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広報しおじり令和2年12月号テキスト版 2ページから7ページ

ページID:0002104 更新日:2021年6月28日更新 印刷ページ表示

広報しおじり2020年12月号テキスト版2ページから7ページがご覧になれます。

特集 チャレンジが子どもを育む 塩尻市コミュニティ・スクールのいま

 今年で5年目を迎えた本市のコミュニティ・スクール。これまで地域の特色を生かしたさまざまな取り組みが行われています。コロナ禍という大きなポイントを迎えた、今年の活動の一部をご紹介します。
問い合わせ 教育総務課教育企画係 電話0263-52-0280 内線3111

コミュニティ・スクールは地域と学校が同じ方向を向き、地域の子どもを育む仕組み

 コミュニティ・スクール(以降CS)は、地域の皆さんの声を学校経営や運営に反映させながら、地域と学校が同じ方向を向き、力を合わせて地域の子どもを育むための仕組みです。これによって、地域の皆さんと一体となって特色ある学校づくりを進めることができます。本市では、国の方針に先駆けて、平成28年4月に全小・中学校でCSをスタートしました。
 本市のCSでは、熟議を通して「地域と学校で協働して育てたい子どもの姿」を具体的に考え、共有し、その狙いに即するような教育活動が行われています。「育てたい子どもの姿」の実現に向け、地域と学校で力を合わせ「足し算・かけ算の教育」を行っていくことがCS活動です。(図1参照)

これからの社会をたくましく生き抜くための力や社会性・人間力を育む

 時代が変わるにつれ、地域の人と人とのつながりが希薄となってきています。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、対面での交流の減少をさらに加速させたように感じられます。
 CS活動は、人間が本来持ち合わせている「人と人とのつながり、絆」を基盤にした活動です。「分断」ではなく「連携・連帯」を大事にし、AIでは不可能な「新たなものを創り出す活動」「未知なるものに対する的確な判断やあくなき挑戦」「命や自然をこよなくいとおしむ心」といった力を育んでいかなければなりません。そして、このような教育活動は学校だけで完結させることはできません。学校を取り囲む地域の皆さんすべての「持てる力」を、子どもたちのために注いでいただくことが不可欠です。子どもたちを取り巻く大人の「生き方・姿勢」が、子どもたちの「生きる力」を育成する基盤となり、子どもたちの見本となります。
 また、本市のCSは、「みんなわくわく、みんなニコニコ」をモットーに活動しています。子どもたちに活動を楽しんでもらえるように、まずは地域の皆さんや教職員、保護者などの大人が主体的に楽しんで取り組めるような活動を目指しています。次ページからは、その具体的なCSの取り組みを一部ご紹介します。

図1 コミュニティ・スクールのイメージ

こんな子どもに育ってほしい「願い」
↓(矢印)
地域・保護者 × 学校
「願い」の実現に向けて、協働して取り組む

子ども、学校、地域が考え、挑戦することで楽しいCSに

教育総務課 池上 良満「写真」
 本市のCSも5年目を迎えました。現在、どのCSでもそれぞれの地域の特色や特性を生かしながら、子どもたちの自主性・主体性が育まれるよう、また、「自分も地域の一員」「自分も地域の役に立っている」という思いを子どもたちが得られるようCS活動に工夫を凝らしていただいています。
 今年度当初は、新型コロナウイルス感染症の影響で、CS活動の休止を余儀なくされました。しかし、休校が明けてからは、地域と学校で活動可能な内容を真剣に考え、工夫を凝らしたCS活動が展開されてきました。そして、この困難に立ち向かう大人の前向きな生き方を子どもたちに示すことができ、今後のCSの良い道しるべになったと思います。
 CS活動に正解やゴールはありません。地域と学校とが子どもの健やかな成長を願い、子どもを真ん中に据え常に熟議や協働活動を積み重ね、新たな挑戦をし続けることで熟成し続けます。コロナ禍の今年度は、その挑戦への力強い第一歩となりました。

みんなでいることが、子どもの成長につながる

 みんなで食卓を囲う、みんなで体験を共有する。そういった経験が、子どもが社会で生き抜くための力につながります。

コミュニティ・スクールとこども食堂がコラボ

 現在、学校でもない、家庭でもない、子どもたちの第三の居場所として、全国各地で定着してきているこども食堂。豊かな田園地帯にある片丘小学校のCSでは、全国的にも珍しいCSとNPO法人ホットライン信州との協働でこども食堂「片丘小CS夕日食堂(以降、夕日食堂)」を行っています。今年度は9月から再開し、新型コロナウイルス感染症防止対策には万全を期して実施しています。
 夕日食堂は、CS活動の一つとして、小学生や保護者、地域の大人たちが一緒に食卓を囲み、交流することを目的として片丘支所で行っています。学校から近く、学校でも家庭でもないという点から子どもたちの新たな居場所となっています。

子どもたちの居場所となり、子どもたちを地域で育てる

 片丘小CSと夕日食堂を共催する、NPO法人ホットライン信州の青木正照さんは、「ここで開催することで、同じ地区の老若男女が集まり、子どもの新たな居場所にもなります」と語ります。また、みんなで食卓を囲うことにも意味があると、青木さんは話します。「40歳前後の引きこもりの要因の一つに、幼少期の独りぼっちや孤食が挙げられています。子どもの頃からみんなで食卓を囲うことで、コミュニケーション能力の向上や人格形成、五感の養成など、社会を生き抜く力を育みます」。
 また、大人たちには、子どもたちを地域のみんなで育てようという機運ができ、新たに夕日食堂で出会った仲間たちとのつながりもできます。新型コロナウイルス感染症が流行している社会情勢の中で、CSに参加した人たちが、人と人とのコミュニケーションの大切さを改めて考える場にもなっています。

学校の外での体験が地域とのつながりを生む

 片丘小CSではさまざまな活動を行っており、その一つとして、地域の皆さんと児童たちが畑で作物を育てています。畑1反を1から6年生すべての児童で、田んぼ5畝を5年生で世話をしています。
 例年は土づくりから種まき、栽培、そして収穫まで一通りのことを体験していますが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で主に収穫を実施。休校期間中は、いつ子どもたちが参加しても大丈夫なように地域の大人たちで畑を守っていました。7月には、トウモロコシの収穫を体験し、その場でトウモロコシを炭火焼きにして、みんなでおいしくいただきました。
 学校支援ボランティアの田中勝子さんは「うれしかったのは、欠席した子どもたちに他の子どもたちがトウモロコシを届けに行ってくれたことですね。子どもたちの絆を身近に感じることができました」とやりがいを語っていました。
 子どもたちは地域の大人とさまざまな体験ができ、大人たちは自分たちの得意分野を生かせる。CSは、お互いに良い刺激となっています。
「写真」食事の前には、本の読み聞かせなどの催しも開催しています。
「写真」7月に開催した、トウモロコシの収穫体験の様子。3日に分けて開催し、ほぼすべての児童が参加しました。採れたて、焼きたてのトウモロコシの味に、子どもたちも喜んでいました。

いろいろな学年の子と交流ができて楽しい

花村 優南さん(南内田)北澤 美琴さん(南内田)中野 汐さん(北熊井)「写真」
 友だちに誘われて夕日食堂に参加しました。昨年は同級生が多かったのですが、今年は下級生が多く、いろいろな学年と交流ができて楽しいです。新型コロナが流行する前のように、食堂での調理や、配膳のお手伝いがまたできるとうれしいです。

子どもも大人も一生懸命取り組んでいます

片丘小学校コミュニティ・スクール会長 ?田 旦(あきら)さん(南内田)「写真」
 農業体験では、子どもたちが朝や昼の空き時間に水やりをするなど一生懸命取り組んでいます。私たち大人も、以前より交流する機会が増え、やりがいをもって取り組めています。この活動が、お互いにとって貴重な経験になっていると思います。

地域と学校の橋渡しとなる場所をつくる

 地域の皆さんとの関わりをつくるには、その入り口が必要です。丘中学校で毎週開かれている「Cafe(カフェ)丘」を取材しました。

誰もが気軽に入れるスペース「Cafe丘」

 市内でも大規模校である丘中学校では、「Cafe丘」という交流スペースを毎週水曜日に開催しています。
 CSの目的の一つは、地域の人たちが気軽に学校教育に関われるようになることです。しかし、いきなり地域の人が入ってきても、お互いに身構えてしまいます。吉田公民館長の八島思保さんは「まずは生徒たちと地域の皆さんが気軽に来れるようなオープンな場を作ることから始めようと思い、Cafe丘を企画しました」と話します。オープン当初こそやってくる人たちが少なかったものの、2カ月ほど経過するとにぎわい始め、1日に最大170人ほどの生徒、地域の皆さんが訪れたこともあるそうです。

Cafe丘は子どもたちの 自主性を育む場でありたい

 Cafe丘は遊びに来る生徒、少し息抜きに来る生徒など、さまざまな思いを持った生徒たちがやってきます。中には、教室に通うことが難しかった生徒が教室に通えるようになった例もあり、生徒たちの居場所としての役割を果たしています。八島さんは「規則を守った行動はもちろん大切ですが、その上でCafe丘は、子どもたちの自主性を育む場でありたいですね」と子どもたちの意思を尊重できる場づくりにこだわっています。

CSによって子ども、学校、地域が学び合い、多様性を生む

 現在Cafe丘では、新型コロナウイルス感染症と向き合い、CSで何ができるのかを模索中です。八島さんは「Cafe丘では、学年もクラスも異なる生徒たちが仲良く交流しています。新型コロナウイルス感染症が危険といって何もできない、無理だと思うのではなく、それを踏まえて今何ができるのかを考えるのが大切です」と今後の展望を語ります。
 最後に、八島さんはCafe丘をはじめとしたCS活動についてこう語ってくれました。「CSは、先生対生徒だけではなく、地域の皆さんを交えて多様な交流を生み出すことで、生徒たちの多様性を養います。生徒や先生には地域のことをもっと知ってほしいですし、地域の皆さんには、今の子どもたちのことをよく知ってほしいですね。三者が互いに学び合うことで、多様性が生まれることを期待しています」。
 取材に訪れたこの日は、休止が明けて2回目の開催日。Cafe丘にやってきた生徒たちは、八島さんたちとの再会を喜び、生き生きとしていました。こちらの取材にも、生徒の皆さんは明るい笑顔で快く応じていただき、学校での生活が豊かであることが感じられました。

「写真1、2」カフェらしい雰囲気にしようと、生徒と大人が協力して制作した飾り付け。
「写真3」地域の皆さんが気軽に学校に入るきっかけとなっています。
「写真4」コロナ禍以前のCafe丘の様子。多くの生徒・地域の皆さんでにぎわっていました。
「写真5」手作りの看板が、訪れる人たちを出迎えます。

いろいろな学年の子と交流ができて楽しい

中野 佳奈さん(吉田四区)八島 真思さん(吉田五区)五藤 涼さん(吉田五区)「写真」
 昨年のオープン時からCafe丘に来ています。居心地が良くて、他クラスや他学年の生徒との交流を楽しんでいます。また、地域の皆さんとの交流により、私たちとは異なる価値観を知ることができています。私たちが卒業した後もCafe丘が続いてくれるとうれしいです。

大人の姿が子どもたちのキャリア教育に

丘中学校 校長 佐倉 俊先生「写真」
 Cafe丘をはじめCSでは、地域の皆さんや生徒たち、教職員が試行錯誤しながら、型にはまらない活動をしてほしいですね。その中で、子どもにとって地域と関わる居場所となり、また、大人の考え方や生きる姿を見ることでキャリア教育となることも期待しています。

コミュニティ・スクールは市内各小・中学校で活動しています

問い合わせ 教育総務課教育企画係 電話0263-52-0280 内線3111
 本市では、各小・中学校でさまざまな活動を行っています。今回取り上げた活動のほかにも、各地区で面白い取り組みが行われています。詳細は、各小・中学校のホームページをご覧ください。