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広報塩尻令和5年4月号テキスト版 8ページから9ページ
広報塩尻2023年4月号テキスト版8ページから9ージがご覧になれます。
広がる短歌のまち
本市の短歌文化は、明治・大正期から地域の文として大切に育まれてきました。今回は、地域や学校などで行われている短歌活動や、今後の短歌事業についてお伝えします。
問い合わせ 社会教育スポーツ課社会教育係 直通電話 0263-52-0903
近代短歌のふるさと
塩尻は、歌人の太田水穂や若山喜志子などを輩出した地です。明治・大正期には、若山牧水や島木赤彦など、近代を代表する多くの歌人が集い、短歌を中心とした文学活動が盛んに行われてきたことから「近代短歌のふるさと」と呼ばれています。
本市には短歌文化を象徴する場所として、塩尻短歌館があります。塩尻ゆかりの歌人たちの作品を展示しているほか、短歌に親しむさまざまな催しを開催しています。また、市内には各所に太田水穂、島木赤彦、若山喜志子をはじめとする先人たちの歌碑が建立されています。
短歌と出会えるまち
歌人たちが残した短歌の文化は、今なおこの地に根付き、多くの市民が創作活動に取り組んでいます。学校の授業や地域の自主活動などでも短歌作りが活発に行われており、年々塩尻ならではの短歌活動が広がりつつあります。また、先人の思いを受け継ぎ、31文字に思いを込める日本語の素晴らしさを全国に発信していくため、昭和62年から毎年「全国短歌フォーラムin塩尻」を開催しています。
interview吉田小学校 短歌教育担当 小谷 絵美さん「写真」
全校児童の短歌を短歌集に 吉田小学校
気持ちを短歌で表現する
吉田小学校では短歌の伝統を守り継ぐため、日頃から短歌に触れる活動をしています。児童たちは修学旅行や運動会など、学校行事のたびに短歌で気持ちを表現しています。これまで、年間を通して制作した全校児童分の短歌を一つの短歌集にして残してきました。
「写真」
本校では、日常生活の中に短歌の活動を組み込んでいます。児童が作った短歌は短歌集にする他、学校内で短歌コンクールを行って表彰したり、全国短歌フォーラムin塩尻に応募したりしています。児童会には短歌委員会があり、12月1日を短歌の日と定め、短歌集会を開いて全校で一緒に短歌に触れ合う機会を設けています。また、児童たちの短歌を廊下に掲示することや、給食時に放送して紹介することで学校生活の一部に短歌の存在があります。そうして1年生から短歌に触れ合うことで、児童たちは自分の思いを言葉にして表現することが自然とできるようになっています。気持ちを表現する短歌は、友達の新たな一面を発見したり、心を通わせたりすることができる吉田小学校ならではの大切な伝統だと思います。
「写真」
冬の短歌コンクールから一首
雪が降り 辺り一面 真っ白だ 積もった雪に 手形をつけた
及川 美羽
さらなる短歌の広がりを目指して
短歌フォーラム事業の在り方を検討しています
本市では、短歌を中心とした事業について、多くの皆さんのご意見を反映させていくため、今後の在り方について検討しています。今回は「全国短歌フォーラムin塩尻」に特化して、市民の皆さんやこれまでの参加者などを対象にアンケートを実施しました。その内容の一部をご紹介します。
■グラフ どのようなイベントに参加したいか
(回答者数683人。複数回答可)
会場での短歌大会 33%
講演会(トークショー) 24%
歌人・地域との交流 17%
観光を絡めたもの 13%
紙面・インターネットでの大会 10%
その他 3%
アンケートの結果から
今後、参加したいと思うイベントの内容についてご意見をいただきました(グラフ参照)。会場での短歌大会が33%を占めているものの、このうちの約8割が大会への参加が難しいと回答していました。全体では、講演会や観光および歌人との交流を絡めたイベントの割合が多く、楽しみながら短歌に触れられる機会の需要が高いことが分かりました。
短歌事業への思い(コメントを一部抜粋)「イラスト」
「イラスト」これからは地域が中心となって盛り上がってくれると、塩尻市民としてはうれしい。
「イラスト」紙面やインターネットという形でも良いので、短歌フォーラムを続けてほしい。
「イラスト」短歌愛好者全体が高齢化しているため、若い世代を取り込めると良い。
interviewならかわ桜プロジェクト 短歌を作る人 七音(なおと)さん(木曽平沢)「写真」
ならかわ桜プロジェクト 地域の風景と短歌を紹介
地域の風景に短歌の魔法をかける
桜の再生から始まった地域活性化プロジェクト「ならかわ桜プロジェクト」。桜の整備だけでなく、現在は観光案内表示やトイレの整備など地域からの要望に応えながら、貴重な地域資源の一つひとつを桜のようにスポットライトを当てて取り組んでいます。
楢川には多くのきれいな風景がありますが、地域の人が知らないこともあり、もったいないと感じていました。そんな思いをお伝えしたところ、楢川の美しい風景を新しい地域資源として発信しようと、プロジェクトに短歌が加わりました。現在は、プロジェクトのホームページで楢川地区の風景写真に短歌を添えて発信しています。いつも見ている光景も、短歌が添えられるだけでドラマチックになります。地域の風景が主役で、短歌はそこに「心」を盛り込むための魔法だと思っています。短歌を作る人が減っている中で、若い世代の皆さんにも届くように、なるべく自分が普段使っている言葉でその時の気持ちを表現しています。この取り組みが地域や短歌に興味を持つきっかけになってほしいと思っています。
奈良井宿の雪の中にあるポストで一首
雪の日に真っ赤なポストが待ちわびる I Love Youって書いてある紙
七音
「写真」
夏の奈良井宿の様子から一首
この道を 幼いあなたと 歩いた日 未来はすべて 青空でした
七音
「写真」
「QRコード」▲ならかわ桜プロジェクトのホームページ。詳細や七音さんの短歌を紹介しています。