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どこでも市長室(LOCAL NIGHT PICNIC 2024)
開催場所 シビック・イノベーション拠点スナバ

イベントの様子(提供:LOCAL NIGHT PICNIC)
LOCAL NIGHT PICNIC 2024及び今年度の活動報告
開催日時:令和6年12月20日 10時~
開催場所:シビック・イノベーション拠点 スナバ
参加団体 LOCAL NIGHT PICNIC
(LNP)
LOCAL NIGHT PICNICは、長野の大自然の中で五感を働かせ、地域の魅力を発見し、人との出会いを創造するピクニックイベント。今年度は「花」をテーマとした。昨年移住してきたメンバーが花屋を営んでおり、そのご縁を大切にしたいという想いと、ピクニックとの親和性の高さから選定した。
今年度も地域の企業から多くの協賛や後援をいただいた。チケットには昨年に引き続き「塩尻市民割」を設定。市民割の利用は全体の約3割、それ以外は全国からの参加者で、思った以上に市外・県外からの参加が多く見られた。
今年のLNPメンバーには、地元の方が増えている印象がある。ボランティアは約110名と、昨年の倍に増加。中高生の参加が多かったことが要因と考えられる。
また、LNPをきっかけに移住したという事例も出てきている。地域との関係性が築かれることで、継続的に塩尻を訪れる方が増えている実感がある。
木曽漆器の記事を執筆する県外在住者の方も何度か塩尻に訪れており、コアメンバーになると、継続的に塩尻へ足を運んでくれるようになる傾向がみられる。つながりが生まれると、人は自然と集まってくることを感じた。
(LNP)
今回のLNPでは、大きく3つの出来事があったと考えている。
1つ目は、世代を超えた交流が多く生まれたこと。例えば、高校生が大学生に進路相談をしたり、子どもたちが普段出会わない大人たちと交流して刺激を受けたり、同じ高校生同士でも異なる学校の生徒間での出会いを楽しんでいた様子が見られた。
2つ目は「協創(共に創る)」。LNPで「面白いことをしたい」という目的に対して、それぞれが自分なりの関わり方を選びながら一緒に取り組む姿があり、これは塩尻ではこれまであまり見られなかった新しい動きだと感じている。
3つ目は、チャレンジの場としてのLNPの価値。昨年はお客さんだった人が、今年は出店者として参加したり、ボランティアとして装飾に挑戦した方もいた。
(LNP)
コンテンツ面では、昨年に続き空飛ぶランタンを実施し、目標数に近い数を飛ばすことができた。フードマーケットには31店舗が出店し、にぎやかな空間が生まれた。
(市長)
フードマーケットは非常に賑わっていた印象。他県からの出店者もいて、幅広い地域との交流が感じられた。
(LNP)
特筆すべき点として、塩尻市内のお店の出店数が増えたことがある。今年はイベントの開始時間を12時に早め、来場者のピークを2回つくりたいと考えていたが、天候の影響もあり、昼は来場者が少なく、夜に向けて人が増えていく形となった。
また、塩尻市立図書館には竪穴式住居の中で図書を展示していただいた。ライブミュージックには8組のアーティストが出演し、その多くは県外からの参加。
アクティビティには12店舗が出展し、昨年よりも増加。中学生の作品や、平出遺跡公園の展示、手回し映画館などの体験型ブースも好評。
(平出博物館)
たくさんの方にご参加いただいた。
(LNP)
今年はさらに地域を巻き込むことを意識し、地域の方・地域資源・塩尻にゆかりのあるアーティストを巻き込んだ会場装飾づくりに取り組んだ。
木曽漆器の制作過程で廃棄される「こし紙」に着目し、それを活用して子どもたちや地域の方と一緒に造花を制作した。小中学校やふれあいセンターなどと連携し、約100本を会場の貝塚に設置。木曽漆器について知ってもらう機会にもなった。
また、塩尻ブースを設置し、パンフレットの配布だけでなく、塩尻の風景写真を布に転写して写真展のような演出を行った。特殊印刷には地域企業の協力を得た。さらに、協賛企業からの支援で「ウェルカムナイヤガラ」と題し、来場者へナイヤガラ(ぶどう)を配布したのが好評だった。
地域学習広場の子どもたちとふれあいセンターのシニアのみなさんと、ガーランドなどの装飾品を作成。就労支援事業所の利用者さんにもガーランドを制作いただいた。
目的を持って何かを作り上げることが、生きがいややりがいにつながり、地域を知るきっかけにもなると考えている。
こうした皆さまをイベントにご招待し、協賛企業のランタンを打ち上げてもらうところまで実施できた。
私たちの「好き」「楽しい」「面白そう」といった気持ちが、人を動かす原動力であり、今回は「楽しい」から始まる地域課題の解決への取り組みが実現できたのではないかと思う。
(市長)
工夫されたイベント運営をしていただいた。人の巻き込み方も工夫があり、柔軟で良かった。特に、障がい者の方々の関わりについては、はたらく場としての機会が減っている中で非常に良い取り組み。漆のこし紙の再活用という点でも、廃棄物をリユースするという意義があった。
(LNP)
平沢地域の方々も「こういう使い方があるのか」と興味を持ってくださり、今後のワークショップなどに活かしたいとの声もあった。
(市長)
イベントの採算についてはどうか。
(LNP)
収入は増えたが、会場警備などの経費も上昇。削減できる部分はほとんどなく、新しい収入源の開拓が必要だと感じている。
(市長)
イベントの持続可能性という点では、最終的には採算が重要となる。
(LNP)
現在は、収入がイベント当日に集中しているため、収入口や入金のタイミングを分散させる必要がある。そうでないと継続が難しい。来年度のマネタイズが大きな課題。
今後の活動について
(LNP)
このイベントの価値は、当日の交流や体験だけでなく、その前段階で地域の人同士が関わるきっかけをつくったことだと思う。特に今回は、教育関係者の方々がメンバーやボランティアとして参加してくださり、外部とのつながりから新たな可能性が生まれた。これは非常に価値ある動きだったと考える。
(市長)
市でもさまざまなイベントを行っているが、ここまで多様な人が集まることはなかなかない。皆さんがアイデアを持ち寄って開催しているからこそ、面白くなっているのだと思う。
(LNP)
LNPを知らなかった中学生が活動を通じて世代を超えたつながりを経験し、来年も参加したいと話してくれた。そういった実感を持ってくれること自体が価値だと思う。
(市長)
社会と子どもたちをどうつなぐかは、教育の大きなミッション。不登校の子が増えている今、こうした活動が課題解決にもつながればと思う。
(LNP)
学生時代にもっと大人とつながっていれば、選択肢も増えたのではと思う。LNPのような活動を通して自然につながれる場があることが重要。「つながること」を目的にしてしまうと期待やハードルが上がるが、「一緒に何かを作る」ことをゴールにすることで、文化祭のように自然に仲良くなれるのではないか。
(平出博物館)
LNPを通じて平出遺跡を知ってファンになったという声もあった。イベントから派生して遺跡の活用にもつながることはありがたい。ひらいで遺跡まつりは関係者中心で閉じた雰囲気になりがちなので、違った切り口で広がっていくことは歓迎。
(市長)
昼間の「ひらいで遺跡まつり」と、夜の「LNP」が融合するのも1つの方法かもしれない。ただ、行政主導のイベントと混ぜることでLNPの良さを損なうリスクもあり、そこは慎重に進める必要がある。
(LNP)
世界観づくりの面などで、協力できる部分はあると考えている。
(LNP)
輸送の課題はどのイベントにも共通しており、「のるーと」や自動運転バスの時間帯・便数が合わないのが悩み。イベントに合わせて連携できれば良いプロモーションになると思っている。今年も試みたが、完全には実現できず、最終的にはスタッフによる送迎対応となった。もしこれが自動運転バスに置き換えられたら、プロモーション効果も大きいと考える。
平出遺跡では年間を通じてさまざまなイベントが開催されているので、一度成功すれば他イベントへも波及するインパクトが期待できる。
(市長)
以前に比べると平出遺跡公園がイベントで使われることも増えている。輸送の課題をどう新しい価値に変えていくかが鍵になる。
(市長)
出店者の仕組みについて教えてほしい。
(LNP)
出店のクオリティを担保するため、前回から出店料はいただいていない。次回はその点を含めて検討中。
(市長)
出店者には、確実に収益を上げられるお店と、リスクを負って出店するお店がある。イベント全体としての収益源をどこに求めるかも重要。
(LNP)
今は年1回のイベントだが、小規模イベントを定期的に行い、収益を確保しながら大規模イベントにつなげる方法も検討している。小規模な取り組みで、市と連携したプロモーションなどの展開も考えられるかもしれない。
(市長)
市にも補助金制度があるが、補助金が途絶えるとイベント自体が終了してしまうリスクもある。
(LNP)
補助金に依存するのはリスクが高いので、複数の収入源を確保し、どれかが無くなっても自立できる体制を目指したい。来年の構想については、まだこれからという段階。
(市長)
今は定住人口だけを見る時代ではなくなっている。この地域で得た経験を他の場所で活かすことが日本全体のためにもなる。そういった経験を塩尻というフィールドで積んでもらえればと思う。
(LNP)
このイベントが縁となり、移住につながることもある。関係人口や移住について、悩みや課題感などはあるか。
(市長)
今つながっている方々が、今後も塩尻との関係を維持してくれるのか、その持続性が課題だと感じている。皆さんはどのように捉えているか。
(LNP)
プロジェクトが終わってしまうと、関係性も途絶えてしまうのが難しい点。その間に再び訪れる理由をどう作るかが鍵だと考えている。
(市長)
2年続けて素晴らしいイベントを開催いただいた。3年目もぜひお願いしたいと思っている。お互い補完し合いながら続けていければと思う。