広報塩尻令和6年1月号テキスト版　16ページから17ページ

広報塩尻2024年1月号テキスト版16ページから17ページがご覧になれます。

第37回全国短歌フォーラムin塩尻　入賞作品

問い合わせ　全国短歌フォーラム実行委員会（社会教育スポーツ課社会教育係）　直通電話0263-52-0903
　第37回全国短歌フォーラムin塩尻に全国から1,651首の短歌が寄せられました。表現力豊かな入賞作品を紹介します。
　また、最優秀賞を受賞したお二人に、受賞の感想や歌に込めた想いなどをお聞きしました。

最優秀賞

息子なのにどこかドラマの息子役病みたる母の繰り言を聞く

【選者の講評】病む母の繰り言を辛抱強く聞いている自分。息子であるからには違いないのだが、まるで息子の役を演じているような自分に、こんなことはこれまでなかったのにと驚いている。「写真」

インタビュー　最優秀賞　中村　英俊さん（北海道伊達市）「写真」

短歌で母との思い出を証に
　昨年、題詠で優秀賞をいただいたため、期待していませんでしたが、まさかの最優秀賞で望外の喜びです。
　歌は2年前に他界した母との思い出の1コマです。認知症を発症し、どんどん進行してゆく現実を、息子としてなかなか受け入れ難かった頃の心境を詠みました。

君にしかわかりっこない本棚の並びに君の人生がある

【選者の講評】本棚にどんな本が並んでいるかではなく、その並びに、君を、君の人生を感じるのだ。「君にしかわかりっこない」という日常語の表現が、この真実に独特の魅力をもたらした。「写真」

インタビュー　最優秀賞　齋賀　万智さん（兵庫県神戸市）「写真」

本の並べ方は十人十色
　素晴らしい賞をいただき、驚くとともにとてもうれしいです。
　本棚の本の並べ方は十人十色だと思っていて、一見、法則性のない並べ方であってもその人には譲れないこだわりがあったりするものです。そういった場面を思い浮かべつつ詠みました。

優秀賞

採れたてのたらの芽天ぷら抹茶塩身体の中から春色になる

塩尻市　石井　麻美さん
【選者の講評】たらの芽の天ぷらの新鮮な緑色と、抹茶塩の緑色。色彩をクローズアップしてシンボリックに春を表現して見せたアイディアに注目しました。おいしそうな点もいいですね。「写真」

旅終へたトラック洗ふドライバー気持ち良さげに自分も洗ふ

新潟県長岡市　佐藤　多佳子さん
【選者の講評】長時間運転を続けてきたトラック・ドライバーが、仕事を終えてリラックスした場面に取材。取材感覚がいいですね。結句「自分も洗ふ」のユーモアに感心しました。「写真」

定規当て蛍光色の青を引く近くで見れば揺れている海

京都府京都市　砂原　瑞風さん
【選者の講評】「近くで見れば揺れている海」という発見の力に驚く。そしてその発見が、上句の日常的事務的な行為の背後にある、世界の別の見え方を暗示する。詩性ゆたかな秀歌。「写真」

本音ではなくやさしさで出来ている糖衣のような君のいたわり

石川県金沢市　渡邉　美愛さん
【選者の講評】とてもやさしくいたわってくれる君。しかしそれはどこか糖衣をまとったようなやさしさであることにも、作者は気づいている。あなたの本音がみたいと、ちょっと贅沢な、でも切実な願い。「写真」

言の葉の森への扉ひらくとき小田急線は新宿を出る

静岡県浜松市　菅本　勇馬さん
【選者の講評】取材した場面の意外さ、新しさ。本を持って小田急線に乗り、発車と同時に読みはじめた場面。小田急は終点が遠いので、本を読む時間はたっぷりあります。「写真」

友だちも「バケモノの子」の本を読む三百七のページがすごい

京都府舞鶴市　新谷　和花さん
【選者の講評】映画にもなって大人気の「バケモノの子」。友だちどうしで盛りあがったにちがいない307ページ！　どんな場面なのか。歌を読む人もわくわくさせてしまう、すばらしい作品。「写真」
※このほかの優秀賞・入選作品は、全国短歌フォーラムin塩尻ホームページ（URL https://tanka.shiojiri.com）に掲載しています。ぜひご覧ください。「QRコード」

「第37回全国短歌フォーラムin塩尻　作品集」好評発売中！

　第37回全国短歌フォーラムin塩尻に投稿いただいたすべての作品を収めた作品集を発売しています。受賞作品、選者による選評も収録しています。バラエティに富んだ作品の数々を楽しむことができますので、ぜひお買い求めください。「写真」
■価格　1,000円
■販売場所　塩尻総合文化センター総合受付、塩尻短歌館
※詳細はお問い合わせください。