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広報しおじり2021年12月号テキスト版2ページから5ページ

ページID:0017062 更新日:2021年12月1日更新 印刷ページ表示

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特集 歴史・思い・未来を紡ぐ義務教育学校 塩尻市立楢川小中学校の開校に向けて「写真」

 令和4年4月から開校する義務教育学校の「楢川小中学校」。小・中学校教育との違いや、義務教育学校が広げる可能性などについてお伝えします。「イラスト」
問い合わせ 教育総務課教育企画係 電話0263-52-0280 内線3111

新たな学校種の義務教育学校

 義務教育学校とは、平成28年施行の「改正学校教育法」で設置可能となった新たな学校種です。市では、令和4年度から木曽楢川小学校と楢川中学校が統合し、義務教育学校である「楢川小中学校」となります。小学校の6年間と中学校の3年間の合計9年間を一つの学校とし、一貫した教育を実施します。文部科学省によると、令和2年5月1日現在、全国では126校が開校しており、県内では4校目となります。

小・中学校との違い

 小・中学校との違いは、1人の校長のもとで、教職員が9年間を通して同じ教育方針と教育目標を持ち、共通理解の上で教育ができるという点です。これにより、授業内容の前倒しなど、学年の区切りにとらわれず、小・中学校の枠を超えた柔軟な教育活動を実施することが可能となります。
 また、小学校6年間を「前期課程」、中学校3年間を「後期課程」と区分しながらも、同じ校舎で学校生活を送るという違いがあります。(3ページ 小・中学校と義務教育学校の教育制度の違い を参照)。他学年との交流の幅が大きく広がるため、下級生は上級生の模範的な姿から学ぶことが期待され、上級生は下級生に教える機会が増加することから、リーダーシップの発揮が期待されています。

楢川小中学校が目指す姿

 来年度から、それぞれの学年の呼び方は1年生から9年生となり、学校教育目標に「楢川から未来にはばたく」を掲げ、未来を紡ぐ新しい学校像を目指します。
 また、楢川小中学校は、地域とともに児童・生徒を育てる仕組み作りを行っていきます。楢川地区には奈良井宿や木曽漆器など、さまざまな教育素材があります。その魅力を地域の人たちから学びながら積極的に外部に発信することで、過去から現在を学び未来を切り開く力を持つことが期待されています。

義務教育学校のメリット

1.小学6年生から中学1年生に進級する時の負担が軽くなる(中1ギャップの解消)

 9年間同じ校舎で学ぶことができ環境の変化が少ないため、中学校へ進級する時に生じる、教育環境や授業内容が大きく変わることにより新しい生活になじめず、不登校などの要因となる「中1ギャップ」の解消が期待されます。

2.前期課程で教科担任制が採用でき、専門的な授業を受けられる

 長いスパンで教育方針を検討できるので、学校の方針に合わせて柔軟にカリキュラムを組めます。一般的に、小学校では学級担任がすべての授業を受け持ちますが、音楽や理科などを中学校の教科担任が受け持つことにより、専門性の高い授業を早期に受けることができます。

3.子ども同士が交流しやすく刺激し合える

 1年生から9年生の子どもたちが同じ校舎で過ごすことになるため、異なる学年同士の交流機会が多く生まれます。こうした関わりから、上級生の責任感や、下級生の目標の明確化などの効果が発生すると考えられます。「イラスト」

義務教育学校にすることでここが変わる!

 小・中学校と義務教育学校の教育制度の違い
○小・中学校の場合「イラスト」
小学校 入学(1年・2年・3年・4年・5年・6年)卒業
中学校 入学(1年・2年・3年)卒業

○義務教育学校の場合(楢川小中学校)「イラスト」
入学(前期課程1年・2年・3年・4年・5年・6年)(後期課程7年・8年・9年)卒業
「写真」楢川小中学校の開校に向けて木曽楢川小学校校舎の増改築工事や体育館の改修を進めています

10年後、20年後も地域に残り続ける学校へ

楢川地区義務教育学校開校準備委員会 会長 橋戸 勝さん「写真」
 楢川地区は、人口減少に伴い子どもの数も減少しています。このような状況の中で、平成28年に地区住民を対象に、学校の在り方に特化したアンケートを実施しました。アンケート内では、「校長1人の小中一貫校体制で、子どもたちに安定した教育を受けてほしい」という声が多く挙がりました。
 その結果、令和元年度に楢川地区義務教育学校開校準備委員会を設立しました。開校準備委員会は、木曽楢川小学校と楢川中学校の校長をはじめ、教育関係者、楢川地区住民などで構成されており、8班に分かれて義務教育学校開校に向けた準備が始まりました。
 新しい制服や身に着ける物の検討をしていた班では、現在、中学3年生が主体となって校章のデザインなどの検討を進めています。準備に関わってもらうことで今年度卒業する子どもたちの思いも記念として残るのではないでしょうか。
 楢川小中学校は、来年度から始まります。子どもたちには、ここでの学びを通して地域の魅力を知り、地域を誇りに思えるようになってほしいですね。そして10年後、20年後も地域に残り続ける学校となってほしいです。
「写真」新しい制服

楢川小中学校のミライ「イラスト」

 9年間を思い出として語れる学校生活を

楢川中学校 下島 弘子校長「写真」
義務教育学校としての楢川小中学校設立を進めたきっかけや、楢川地区だからこそできることについて、楢川中学校の下島弘子校長にお話を聞きました。

楢川の思いを紡ぐ学校へ

 「楢川小中学校で9年間学んだ子どもたちが、一人ひとり志を持って卒業してほしい」。義務教育学校開校に向けた準備は、教職員や保護者のそんな思いから始まりました。木曽楢川小学校・楢川中学校に関わるすべての人の思いを紡ぎ、それぞれの締めくくりを行うべく、児童・生徒・教職員・地域の人など、学校に関わるすべての人が協力して、新しい学校づくりを進めています。

伝統・歴史を学び誇りに

 楢川地区は、奈良井宿や木曽漆器などの観光産業や、伝統野菜など特色が豊富で、子どもたちが学べる素材にあふれています。地域について学ぶことで、その魅力を自身で発信する力が身に付きます。
 また、楢川地区では、多様な人が集まる観光地という側面から、木曽漆器の伝統や、宿場町・漆工町としての歴史などからふるさとを誇れる心を高められます。また、奈良井宿を訪れた外国人と英語で会話するなど、身近なところでグローバルな活動ができることも魅力ですね。このような地域とのつながりが子どもたちのアイデンティティの確立につながります。
 子どもたちには、地域の人・ものに接し、学びながら郷土を愛し、誇りに思える児童・生徒に育ってほしいです。そして、大人になった時に9年間を思い出として語れるような楢川小中学校時代を過ごしてほしいですね。

児童会長&生徒会長 Interview

地域活性化に貢献できる学校へ

楢川中学校生徒会長 山岸 結さん(贄川)「写真」
 現在の中学3年生は、義務教育学校が開校される前に卒業となってしまいます。ですが、これからは9学年制の強みを生かして、学年の垣根を超えた交流をし、地域活性化につながる学校になってほしいと願っています。

進級し、より深く交流したい

木曽楢川小学校児童会長 宮原 大輔さん(木曽平沢)「写真」
 全校児童で楽しめるように、校舎内で宝探しや学校クイズを実行しました。7年生になることは、不安より楽しみな気持ちが大きいです。1年生から9年生まで幅がありますが、より深く交流していきたいです。

地域も学校活動に参画し、PTCA(Parent Teacher Community Association)に「イラスト」

 従来のPTA(Parent Teacher Association)は義務教育学校化に伴い「PTCA」となり、保護者・教職員だけでなく地域(Community)も学校活動に参画します。PTCA活動を通して、保護者はもちろん、地域の皆さんと支え合い、地域とともにある学校を目指します。

9年間の学習が、思考のベースになってほしい

木曽楢川小学校 山本 秀樹校長「写真」
義務教育学校化することによって変化することや課題について、木曽楢川小学校の山本秀樹校長にお話を聞きました。

新しい発見やアイデアにつながる

 義務教育学校にすることで、子どもも教職員も多様性を身に付けることができます。例えば、上級生は小さい子どもとの関わりからリーダーとしての経験を積むことができ、下級生はこれまで以上に上級生を身近に感じ、年齢の幅を超えた感覚を受容できるようになります。
 一方、教職員は、子どもの発達段階に応じた柔軟な指導ができるようになります。現在、小・中学校それぞれの特性や良さに合わせた指導を行っていますが、その枠組みを外し、教職員同士が指導の手段を共有することで、新しい発見やアイデアにつながると期待しています。

子ども同士で考え解決へ

 課題は、小学校の中で最上級生であった小学6年生が、最上級生でなくなることです。7から9年生がいることにより、上級生としての自覚がなくなってしまうことが危惧されます。課題解決のために、4から9年生で発足される「児童生徒会」での6年生起用を検討しています。これまで、困ったことがあると教職員に質問していたところを、少し上の友達に助けてもらうなど、子どもたちだけで問題解決する姿が見られることに期待しています。
 楢川小中学校で学んだことが、大人になってもさまざまな場面で、物事を考えるベースとなってもらえたらとてもうれしいです。
「写真」来年度から始まる児童生徒会で、何をするか、小学生と中学生が話し合う様子

小規模校の強みを生かした義務教育学校へ

教育長 赤羽 高志「写真」
 長野県下4校目となる義務教育学校が令和4年度にスタートします。楢川地区の皆さんが主体となり、「歴史を紡ぐ」「思いを紡ぐ」そして「未来を紡ぐ」新しい学校像を目指して、学校職員、市教育委員会とともに準備会を重ねながら開校に向けて準備を進めています。
 ゆくゆくは小規模特認校制度(市内他学区からの通学を認める制度)の適用を視野に入れながら、確実な歩みを進めていきたいです。
 小規模校だからこそできるきめ細やかさと大胆さで先進的実践を紡ぐ、義務教育学校の楢川小中学校になることを期待します。