必要に応じてアレンジし、双方が安心できる点を探っていくことだと思います。
この事業が、障がい者雇用を前向きに考えるきっかけになればうれしいです。
新春お年玉クイズ
左右の絵には違いが三つあります「イラスト」
正解者の中から抽選で、合計10名様にワインまたはブドウジュースをプレゼントします。
■応募方法 右のコード(市公式LINE)で友だち登録し、トーク内メニューの応募フォームで必要事項を入力の上、ご応募ください。「QRコード」LINEを使えない人は、秘書広報課広報広聴係(直通電話 0263-52-0333)にご相談ください。
■応募締め切り日 1月31日土曜日
※当選者の発表は、プレゼントの発送をもって代えさせていただきます。また、当選者が20歳未満の場合は、希望に関係なくブドウジュースをお送りします。
※プレゼントの発送は2月下旬予定です。






