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広報塩尻令和7年2月号テキスト版 2ページから5ページ

ページID:0049889 更新日:2025年1月31日更新 印刷ページ表示

広報塩尻2025年2月号テキスト版2ページから5ページがご覧になれます。

特集 手話がつなぐ心

 本市が手話言語条例を施行してから、まもなく3年が経過しようとしています。今回の特集では、言語としての手話の歴史や現状、当事者のインタビューなどをお届けします。「イラスト」
問い合わせ 福祉支援課障がい福祉係 電話0263-52-0280 内線2123
「写真」「手話言語の国際デー」の令和6年9月23日に、塩尻市聴覚障害者協会と塩尻桔梗ライオンズクラブ(写真右上)が中心となり、塩尻駅前でブルーライトアップイベントを開催。「東京2025デフリンピック」を宣伝する上映会も行いました。デフリンピックの詳細は左のコードでご覧ください。「QRコード」

当たり前のように手話を学べる時代へ

 かつての日本では、耳の聞こえない人・聞こえにくい人(ろう者)への対応が十分とは言えませんでした。手話自体に対する指導法の開発や、手話を使用した教育方法の研究が十分ではなかったことなどにより、ろう学校においても、手話ではなく音声言語による指導が中心的でした。
 聞こえる人たちが当たり前に日本語を学んで使用するように、ろう者たちも日常生活で自由に使える言語として、当たり前に手話を学ぶということ。この背景には、ろう者たちが社会的に自由に生きたいという願いがありました。

令和4年に塩尻市手話言語条例を施行

 全国的に「手話言語法制定を求める意見書の提出を求める請願」の採択が広まった平成25年。翌年の26年に、本市でも塩尻市聴覚障害者協会から市議会に請願が提出されました。その後、同協会や手話サークル、塩尻市派遣通訳者の会などのメンバーを中心とした勉強会などが開催。この勉強会での意見を基に、令和2年に「塩尻市手話言語条例推進協議会」が発足。協議会で具体的な検討や必要な手続きなどの準備を進め、3年12月に塩尻市手話言語条例が市議会で可決され、4年4月1日から施行されました。
 この条例は、手話を必要としている人がいつでもどこでも手話を使い、聞こえる人と聞こえない人が共生できる地域共生社会づくりを目的にしています。条例により手話の理解や活用が広がることはもちろんですが、住民に最も身近な基礎自治体からの強いメッセージとして、国に「手話言語法」の制定を呼び掛ける足掛かりにもなっています。
「写真」多くの関係者の努力で、県内市町村で3番目に手話言語条例を制定

地域一丸となって進めたい、手話への共感

 「塩尻市手話言語条例」の対象はろう者の皆さんだけでなく、市民の皆さん全員です。当たり前のように手話を使える社会の実現には、周囲の理解や協力などの共感が不可欠で、その共感がろう者の皆さんの人権を守ることにつながります。条例の前文でも次のとおり定めています。
 「市民一人一人が、手話は言語であるという認識に基づき、手話の理解に努め、お互いを尊重し、分かり合い、心豊かに共生すること」
 この条例に掲げた理念を実現するため、本市では多くの取り組みを進め、気軽に参加できる講座なども開催しています。誰もが手話を学び、必要な人に誰もが手話で語り掛けるまち。塩尻市がそんな地域になるよう、皆さんも次ページで簡単な手話を学んでみましょう。
「写真」何度も会議を重ねて、手話言語条例を検討してきた塩尻市聴覚障害者協会

本市では、こんな取り組みが始まっています

市民向けのリーフレットの作成・配布「写真」
遠隔手話システムの導入「写真」
市長定例記者会見動画への手話通訳導入「写真」
その他
・専門家による手話理解促進講演会
・意思疎通支援者養成事業補助制度の創設
・公費負担の手話通訳料の拡充
・手話通訳者育成のための講習会などで使用する施設のWi-Fi環境整備「イラスト」

塩尻市手話言語条例制定の経過

●平成26年9月
 塩尻市聴覚障害者協会(以下「協会」)から、市議会に「『手話言語法』制定を求める意見書に関する請願」が提出
●平成30年10月から
 協会や手話サークル、塩尻市派遣通訳者の会、市議会議員有志などを中心に、手話言語条例制定のための勉強会や懇談会が開催
●令和2年2月
 塩尻市手話言語条例推進協議会が発足。構成員は、協会、塩尻市手話言語条例制定議員連盟、塩尻市派遣通訳者の会、塩尻市。条例の内容や手続きなどの準備を進めるため、令和3年12月までに合計17回の協議会を開催
●令和3年11月25日
 市議会令和3年12月定例会で、議員提出議案として塩尻市手話言語条例が提出
●令和3年12月17日
 市議会での審議の結果、議員全員の賛成により条例が可決。同日、関係者による成立報告会を開催

Interview

ろう者の生き方を知ってほしい 塩尻市聴覚障害者協会 手話要約担当 森下 尚子さん(野村)「写真」

私たちが手話言語条例の必要性を感じてから、約7年。長年の思いが実り、条例が可決した瞬間はうれしかったですね。「やっと作ってもらえた」という気持ちでした。
 そもそもどうして条例が必要なのか。それは、聞こえる人たちは、「聞こえない」という世界を知らないからです。例えば、「聞こえない」ということを考えてみてください。街を歩く時、電車に乗る時、家で過ごす時…。自分が聞こえないということを想像できるでしょうか。
 手話は、外国語と同じで一つの言語です。単なる身振りではありません。手話と要約筆記の違いや、ろう者という言葉を知らない方もいます。なので、条例が必要だったんです。条例というのは、いわば地域の法律です。地域が一丸となって、「手話」という言語を認識するために必要なものなんです。

誰もが手話を学ぶ地域へ

 条例ができて満足ということではありません。聞こえる皆さんが、私たちろう者の暮らしや生活のことを、どれだけ理解していただけるかも大事だと思っています。条例をきっかけに、誰もが手話を学ぶような地域になってほしい。その先にあるのは、私たちの生き方、つまり「ろう者としての生き方を知る」ということだと思います。

手話は、もう一つの日本の言語 塩尻市聴覚障害者協会会長 清水 喜佐男さん(野村)「写真」

塩尻市聴覚障害者協会では、毎月、全国や県の団体からの情報を共有したり、手話教室の計画や、最近では協会設立40周年イベントなどについて話し合ったりしています。
 手話教室には市長や議員の皆さんの参加もあり、とてもうれしいですね。すぐにすべてを理解するのは難しいと思いますが、勉強は続けてほしいです。この教室により、手話でコミュニケーションしやすい地域共生社会をつくっていきたいです。
 また、手話はもちろんですが、ろう者について知る機会を広げることが大切です。例えば、国際連合が定めた毎年9月23日の「手話言語の国際デー」。昨年、私たちもブルーライトアップのイベント(2ページ参照)を行いましたが、こういう啓発イベントを定期的に行うことで、理解が広がるよう頑張っています。

小・中学生にも知ってほしい

 条例によって、聞こえる皆さんが話す言語の他に、もう一つの言語の「手話」という位置付けができました。条例の施行からまもなく3年ですが、これで終わりではありません。学校にパンフレットを配るなど、小・中学生にも手話を普及していきたいですね。ろう者が手話を使いやすい環境づくりを推進し、すべての人が共に生きる社会を築くため、私たちは今後も取り組んでいきます。

手話を学ぼう

こんにちは「写真」

(1)顔の下で、両手の人差し指を向かい合わせて立てます。
(2)指を内側に折り曲げ、にっこり笑顔。人と人が向かい合って、お辞儀をしている様子を表しています。
 相手と目を合わせて、にこやかに表しましょう。
「QRコード」▲動画でもご覧いただけます。

ありがとう「写真」

(1)胸の前で片方の手の平を下にして、手の甲にもう片方の手の小指側を垂直に当てます。
(2)上の手を軽く上げ、笑顔で相手の目を見てにっこり。右手、左手の決まりはありません。
「QRコード」▲動画でもご覧いただけます。

よろしくお願いします

良い「写真」
お願い「写真」
 「良い」と「お願い」の二つの手話を続けます。
(1)「良い(よろしく)」は、親指側が手前の握りこぶしを鼻の前方少し動かします。
(2)「お願い(します)」は、握りこぶしを開きながら、顔から少し前方に出します。
「QRコード」▲動画でもご覧いただけます。

資格取得に必要な費用を補助します

 手話通訳者や要約筆記者の資格を取得して地域で活躍しようとする市民を対象に、資格取得に必要な特定の講座の受講料や教材費、受験料、交通費を補助します。
■対象 市内に住所がある人
■補助額
 〇資格取得に必要な講座受講料と教材費の2分の1
 〇資格取得に必要な試験の受験料の2分の1
 〇上記の講座の受講や試験の受験にかかる交通費について、1日当たり上限2,000円
■申請方法 講座受講や試験の申込後、申請書を記入の上、必要書類を添えて福祉支援課へ提出してください。講座などの終了後にも必要書類の提出をお願いします。
※詳細は右のコード(市ホームページ)でご覧ください。「QRコード」
※市では、手話を基礎から学べる「手話奉仕員養成講座」も開催しています(塩尻市社会福祉協議会に委託)。詳細は広報塩尻3月号に掲載予定です。