ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 企画政策部 > 秘書広報課 > 広報塩尻令和5年9月号テキスト版 2ページから5ページ

本文

広報塩尻令和5年9月号テキスト版 2ページから5ページ

ページID:0034493 更新日:2023年8月30日更新 印刷ページ表示

広報塩尻2023年9月号テキスト版2ページから5ページがご覧になれます。

特集 らしく学び、らしく生きる

一人ひとりの育ちに寄り添う
学校に行くことだけがすべてじゃない。
それぞれに合った学びはきっとある。「写真」
 全国で増加する不登校の児童生徒数。その支援は今、過渡期を迎えています。今回は、一人ひとりの育ちに丁寧に寄り添いながら、将来の社会的自立に向けた支援を進めている市教育委員会の取り組みについてお伝えします。
問い合わせ 教育総務課学校支援係 電話0263-52-0280 内線3113

増加する不登校の児童生徒数

 文部科学省の調査結果によると、令和3年度の小・中学校における不登校の児童生徒数は全国で24万4940人となり、9年連続で増加し、過去最多となりました。本市でも、3年度の小・中学校における不登校の児童生徒数が188人となり、4年連続で増加しています。(グラフ参照)

不登校はどの児童生徒にも起こり得ること

 不登校は子どもからのSOSのサインです。「友人や先生との関係がうまくいっていない」「授業についていけない」「登校したくても朝なかなか起きることができない」「なんとなく学校に行く気になれない」といった子ども自身の事情や、家庭内の事情などに加え、新型コロナウイルス感染症も影響するなど、不登校は多くの場合、さまざまな背景や要因が複雑に絡み合っています。
 このような状況の中で、不登校の子どもは、悩みや不安を抱えながら毎日を過ごしています。また、その保護者や家族も、子どもにどう寄り添ったら良いか悩み、子どもの将来への不安を感じたり、周りからの視線に対して辛さを感じたりしています。

不登校は問題行動ではない

 不登校の児童生徒への支援は、児童生徒が「学校に登校する」という結果のみを目標とせず、将来「社会的に自立する」ことを目指す必要があります。
 そのためには、「学校に行くことだけではない」「不登校は問題行動ではない」という共通認識を持ちながら、すべての子どもが「らしく学び、らしく生きる」ことができるよう、家庭や学校だけではなく、地域全体でそれぞれに合った学びの機会を確保していくことが重要です。

魅力ある学校づくりと多様な学びの機会の確保に取り組む

 本市では、4年度に不登校の児童生徒への支援に係る基本的な考え方と、ICTなどの活用や民間施設などのガイドラインを策定しました。この考え方を基に、学校では信頼関係を基にした楽しく魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止や、登校はできるが学級に行きづらい児童生徒に対する「校内中間教室」での一人ひとりに寄り添った支援のほか、不登校の児童生徒の希望に応じたオンライン授業配信などの取り組みを進めています。
 市教育委員会では、学校に行くことができない状態が続いている児童生徒のために校外の「中間教室(高ボッチ教室)」を2カ所設置するほか、市が独自で配置している「子と親の心の支援員」によるきめ細かな支援や、民間施設と連携した支援など、児童生徒の社会的自立に向け、多様な学びの機会の確保に取り組んでいます。
 次のページからは、魅力ある学校づくりを実践している学校の取り組みや、不登校の児童生徒の支援に携わる皆さんにインタビューした内容を紹介します。
■市内の不登校児童生徒数の推移「折れ線グラフ」
R3年 中学生142人 小学生46人
不登校の定義
 文部科学省では、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」を不登校としています。「イラスト」

一人も置き去りにしない魅力ある学校づくり

 市内の学校では、子ども同士の温かな関係づくりや教師と子どもの信頼関係づくり、学校と地域が連携して子どもを支える仕組みづくりを行っています。その中から今回は、丘中学校の取り組みをご紹介します。「写真」

居場所・生きがい・存在感一人も置き去りにしないために 丘中学校 黒沢 幸喜 校長「写真」

一人ひとりに寄り添った教育を目指す

 黒沢校長の「生徒が学び合う場面(交流)を日常化したい」という思いから、丘中学校では、魅力ある学校づくりの取り組みが始まりました。これまでの集団に対する画一的な指導を見直し、学校教育の仕組みを授業づくり・集団づくり・学校づくりに分け、取り組んでいます。これを基に、一人ひとりに寄り添った指導を目指しています。

生徒同士で交流が生まれる

 授業づくりでは、各授業でグループ学習を積極的に導入しています。先生が黒板の前で授業するだけではなく、生徒同士が机を付けて一緒に学ぶ時間を設けています。そうすると、自然に生徒同士の交流が生まれ、「考えても分からない時は、他の生徒がどのように解くかノートを見せ合い、その後解答を確認します。学び合うことで、学級全体の理解度が上がり、個人の学びも確立されます」と黒沢校長は話します。
 また、グループ活動を進めるには集団づくりも大切と考え、他者の思いをおもんばかる想像力の育成を目指し、ソーシャルスキル・トレーニングを取り入れています。黒沢校長は「グループで本音を語り合い、それを互いに認め合うことで、自己肯定感や有用感が高まります」と話します。 

魅力ある学校づくりを継続する

 学校づくりでは、個の学びの場を確保するために、校内中間教室を二つに分けて運営するなどの取り組みを行っています。最後に黒沢校長は、「『一人も置き去りにしない』という切り口をつくったことで、新たな発見やつながりが見えました。今後も意識していきたいです」と笑顔で話します。
 丘中学校はこれからも、魅力ある学校づくりを目指して挑戦していきます。
「写真」教科書やノートなどを介すことで、自然なコミュニケーションができ、生徒同士の交流が生まれます。

学校づくりの例(校内中間教室)

▼すみれルーム▼
創作活動などを通して交流をします。「写真」
▼丘ホット▼
主に学習をしたい子どもが通っています。「写真」

ありのままの姿を認め、子どもの自己肯定感を高める 高ボッチ教室(中学生) 小松 亨先生「写真」

 子ども一人ひとりに合った学びの機会を確保をするとともに、子どもや保護者が安心して相談できる場所が求められています。今回は、高ボッチ教室の小松亨先生にインタビューしました。
平成28年に教育機会確保法が施行され、不登校への理解は大きく進みました。安心して過ごせる居場所で個人の得意を伸ばして、子どもたちのありのままの姿を認めることで、自己肯定感が高まり、社会的自立につながっていくと感じています。
高ボッチ教室では、子どもたちと「他の子が嫌がることはしない」ことだけを約束して、子どもの意思を尊重して活動をしています。ここで生活する子どもは、1日を通して来る子もいれば1時間で帰る子もいます。また、勉強以外にも創作活動をするなどさまざまな形で学んでいます。子どもたちがものや人に触れて考えたり感じたりすることすべてを「学び」だと捉え、一緒に過ごしています。
また、ここでは保護者の相談も随時受け付けています。子どもに合った居場所を一緒に考え、紹介もしています。抱え込まず、ぜひ相談に来てください。
「写真」クラフトバンドや折り紙を使って創作するなど、思い思いの活動に取り組みます。

高ボッチ教室

 学校に行くことができない状態が続いている児童生徒のために、本市が設けた中間教室です。温かな雰囲気の中で安心して過ごしながら、学習や諸活動を通して生きる力を育む場所です。
小学生教室
■場所 塩尻総合文化センター1階
■問い合わせ先
 電話0263-52-0280 内線3415 
中学生教室
■場所 塩尻西小学校敷地内
■問い合わせ先
 電話0263-52-8974「イラスト」 

きめ細かな支援 子と親の心の支援員 清沢 めぐみさん「写真」

チーム支援で子どもと保護者をサポートする

 子と親の心の支援員は、子どもや保護者から相談を受けて面談し、関係機関と連携しながら、子どもの将来の自立に向けた支援をしています。
 具体的には、月1回学校で行う相談支援や、必要に応じて、子どもと一緒に登校する登校支援や医療受診の同行をしています。また、相談者から受けた相談内容から、どのようなサポートが必要かを学校や外部機関と関係者会議を行うなど、チームで支援を行っています。
 相談を受けて終わりにするのではなく、現時点でどのような支援が必要かを見極め、切れ目のない支援をすることが大切だと思います。支援をする上では、相談者の話に寄り添い、不安を和らげるようにすることを心掛けています。
 相談者に信頼してもらえるような関係づくりをしながら、今後も丁寧な支援をしていきたいです。