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広報しおじり2021年8月号テキスト版2ページから5ページ

ページID:0010411 更新日:2021年9月13日更新 印刷ページ表示

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特集 歴史・文化はまちの宝物

問い合わせ 文化財課文化財係 直通電話0263-52-0904
 地域には、さまざまな歴史や文化があり、それを伝えている一つが文化財です。
 文化財を後世まで伝えるために、市では「文化財保存活用地域計画」を作成します。

市内には多くの文化財が存在

 皆さんは、市内に文化財がいくつあるか知っていますか。正解は、市・県・国指定などのものを合わせて100件です。
 文化財は、有形文化財や民俗文化財、記念物、伝統的建造物群保存地区などさまざまな種別があり、この中からさらに細分化されていきます。(詳細は表を参照)

地域の文化財を計画的に保存・活用する

 国では、平成30年に文化財保護法を改正し、市町村による「文化財保存活用地域計画」の作成を位置付けました。「文化財保存活用地域計画」とは、地域における文化財の保存・活用の将来像や取り組みの方針、事業などを具体的に記載したもので、文化財の保存・活用に関する基本的なアクション・プランとなります。
 「文化財保存活用地域計画」を推進することで、継続性および一貫性のある文化財の保存・活用が一層促進されるとともに、民間団体や地域、市民、行政が一体となり、より充実した文化財の保存・活用を図っていくことが可能となります。
 さらに、この計画は、地域に所在する多様な文化資源を総合的に調査・把握した上で、まちづくりや観光などのほかの分野とも連携し、総合的に文化財の保存・活用を進めていくための枠組みでもあります。

本市に対する愛着や誇りの醸成につなげる

 本市では、今年度から「文化財保存活用地域計画」の作成を進めています。計画の作成・推進を通じて、本市に所在する多様な文化財の掘り起こしが進み、本市に対する愛着や誇りが醸成され、本市のあるべき姿「アイデンティティ」の確立にもつなげていきます。それが、文化財を後世に伝えるものと考えています。次のページから、文化財保存への思いをご紹介します。

■表 市内の文化財の件数(国・県・市指定など)

※詳細は、市ホームページをご覧ください。
種別 有形文化財 建造物(指定) 例 小野家住宅 件数 17
種別 有形文化財 美術工芸品 例 緑釉水瓶(りょくゆうすいびょう)、菖蒲沢瓦塔(しょうぶざわがとう) 件数 27
種別 有形文化財 建造物(登録) 例 塩尻短歌館、島木赤彦寓居(ぐうきょ) 件数 19
種別 民俗文化財 有形 例 木曽塗の製作用具および製品 件数 1
種別 民俗文化財 無形 例 小野神社御柱祭り 件数 7
種別 記念物 史跡 例 平出遺跡 件数 13
種別 記念物 名勝 例 長興寺庭園 件数1
種別 記念物 天然記念物 例 矢彦・小野神社社叢(しゃそう) 件数 13
種別 伝統的建造物群保存地区 例 奈良井、木曾平沢 件数 2

文化財に関するアンケートにご協力ください

 「文化財保存活用地域計画」の作成に当たり、アンケートへのご協力をお願いします。
 このアンケートは、あなたの身近にある地域のお宝や参加したいと思う事業のニーズ、そして、あなたが思う塩尻らしさをお聞きしたいというのが趣旨です。
■所要時間 5分程度
■回答期限 9月30日木曜日まで
※各支所などにも、アンケート用紙を設置しています。
※アンケートはこちらから入力してください。「QRコード」
「写真」 県宝 柴宮銅鐸
「写真」 県選択無形民俗文化財 木曽の朴葉巻・下伊那南部の朴葉餅
「写真」 国登録有形文化財 塩尻短歌館
「写真」 国選定重要伝統的建造物群保存地区 奈良井
「写真」 国指定重要有形民俗文化財 木曽塗の製作用具および製品
「写真」 市指定無形民俗文化財 小野神社御柱祭り
「写真」 国指定史跡 平出遺跡(平成29年塩尻観光フォトコンテスト入賞作品)
「写真」 県指定史跡 釜井庵
「写真」 国指定重要文化財 堀内家住宅

まちに眠る文化財を守り、未来につなげる

 文化財は、どのように後世に残していくかが課題です。個人、地域、行政それぞれの文化財保存への思いをご紹介します。

日常に息づく遺跡に 平出遺跡から過去に学び 未来へつなぐ

 平出遺跡は、茅野市の尖石遺跡、静岡県の登呂遺跡と並び、かつては「日本三大遺跡」と呼ばれていました。本格的な発掘調査は旧宗賀村時代の昭和25年。今でこそ縄文時代のイメージが強い平出遺跡ですが、遺跡発掘のきっかけとなったのは、緑釉水瓶という平安時代の祭器でした。

全国的に珍しい縄文から平安時代にかけての大集落

 平出遺跡の解明には、考古学以外にも地学や古生物学、建築学などさまざまな分野の専門家が参加し、遺跡の解明を行う総合学術調査という当時では異例の手法が用いられました。発掘調査によって、平出遺跡は縄文、古墳、平安の三つの時代に大きな集落があることが分かりました。これは全国の遺跡の中でも珍しく、この地域が住みやすい環境であったと考えられます。平出遺跡の文化的価値について小松学平出博物館長は、「平出遺跡のすごいところは、その後の日本の考古学研究に非常に大きな影響を与えていることです。『埋甕(うめがめ)』『灰釉陶器(かいゆうとうき)』『古代のカマド』といった研究は、平出遺跡からスタートしたとも言え、考古学史にもしっかりと刻まれています」と語ります。

遺跡の未来に向けて在り方を検討

 現在、平出遺跡は、老朽化が進む平出博物館とともに将来の在り方について検討を進めています。
 小松館長は「平出博物館は、考古学分野を中心とした博物館として歴史学習の場を提供してきました。今後は平出遺跡公園と一体的に利用できる施設として整備し、市民の皆さんが気軽に訪れることができる博物館を目指します」と語っていました。
 市民の日常に息づく遺跡を目指して、本市は貴重な文化遺産の進化を続けます。
「写真」昭和20年代の発掘調査の様子。予算は旧宗賀村年間教育費の約3割にも上ったそうです。
「写真」緑釉水瓶(左)と菖蒲沢瓦塔(右)。どちらも県宝に指定されています。
「QRコード」▲イベント情報は、平出博物館ホームページをご覧ください。

江戸の旅籠というストーリーを後世に残したい

国指定重要文化財小野家住宅
当主 小野 良文さん・香苗さん「写真」
 私たち夫婦が小野家を引き継いだのは、平成17年ごろ。先代や先々代の「家を後世に残したい」という意向を受け継ぎ、国・県・市の支援を受けながら保存工事を行いました。平成17年から保存に関する調査を行い、平成21年から25年までの5年間で、骨組みや装飾が施されている壁はそのままに、半解体工事と呼ばれる大規模改修工事を行いました。先代まではここで生活していましたが、現在は皆さんに公開しています。
 最初は「文化財だから残さなければならない」という意識でした。しかし、保存活動中にさまざまな専門家の皆さんと関わったことや、ここに泊まった人たちの記録などから文化財としての価値を再認識し、「江戸時代の旅籠の姿を再現したい」という気持ちが大きくなりました。
 文化財、特に建造物は後継者不足が課題です。今後に向けて、私たちも江戸時代の旅籠の姿を残し、未来につなげていきたいと思います。また、現在は地区のイベントでも活用していただき、少しずつ皆さんに小野家住宅を知ってもらう機会が増えています。江戸の旅籠というストーリーを後世に残すため、今後もさまざまな取り組みをしていきたいですね。
小野さん提供「写真」「東海道中膝栗毛」の作者である十返舎一九は、自身の旅行記で小野家住宅を紹介しています。(写真は2階の桜の間)
「写真」国指定重要文化財 小野家住宅
 約400年前、塩尻宿の「いてうや」という旅籠として開業。現在の建物は、天保7年(1836年)に再建。昭和48年に主屋と文庫蔵が国重要文化財に、平成21年には隠居屋、宅地などが追加指定された。このことにより、屋敷構え全体を文化財として保存することになった。
 骨組みなどの構造材は、再建当時のものが今もそのまま使用されている。
「QRコード」▲インタビューの詳細は、「塩尻耕人」でご覧ください。

短歌の文化を後世まで伝える財産に

塩尻短歌館協力会 会長 中澤 義忠さん「写真」
 島木赤彦寓居は、歌人島木赤彦が広丘小学校校長時代に滞在した家で、地元では屋号の「牛屋」として知られています。
 長きに渡り個人で管理しており、高齢となったことから処分を検討していましたが、地区内から現状保存の要望もあり、保存活動を実施しました。短歌館協力会も保存活動に協力し、令和2年には国登録有形文化財となり、その年に個人から市に寄贈されました。そして令和3年度には、塩尻短歌館敷地内に島木赤彦寓居を移築します。
 広丘地区では、短歌を子どもの頃から学び、地域の文化として根付いています。島木赤彦寓居には、短歌の里というこのまちの文化を後世まで伝える財産になってほしいですね。
「写真」国登録有形文化財 島木赤彦寓居
「写真」島木赤彦寓居は、明治・大正期の歌人、島木赤彦(写真右)が明治42から44年に滞在。当時の面影を今も保存し続けています。