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広報塩尻令和5年1月号テキスト版 16ページから17ページ

ページID:0028343 更新日:2022年12月1日更新 印刷ページ表示

広報塩尻2023年1月号テキスト版16ページから17ページがご覧になれます。

第36回全国短歌フォーラムin塩尻 「一般の部」「学生の部」入賞作品

問い合わせ 社会教育スポーツ課社会教育係 直通電話0263-52-0903
 第36回全国短歌フォーラムin塩尻に全国から「一般の部」1,889首、「学生の部」12,414首もの短歌が寄せられました。表現力豊かな入賞作品を紹介します。

一般の部 最優秀賞

佐佐木幸綱 選

洗濯物映える画面の娘(こ)と電話「今夜のメニューは三日目のスープ」「写真」
塩尻市 小林 芽久美さん

【選者の講評】

テレビ電話での、相手の顔や部屋を見ながらの通話。娘さんの部屋は、洗濯物が目立つ部屋なんですね。生活実感のある「三日目のスープ」が、うまい。

永田和宏 選

電話帳の一番上にあなたいて消せずにわたしは佐々木になるね「写真」
岡山県倉敷市 堀 将大さん

【選者の講評】

かつての恋人の名前を消去できないままに、結婚して姓が変わる私。そんな背景を一切の説明なしに詠ったのは見事。「なるね」の、相手に伝わらないひとり言が切ない。

小島ゆかり 選

亡き父のクラリネットに秘密ありわたしだけ知るチンドン屋の夢「写真」
大阪府池田市 黒木 淳子さん

【選者の講評】

亡き父の夢はチンドン屋になること。父の遺したクラリネットには、その夢が潜んでいるのだ。今は自分だけが知る大切な秘密。哀しく楽しく父への懐かしさを伝える秀歌。

一般の部 優秀賞

子の寝るにさるかに合戦聞かせれば吾も眠くなる種を蒔くころ
新潟県糸魚川市 清水 恵美さん
郡上の町天然鮎をじっくりと焼きて待たせる我も待つ人
愛知県名古屋市 中崎 淳子さん
吉報の匂いが残る留守電にそわそわしてる生き物と化す
松川村 谷川 利音さん
優しさは言葉じゃなくてもわかるもの私に合わせた慣れない歩幅
大阪府箕面市 秋吉 和紀さん
そっけないあなたの返事どうしたの隣に誰か居るのね、きっと
北海道札幌市 後藤 明美さん
母の死にやっぱり泣いた電話口「わかりました」は準備していた
長崎県諫早市 馬渡 壽人さん
棺から外を覗けば生前は止(と)められていた銘酒が並ぶ
和歌山県海南市 樋口 勉さん
風呂を出(で)し直後保護者から電話あり首から上のみ教師となりぬ
北海道伊達市 中村 英俊さん
私二十歳話してみたい恋のこと二十歳の頃の母と電話で
富山県富山市 松田 わこさん

学生の部 最優秀賞(穂村弘 選)

あげはちょうが休みにきたよおひるねのお兄ちゃんしずかにおきてしずかにおきて「写真」

新潟県巻サミト教室2年 田村 結さん

【選者の講評】

「お兄ちゃん」にも「あげはちょう」を見てほしい。でも、驚かせたら逃げてしまう。だから「しずかにおきて」欲しいのだろう。心のこもった繰り返しに胸を打たれる。

あつい夏魚がいっぱいなにがいる?わたしは見たの小さなクラゲ「写真」

大町市立八坂小学校4年 谷林 花梨さん

【選者の講評】

「なにがいる?」と思ってのぞいたら「小さなクラゲ」がいたのですね。「わたしは見たの小さなクラゲ」と、秘密をそっと教えてくれるような口調が素晴らしい。

空っぽの教室に取り残されたラクガキ蝉の声が聞こえる「写真」

箕輪町立箕輪中学校2年 戸田 琴望さん

【選者の講評】

誰かの「ラクガキ」と「蝉の声」が「教室」の「空っぽ」感を一層増幅している。〈私〉が自分自身の心の中に「取り残され」ているような不思議な入れ子感覚が魅力的。

こっそりとギアを一番軽くする君と並んで走る自転車「写真」

東京都中央大学杉並高等学校1年 林 真悠子さん

【選者の講評】

一緒に並んで走りたい気持ちがそうさせたのだろう。でもたぶん「君」は気付いていない。「ギア」のチェンジにも、〈私〉の気持ちにも。その非対称性が瑞々しく切ない。

学生の部 最優秀賞(小島なお 選)

たん生日母子手ちょうを見てみたよ9時16分にわたしは生まれた「写真」

岐阜県郡上市立大和南小学校3年 池田 くるみさん

【選者の講評】

5分でも、17分でもない。9時16分というなんでもない数字がお母さんに、お父さんに特別な光をもたらしたのです。私という不可思議な存在のひとつの証明。

みつばちが手持ちぶさたで種なしのスイカの受粉を空から見つめる「写真」

山口県光市立光井小学校6年 横道 玄さん

【選者の講評】

人工交配で栽培される種なしスイカ。花粉を運ぶ役目を失ったみつばち。何となく様子をのぞき見しているよう。農家の一場面がのどかに鮮やかに見えてきます。

授業中ペンを走らし見渡すととてもやさしく空が泣いていた「写真」

小川村立小川中学校2年 古屋 陽向さん

【選者の講評】

ノートに集中していて、ふいに巡りの気配の変化を感じたのでしょう。顔を上げて窓の外を見ると静かな柔らかな雨が降っていた。自分の心と空の心との優しい交感。

蝉が鳴くふと声が止むかぜが吹くその一瞬に世界のうらがわ「写真」

愛知県名古屋大学附属高等学校1年 岩間 絢子さん

【選者の講評】

蝉が鳴きやんだひとときの静寂に風が吹いた。そこからダイナミックにスリリングに世界が飛躍します。普段暮らしているのは表側。裏側の未知へ誘われる。
※このほかの優秀賞・入選作品は、全国短歌フォーラムin塩尻ホームページ(URL https://tanka.shiojiri.com/)に掲載しています。ぜひご覧ください。「QRコード」