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広報しおじり令和2年10月号テキスト版 2ページから5ページ

ページID:0002084 更新日:2021年6月28日更新 印刷ページ表示

広報しおじり2020年10月号テキスト版2ページから5ページがご覧になれます。

特集 森に未来の光を

 本市では、森林を健全に維持し、その恵みを暮らしに生かす取り組みに力を入れています。今回は、「信州Fパワープロジェクト」の経過や、塩尻市森林公社、市民団体の取り組みをご紹介します。
問い合わせ 森林課林業振興係 電話0263-52-0280 内線1226 一般社団法人塩尻市森林公社 電話0263-31-6733

木材活用の持続的サイクルの実現を目指して

 今、戦後植林された森林の多くが、資源として伐期を迎えています。「森林を生かし、森林に生かされる豊かな暮らし」の実現を目指して、平成24年9月、長野県や民間企業との連携のもと「信州Fパワープロジェクト」はスタートしました。
 このプロジェクトは、県内の豊かな森林資源を育みながら無駄なく活用し、その受益を地域に還元していくことで、「森林の育成と木材利用のサイクル」を持続的に実現することを目指しています。さらに、木質バイオマス発電や、木質ペレット燃料の製造・供給により、化石燃料に依存しない地域エネルギーの創出と、環境負荷の少ない循環型地域社会の形成にも取り組んでいます。

木材活用の第一歩「信州Fパワープロジェクト」

 27年には、民間企業による県内最大規模の木材加工施設が稼働し、木材の需要拡大と県産材の普及が図られています。そして、この10月にはプロジェクト推進の中核施設である「木質バイオマス発電所」がいよいよ本稼働を迎え、森林再生と再生可能エネルギー利用の先進的モデルの実現に向けた一歩が踏み出されます。
 森林は、土砂災害の防止や水源のかん養など多面的な機能を有する、私たちの暮らしに欠かせない大切な役割を担っています。この機能を持続的に発揮させていくためには、木を「植える」「育てる」「使う」そして「植える」という循環を持続的に確保していく必要があります。本市は、信州Fパワープロジェクトを通して、森林資源の多面的な利活用と価値の最大化を図ります。併せて、森林に対する「価値の再認識」と「森への関心」を高めていくことで、この豊かで恵まれた森林を、健全な姿のままで未来に引き継ぐための取り組みを、市民の皆さんとともに進めていきます。

信州Fパワープロジェクトの概要

  • 発電用・製材の原木などの安定供給
    征矢野建材株式会社と木材供給業者で構成するサプライチェーンセンターが主体となり、長野県が総合調整を行います。
  • 発電所・製材加工所の整備・運営
    発電所は、特定目的会社のソヤノウッドパワー株式会社が、製材加工所は征矢野建材株式会社が整備・運営しています。
  • 用地や周辺整備、バイオマス利活用
    本市が所有の用地を賃貸し、周辺市道の整備や原木の放射能測定機の設置を行いました。また、製材過程で出るオガコの活用を研究しています。

木質バイオマス発電施設の概要

施設内容

  • 施設面積 約5,900坪
  • 主要設備 ボイラー、燃料設備
  • 発電出力 14,500kW
  • 発電量 約9,500万kWh/年
    (一般家庭の約2万6,000世帯相当)
  • 燃料 国産木質バイオマス 約14万t/年
    (未利用材、製材端材)
    「写真1」燃料受入ホッパー 「写真2」燃料サイロ
    「写真3」復水器 「写真4」ボイラー

安全第一で地域の皆さまに信頼される施設に

ソヤノウッドパワー株式会社
所長 石井 幸一さん「写真」
 森林資源を余すところなく有効に活用していくための仕組みの一つとして、10月から木質バイオマス発電所が本格的に稼働します。
 発電所では、未利用の間伐材を中心に製材過程で発生する端材などを加工した木材チップを燃料に、電力の安定供給を行ってまいります。
 5月から始まった試運転も、10月の竣工に向けて設備の最終調整に入っています。また、地元の片丘北熊井地区の皆さま向けに事前見学会を開催し、地元との関係を大切にしています。
 今後も、発電所の安全運転を軸とし、地元をはじめとした市民の皆さまに信頼される発電所を目指していきます。

山には木″財″が眠っている

-森林公社の取り組み-
 健全な山を残していくためには、地域をはじめ、多くの人々がさまざまな形で森林に関わり、利用することが求められます。平成29年には塩尻市森林公社が設立され、「森林管理の推進」「森林教育の推進」「木質バイオマス事業の促進」の3つの目的を柱に掲げ、各種事業に取り組んでいます。

地域の担い手が森林整備に貢献する

 森林公社では、現在「しおじり森林塾」を開講しています。木の伐採に関する基本的な技術や知識を学び、山づくりの楽しさを知る「基礎編」と、木材搬出に関する、より実践的な技術と知識を学ぶ「実践編」に分けて、森林の担い手の育成・拡大につなげています。これらの活動を通して、地域の皆さんに山づくりの魅力や木材の価値・山の価値に気付いてもらい、木材を木「財」として活用できる人材の育成を目指しています。
 また、10月に木質バイオマス発電所が稼働を始めることで、燃料用木材の需要増加が予想されます。市は、木材を発電燃料用として取引する上で必要となる「木質バイオマス証明書」の発行を行う制度を創設し、森林公社では燃料用木材の買い取りを行う取り組みを始めています(詳細は左を参照)。これにより、森林資源の更なる有効活用と森林整備の促進を図っていきます。

山の集約化により、計画的かつ効率的に森林を整備

 健全な森林をつくるためには、持続的な森林整備を進めていかなければなりません。しかし、市内の森林所有の形態は複雑多岐で、なかなか整備が進んでいないのが現状です。このような中、森林公社では、地域関係者や林業事業体などと連携し、個人個人が所有している山を取りまとめ一体的に整備する「集約化施業」を、宗賀地区などで取り組んでいます。森林公社の田中速人理事長は「作業道整備や間伐などを一体的に行うことで、経費の低減化を図りながら、計画的・効率的に森林整備を進めて、山側に少しでも多くのお金を残すことが狙いです。同時に、事業体活動の拡大も進めていきたいですね」と語ります。本市の課題である林業再生や森林整備の促進は、市民の皆さん、民間企業、行政が連携することで今、形になりつつあります。

「写真」しおじり森林塾(実践編)の様子。

「写真1」「森林塾(基礎編)」には、女性の参加も増えています。
「写真2」「森林塾(実践編)」では、北小野財産区森林委員の皆さんが、木材の搬出機材の操作を学びました。
「写真3」今後北小野財産区は、木質バイオマス発電所へ、燃料用の伐採木の供給も予定しています。
「写真4」「写真5」森林公社では、「森の健康診断」と題して、小学生をはじめ幅広い世代が森と触れ合う機会を提供しています。

私たちも森林を守っています

森林資源を根から葉先まで有効活用

一期会「写真」
 現在は、宗賀地区の民家や農地に隣接している里山の整備をしています。長年手入れがされていなかったエリアの木を切り出すことで、田畑の鳥獣被害の対策にもなっています。
 また、切り出した木材を活用すべく、炭焼き体験やクラフト体験会も実施しています。森林資源は根から葉先まで有効活用ができます。昔は当たり前だった、生活に密着した山の活用につながってほしいですね。

勝弦の山に住民の皆さんが目を向けるきっかけに

勝弦里地里山応援隊「写真」
 しおじり森林塾の受講生を中心に、北小野勝弦地区の農業用水路や道路にはみ出ている雑木・やぶなどの伐採のほか、森林の間伐などを行っています。
 人口減少・高齢化が進行する中、このままでは山が荒れ、大災害につながる危険や、当たり前にあった景色が失われてしまう恐れがあります。私たちの活動を通して、住民の皆さんが山の価値に目を向けてくれるきっかけになればうれしいですね。

バイオマス発電用間伐材の買い取りを始めます

  • 対象
    市内に山林を有する個人、区、諸団体
  • 買取樹種 針葉樹、広葉樹の間伐材
    ※皆伐材、倒木、枝条、根株は買い取りできません。
  • 買取規格 丸太材
    • 直径 5から55cm
    • 材長 1.5から3.0mの範囲内
  • 買取価格 6,000円/t(税込)
  • 買取までの流れ
    (1)市役所2階森林課へ申請
       伐採の30日前までに、森林課へ伐採届とバイオマス証明書発行申請書を提出。(伐採後、材積量を計測し、バイオマス証明書を発行)
    (2)塩尻市森林公社へ書類を提出
     市が発行する伐採届適合通知書の写しを森林公社へ提出。
    (3)伐採作業をし、山土場、道路(幅員3m以上)沿いに集積または森林公社へ持ち込む。
    (4)森林公社による材の買い取り(材集積場所まで公社がトラックで引き取り)。その際、申請者本人の立ち会いをお願いします。
  • 受取期日 第2・第4水曜日
    お問い合わせ
  • (1)に関するお問い合わせ
     森林課林業振興係 電話0263-52-0280 内線1226
  • その他のお問い合わせ
     一般社団法人塩尻市森林公社 電話0263-31-6733

林業再生の「100年に1度」のチャンスに精一杯協力を

塩尻市長 小口 利幸「写真」
 いよいよ待ちに待ったバイオマス発電事業がスタートします。今日まで壮大なチャレンジでした。原点は福島原発事故の教訓にあります。自然エネルギーの比率を高めるべきという風潮が生まれ、当然主流は安易な太陽光発電でした。その時、遊休市有財産となっていた片丘地区の山林に目をつけていただいたのが征矢野建材株式会社の桜井社長です。山を愛し、無限の資源に生かされ続ける人類の未来を語る姿に感動し、私はそれ以来「言うは易けれど行うは難しい」林業再生の「100年に1度のチャンス」と言い続けてきました。決して容易な道のりでないことは初めから覚悟していましたが、民間事業ですから市のできることは限られる事に、じくじたる思いの3年間でした。改めて桜井社長の信念に敬意を表するとともに、今後の原料供給に精一杯協力できる自治体でなくてはならないと誓う今日です。
 また、エネルギーの地産地消を目指す森林公社が取り組んでいる小売電気事業の利益の一部を、市に寄付いただきました。現在それを原資に市内の街灯の電気代無料化を進めています。これは林業再生へのチャレンジから生まれた成果の一つであり、今後も新たな地域還元が生まれることを期待しています。