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広報塩尻令和4年9月号テキスト版 2ページから7ページ

ページID:0025371 更新日:2022年9月1日更新 印刷ページ表示

広報塩尻2022年9月号テキスト版2ページから7ページがご覧になれます。

特集 私らしい私のままで 認知症を知り、支える「イラスト」

 認知症は誰にでも起こり得る脳の病気です。厚生労働省によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると見込まれています。誰もが認知症と関わるかもしれない現代社会。
 今回は早期発見の大切さ、家族を介護すること、地域で支えることについて医師、家族介護者、地域サポーターにインタビューをしました。認知症を理解し、自分たちにできることを考えてみませんか。「写真」
問い合わせ 長寿課介護予防係 電話0263-52-0280 内線2122

9月21日は世界アルツハイマーデー
 1994年「国際アルツハイマー病協会」(Adi)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定し、この日を中心に認知症の啓発を実施しています。

早期発見・早期治療で病気の進行を緩やかに

 認知症と物忘れの違いや、認知症の人が自分らしくいるために大切なことなどについて、認知症疾患医療センターである桔梗ヶ原病院の園原先生にお伺いしました。
桔梗ヶ原病院 院長 園原 和樹先生「写真」

認知症イコール物忘れではない

 認知症とは、脳の機能が全般的に低下するアルツハイマー型や脳にレビー小体という物質が蓄積されて発症するレビー小体型などいくつかの種類があり、その総称です。老化に伴う物忘れではなく、認知機能が低下している状態のことをいいます。これは、暑いのに窓を開けないなど、自分の外側の変化に気が付かず対応できなくなることを指します。物忘れがあるかどうかで認知症と判断するのではなく、身の回りで起きていることに反応して順応した行動がとれているかどうかがポイントです。
 認知症と物忘れの違いは、自分がやったことを忘れても修正できるかどうか、時間とともに物忘れが進行するかどうかにも表れます。

早期発見・早期治療と病気のことを知る時間が大切

 皆さんになじみがあるのは、アルツハイマー型認知症です(図1参照)。この型は、脳の神経細胞がゆっくりと減少していきます。新しく覚えたことから忘れてしまう記憶障害などの中核症状が出始め、症状が進むと睡眠障害や妄想、徘徊などの行動・心理症状が現れます。
 現在認知症に対する薬は、完治させるものは無く、残された神経細胞の機能を維持することが目的となります。主作用が記憶の低下を緩やかにすることとなるため、早い時期に治療を始めることが大切です(図2参照)。早期発見・早期治療をすることが、穏やかな暮らしを続けることにつながります。
 また、病気のことを家族が知る時間を作ることも大切です。この病気は、物忘れが直接の原因ではなく、認知機能が衰え食べ方が分からなくなり肺炎を引き起こしたり、筋力が低下し今までできたことができなくなったりして最期を迎えることが多いです。家族が病気の経過を知り、準備と心構えをすることで、本人が生活しやすい環境を整えることができます。

図1 主な認知症の種類「円グラフ」
  • アルツハイマー型認知症 67.6%
  • 血管性認知症 19.5%
  • レビー小体型認知症 4.3%
  • 前頭側頭型認知症 1.0%
  • その他 7.6%

資料:「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(H25.5報告)

図2 薬の服用の変化「グラフ」

縦軸 上から下へ 軽度から重度へ 症状の経過
横軸 時間の経過
何も治療しない場合 緑線
薬を服用
薬を服用し続けた場合 オレンジ線
薬の服用を途中で辞めた場合 赤線
「イラスト」

本人が自分らしくいるために

 認知症になっても感情は残っているため、本人が自分らしくいられる時間を作ることが大切です。しかし、その時間を家族だけで作ることはとても難しいため、デイサービスや訪問サービスなど介護サービスを活用し、家族以外で本人のコミュニティーを作ることが重要です。

考え方を理解し、認知症と向き合う「写真」

 家庭で介護を続け、これまでに感じてきた思いや認知症の人と家族に対するケアなどについて、家族介護者にお伺いしました。
【語り手】市内在住のAさん(仮名)
認知症の人と家族の会の会員。10年以上、夫と一緒に父親の介護をしている。「イラスト」
 父は、80歳の時に認知症を発症しました。発症後5年間は母が介護をしていたのですが、母が倒れたことがきっかけとなり、私たち娘夫婦が父の介護を引き継ぎました。現在は、週2から3日デイサービスと月2回程度ショートステイを利用しています。
 介護を引き継いだ当時は、利用できるサービスや介護方法が分かりませんでした。そのため、介護サービスの計画を立ててくれるケアマネジャーと細かなところまで打ち合わせをして、自分たちの納得がいく介護生活を目指しました。

誰かに気持ちを話すことが大切

 ある時私は、自分の感情を父にぶつけてしまいました。すると父は、突然目の焦点が合わなくなり激怒し、父が父でなくなる感覚が私の中でありました。怒る父を側で見守り、落ち着くまでの30分間は救急車を呼べず、誰にも頼ることができず、家族だけで頑張らなければいけない時間でとても辛かったです。
 このような辛かった経験や悩みを、認知症の家族が集まる家族会やオレンジカフェで話した時に、周りの人が共感してくれて、「私だけではないんだ」と心が救われました。この場所は守秘義務があり、どこにも話が漏れないため、安心して話すことができます。認知症の介護を続けるためには、自分が大変だったという経験を一人で悩まずに、誰かに共感してもらうことが大切だと感じています。
 気軽に集まって、認知症の悩みを話せる場所や同じ悩みを持つ人同士でつながりが持てるような場所を地域ごとに増やしてほしいですね。

本人を理解し介護する

 認知症の介護は、本人の自尊心を傷つけずに本人の理解しやすい言葉や方法を早く見つけることが大切だと思います。例えば父の場合、デイサービスというと「そんなところには行かない」とそっぽを向いてしまいます。これを習い事という言葉に変えると、自分は勉強をしに行くんだとやる気になります。ほかにもその日の予定は、必ずご飯を食べる前に提示して安心してもらいます。また、現在2カ所のデイサービスを利用しているのですが、施設を使用するときにスムーズに介護してもらえるように、父の基本情報や家での様子をまとめた冊子を作っています。これがあることで、施設の職員に父を早く理解してもらうことができ、また父が施設で快適に過ごせることにもつながります。さらに、サービスを利用することで、父は見守りがある中で日常を楽しみ、私は自分の時間を作ることができます。

本人に寄り添う介護をするために

 介護は、毎日のことです。本人と介護者のどちらかが頑張りすきてしまったら続きません。いつか身も心も壊れてしまいます。認知症は、治療方法も薬も確立されておらず、介護方法もそれぞれ違います。認知症という病気を知り、本人が理解できる言葉や思いを知ることが大切だと思います。
 多くの人が認知症について理解し、認知症の人とその家族が住みやすい地域になってほしいです。
「写真」このカードを、食卓に座った時に見えるように、本人の目の前に提示します。
「写真」トイレは、夜間でも電気が付けられるように、蓄光テープを貼ったり、ごみを流さないように張り紙をしたりしています。
「寄り添う介護とは、本人が望む思いにできるだけ耳を傾け、共に生きること″

あなたの接し方で変わります 接し方のポイント

画像提供:社会保険研究所

シーン(1) 同じことを何度も話す

「イラスト」
 「さっき聞いた」と言ってしまうと、自分の殻に閉じこもってしまうことがあります。同じことでも何度も聞いて、聞き上手に徹しましょう。

シーン(2) 「ごはんはまだ?」と聞く

「イラスト」お茶を飲んで待ちましょう
 食後すぐにごはんはまだかと言う時は、食べたという事実を理解してもらうより、納得してもらうことに重点をおきましょう。

シーン(3) 「お金を盗られた」と騒ぐ

「イラスト」ここを探しましょう
 本人以外の人が財布を見つけても本人を責めず、一緒に探して本人が見つけられるように導きましょう。「自分で見つけられた」という自信になります。

認知症の人と家族の会 かいご・しおじり

問い合わせ 中央地域包括支援センター 電話0263-52-0280 内線2131
 認知症についての正しい知識を学ぶ場として、また、情報交換や、家族の憩いの場となるような会です。気軽にお越しください。
■対象 認知症の家族がいる人、または認知症に関心がある人など
■活動内容
 ○定例会(毎月第3木曜日)
 ○講演会への参加など
■会費 年間1,000円
※詳細はお問い合わせください。「イラスト」

認知症に関わり安心して暮らせる地域を作る

 認知症サポーター養成講座とステップアップ講座を受講し、認知症に関わる不安や悩みを気兼ねなく話せる場であるオレンジカフェ・イーストを設立した御子柴さん。認知症の人を地域で支える大切さについてお伺いしました。
オレンジカフェ・イースト 代表 御子柴 治美さん「写真」

講座で認知症を知る

 私は民生委員をやっていた頃に、認知症の人がいるご家庭に行く機会がありました。そこで、介護者の苦悩や人に悩みを話すことで気持ちが少し楽になるということをお聞きし、人と人とのつながりや地域で支えることの大切さを感じていました。この経験を生かしたいと考えていた時に、認知症カフェをやらないかと声が掛かり、仲間を誘って始めることを決意しました。
 しかし、私には認知症の人に対する知識や介護の経験がなかったため、認知症サポーター講座と実習ができるステップアップ講座を受講しました。各講座では、認知症の症状や接し方のポイントを勉強し、実際に施設へも出向き、サポート体験を行いました。短期間で多くを学ぶことができて、ありがたかったです。

地域で気軽に集まれる場所

 現在オレンジカフェ・イーストでは、月に1回皆で認知症に関わる不安や悩みを共有したり、勉強会を行ったりするなど、さまざまな活動をしています。参加者はお茶を飲みながら、自分が抱えている不安を他の参加者と共有することで、暗い表情で来た人も帰る頃には、明るい表情になって帰っていきます。
 また、市内3カ所で開催していることもポイントです。不安を感じた時に気軽に来ることができ、住民同士のつながりも生まれます。

誰かに話すことが大切

 「自分は大丈夫かな」「家族が認知症かもしれない」などの悩みは一人で抱え込まず、自分の思いを言葉にして、誰かに話すことが大切です。こうした場所が地域にあることを知ってもらい、気軽に来ていただきたいです。
「写真」(1)輪投げを楽しむ参加者。
「写真」(2)グループごと輪になり、お題に沿って自己紹介する様子。

市内に3カ所ある認知症カフェ オレンジカフェにお越しください

 オレンジカフェは、認知症に関わる不安や悩みを気兼ねなく話せる場です。詳細はお問い合わせください。

オレンジカフェふれひろ

問い合わせ ふれあいセンター広丘 電話0263-51-5070
■開催日 毎月第1土曜日と第3木曜日の午後
■場所 ふれあいセンター広丘

オレンジカフェ洗馬

問い合わせ 中央地域包括センター 電話0263-52-0280 内線2131
■開催日 毎月第4金曜日の午後
■場所 ふれあいセンター洗馬

オレンジカフェ・イースト

問い合わせ 中央地域包括センター 電話0263-52-0280 内線2131
■開催日 毎月第3水曜日の午後
■場所 ふれあいセンター東部

地域で暮らす 介護サービスを利用するためには

 介護サービスは、要介護認定を受けた65歳以上の人または40歳から64歳で老化が原因とされる病気(特定疾病)により介護が必要であると認定された人が利用できるサービスです。介護度は要支援1・2、要介護1から5までの7段階および非該当に分かれ、認定区分や生活状況からサービスを検討します。

利用までの流れ

(1)相談 市や各地区の地域包括支援センターが介護サービスに係る相談を受け付け。

(2)申請 申請書に必要事項を記入し、窓口に提出。

(3)認定調査 主治医意見書 心身の状態などを調べるため、市の職員が本人や家族などに聞き取り、主治医に依頼。主治医が医学的立場で意見を記入。

(4)審判判定 調査内容をもとに、審査会で介護区分を決定。

(5)認定結果通知 審査の結果が印字された介護保険被保険者証を郵送。

(6)計画作成 ケアマネジャーとケアプランを作成。

(7)介護サービス利用開始

受けられるサービスの例

訪問型サービス「イラスト」
通所型サービス「イラスト」
施設サービス「イラスト」
福祉用具など「イラスト」
住宅改修「イラスト」
※介護に関するサービスの詳細は、厚生労働省のホームページをご覧ください。「QRコード」

認知症について正しく理解しませんか 認知症サポーター養成講座

問い合わせ ふれあいセンター広丘 電話0263-51-5070
 認知症は、誰でもなる可能性のある病気です。認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族に対して温かい目で見守ることが支援のスタートです。認知症サポーターは、「何か特別なことをする人」ではありません。認知症やその家族の「応援者」になることです。ぜひご参加ください。
■日時 9月17日土曜日 午後1時から2時半
■場所 ふれあいセンター広丘
■参加費 無料
※電話でお申し込みください。「写真」

「不安だな」と思ったら相談窓口へ

 市内には、認知症をはじめ高齢者に関する相談窓口が4カ所あります。家族や自分、近隣の人などのことで「不安だな」「心配だ」と思うことがあれば、ご相談ください。

中央地域包括支援センター(大門、塩尻東、北小野地区)

■電話番号 0263-52-0280 内線2131
■住所 大門六番町4番6号 市保健福祉センター内

西部地域包括支援センター(宗賀、洗馬、楢川地区)

■電話番号 0263-88-9005
■住所 宗賀1298番地514 デイサービスセンターすがのの郷内

北部地域包括支援センター(片丘、広丘、高出、吉田地区)

■電話番号 0263-88-3314
■住所 広丘野村2223番地 地域密着型特別守る老人ホームこまくさ野村渋池内

ふれあいセンター広丘

■電話番号 0263-51-5070
■住所 広丘堅石2150番地1