ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 企画政策部 > 秘書広報課 > 広報しおじり2021年7月号テキスト版2ページから7ページ

本文

広報しおじり2021年7月号テキスト版2ページから7ページ

ページID:0010382 更新日:2021年9月13日更新 印刷ページ表示

広報しおじり2021年7月号テキスト版2ページから7ページがご覧になれます。

特集 進学、就職そして新たな選択

" 本市では、平成29年度から高校生起業家教育プログラムを実施し、市内外の高校4校で延べ約2,500人を対象に、現役の起業家と触れ合う機会を作ってきました。令和2年度からは、新たに実践的なプログラムをスタートしました。
問い合わせ 産業政策課産業政策係 直通電話0263-52-0871

起業に挑んだ高校生たち

エヌイチ道場に参加した7人の高校生たち。
それぞれが個性豊かなプロジェクトを立ち上げました。(「」内は事業テーマ)
右のQRコードから、最終報告会の様子をご覧いただけます。「QRコード」

「コーヒーカスから『映え』を生み出す」

東京都市大学塩尻高等学校 探究コース
林 充希さん「写真」

「ならいあそび」

東京都市大学塩尻高等学校 探究コース
塩原 知紗さん「写真」

「視覚障がいの方の娯楽を増やすために」

東京都市大学塩尻高等学校 探究コース
藤井 柔玲さん「写真」

「Ethiteria(エシテリア)」

松本深志高等学校 普通科
加藤 あすみさん「写真」

「フルスイングプロジェクト」

東京都市大学塩尻高等学校 探究コース
増田 匠さん「写真」

「トイレに困らない世の中へ」

東京都市大学塩尻高等学校 探究コース
吉江 優里さん「写真」

「子どもたちに工作の楽しさを」

長野工業高等専門学校 電子制御工学科
小嶋 蒼依さん「写真」

若者の将来や、地域課題に直結するキャリア教育

 国が若年層への教育方法の在り方を見直す中、本市でもさまざまなキャリア教育を実施しています。一方で、本市の高校生は卒業後に県外へ進学する傾向が強く、若者の人口流出が課題となっています。このような現状や、高校生の将来の選択肢を広げるために、本市では平成29年度から「高校生起業家教育プログラム」をスタートしました。

高校生が「起業とは何か」を考える機会に

 高校生起業家教育プログラムは、市内外での講演会を皮切りに、学外での学びの場を設けています。令和元年度には高校生が自分たちのアイデアをプレゼン。令和2年度には、より実践的なプログラム「エヌイチ道場」がスタートしました。
 「エヌイチ道場」とは、約4カ月間、公募した高校生7人が自分たちで考えたビジネスプランの実現に挑むプログラムです。「エヌイチ」とは、「N=1」というビジネス用語の略で、高校生がその事業を通じて本当に喜ばせたい一人を突き詰め、課題の本質的な解決に取り組みます。

自分がやりたいことは何かを追求し、事業化する

 各高校生には伴走者というパートナーが付き、高校生の相談役や事業に関係する企業とのつなぎ役となって、高校生たちの本当にやりたいことを後押しします。また、プログラムはシビック・イノベーション拠点「スナバ」と連携することで、さまざまな起業家や事業者とのつながりを構築します。高校生は自分がやりたいことと向き合い、事業化の術を学びながら社会を生き抜く力を育みます。
 次のページからは、参加者や支援者の思い、この事業の概要をご紹介します。
「写真」エヌイチ道場最終報告会の様子。当日は、市長や会社経営者、起業家などが参加したほか、オンラインでも配信が行われました。

高校生の思いを加速させる拠点 シビック・イノベーション拠点「スナバ」の役割

 シビック・イノベーション拠点「スナバ」は、「コーワーキング(仕事場)」「リビングラボ(実証実験)」「アクセラレーター(事業加速)」という、事業を生み出し育てるための「3つの機能」を持った拠点です。起業家や何かを始めたい人が集まり、そこから新たな価値観を日々生み出しています。
 エヌイチ道場をスナバで実施することで、高校生がさまざまな価値観や人材とつながり、新たな価値を生み出し、地域の活性化につながります。

3つの機能が新たなイノベーションを起こします。「イラスト」

Coworking コーワーキング

充実したシゴトバ機能 全国・世界につながるコミュニティ

Acceralator アクセラレーター

成長と変化をもたらすプログラム

Living Lab リビングラボ

プロトタイプを磨く実証実験

エヌイチ道場参加者インタビュー 人を巻き込み、自分の思いを形にする

 高校生が本気で事業化を目指す「エヌイチ道場」。プロジェクト終了後も、参加した高校生は、事業化を目指して活動しています。実際に参加した高校生や、プロジェクトを支援する皆さんにインタビューをしました。
エヌイチ道場伴走者 岩井 美咲さん (シビック・イノベーション拠点「スナバ」スタッフ)「写真」
エヌイチ道場参加者 林 充希さん (東京都市大学塩尻高等学校 探究コース3年)「写真」
林さんの「N=1」 新井 和佳さん「写真」

林さんが取り組んだ事業の内容を教えてください。また、エヌイチ道場に参加した理由は何ですか。

林さん 私は「Full Coffee(フルコーヒー)」というコーヒーカスの有効活用を考えるプロジェクトを立ち上げました。まず、コーヒーカスのことをカフェとマテリアル(材料・原料)を組み合わせた「カフェリアル」と名付けました。好きなものにゴミが出る状況を減らしたいと思い、カフェリアルを食べられるようお菓子の加工を提案しました。テーマ選定の理由は、スナバに出入りするようになった時に新井さんと出会い、カフェの食品ロスについてお話を聞いたことがきっかけです。
新井さん 私は当時「やりたいことはあるけれど、どうすれば良いか分からない」状態で、スナバに出入りし始めた頃でした。そこで偶然林さんと出会い、その時働いていたカフェの食品ロス、特にコーヒーカスが大量に発生している現状を話しました。
林さん お話を聞いた帰り道に、技術が発展しているのにコーヒーカスが捨てられる現状に疑問を感じ、何か活用できないかと、コーヒーカスを使った紙を制作してみました。それとほぼ同時期にエヌイチ道場の話があり、エヌイチ道場に参加すれば「自分のやりたいことが見つけられるかもしれない」と思い、参加しました。

エヌイチ道場での悩みや、それに対する解決策を教えてください。

林さん 最初は順調に進んでいましたが、コーヒーカスの活用について研究事例をまとめてみると、自分の方向性と似た事例が多く「自分ができることはあるのか」と意義を見失ってしまいました。
岩井さん 7人の参加者は発想力が豊かで、林さんは着眼点やアイデアがユニークでした。先行事例を調べて「すでに他の人がやっている」と悩み壁にぶつかったことが、その後の視野を広く持つことにつながったと思います。
林さん 岩井さんと話した時に、「自分らしさを出そう」と助言してもらい、頭の片隅にあった「食」というテーマに転換しました。食分野にした理由は、活用事例が少なかったことや、SNSで同年代の高校生を巻き込んで情報発信していくイメージが湧いたからです。
岩井さん 伴走者としては「主体は参加者(高校生)」であることを意識しました。最初から高校生扱いはせず、一人ひとりと正面から向き合いながら、彼らが自身の考えに自信を持って進んでいけるよう支援しました。学生は大人の「こうあるべき姿」に乗っかってしまうケースがありますが、若い頃からそれぞれの思いや価値観を表現する場が必要だと思います。

現在のプロジェクトの状況や今後の展望を教えてください。

林さん 現在は受験勉強が最優先ですが、夏以降、「食」をテーマに本格的な始動を目指しています。具体的には、これまで作ってきたお菓子のほかに、スパイスの活用を考えています。課題は食品衛生上の問題です。そこをクリアして商品化できるよう、保健所へ相談する予定です。また、家庭で出たカフェリアルを活用したレシピや、肥料としての活用方法をSNSなどで発信していけたらと考えています。
岩井さん 他の参加者に「料理」をテーマとした子もいるので、連携できると面白いですね。
新井さん この春から市内のグランピング場のスタッフに転職しました。宿泊客だけでなく、地域との関わりも目指しているので、何か一緒にできる場を提供したいですね。

最後に、エヌイチ道場に参加して林さん自身に変化はありましたか。

林さん エヌイチ道場を通して、人を巻き込む楽しさを知りました。この事業は、多くの皆さんの関わりによって広がっていったものです。「この人に話聞いてみたらもっと何かできるかも」という想像が膨らみ、自然と周りの人を巻き込むようになりました。一緒に参加したメンバーにも、「変わったね」と言われたことがうれしかったです。これからも人との関わりを大切にしながら、「Full Coffee」を展開していきたいです。
林「エヌイチ道場で人を巻き込む楽しさを知った」「写真」
岩井「若い頃から思いや価値観を表現する場が必要」「写真」
新井「何か新しいことを一緒にできる場を」「写真」
「写真」カフェリアルを活用したブラウニー。粉砕機でカフェリアルをなるべく細かくし、食感をなめらかにしています。(林さん提供)

林さんの事業に協力しました(コーヒーカスの粉砕)

信陽株式会社常務取締役 小野 光信さん「写真」
 スナバメンバーから相談があり、少しでも地元に貢献できればと思い、コーヒーカスの粉砕に協力しました。弊社では主に飼料添加物などの粉砕をしており、コーヒーカスの加工は我々にとってもチャレンジでした。林さんは自身の事業へのゴール設定が明確で、何を協力したら良いか、技術面での提案もしやすかったですね。
 高校生には早い段階から「さまざまな人と関わること」を大切にして欲しいですね。大人になってから社会で生き抜く力になると思います。

高校生起業家教育プログラムのObが企画

ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」を市内で開催!
 令和元年度に高校生起業家教育事業イベント「Up!SHIOJIRI」で自身の事業「清走中」を発表した北村優斗さん。今年9月には市内での開催を予定しています。
 バラエティ番組とゴミ拾いをコラボさせた「清走中」は、「拾ったごみの量」「ミッションの解決度」「鬼ごっこの逃走度」で競います。
「写真」「清走中」はこれまで県内4カ所で実施し、500人以上が参加しています。(北村さんは最前列左から5番目)

若者の挑戦を応援できる場所が、塩尻にはある

 高校生の起業を促進するためには、チャレンジできる環境が必要です。本市の現状について、起業支援や教育の視点からお話を伺いました。

起業という選択肢が、若者と地域の発展につながる

エヌイチ道場外部アドバイザー 神谷 憲司さん「写真」

若者の将来の選択肢は固定的

 今回エヌイチ道場の伴走者として、東京から主にリモートで参加しました。私自身が起業や企業の新規事業支援をする中で、今の若者の進路に関心があります。ほとんどの若者は大学・専門学校に進学、または企業に就職し、「どこの大学・企業に入るか」が評価の軸になっています。日本は卒業後の選択肢が少なく、自分のやりたいことができる若者はまだまだ少数派です。

起業はコミュニティー形成のひとつ

 起業とは、コミュニティーを作ることです。例えば高校生が起業すれば、その高校生を中心としたコミュニティーが形成されます。もし卒業して市外の大学に進学しても、その若者が市内にさまざまな仲間を連れてくる可能性も生まれます。

10代のうちから失敗を恐れず挑戦を

 高校生は、10代のうちから失敗を恐れず挑戦してほしいですね。起業は、当事者意識を持つことが大切です。自分が社会に対してどうしたいのか、どう在りたいのかが大切で、アイデアだけでは続きません。仮説・検証を繰り返すことが重要で、社会に出た時に大きな力となります。
 さまざまな人とつながり、新しい価値が生まれることが塩尻の魅力だと思います。素晴らしいコミュニティーが形成できる塩尻市と、今後もぜひ関わりたいですね。

挑戦しやすい環境が、若者の成長につながる

東京都市大学塩尻高等学校 探究国際部教諭 天井澤(あまいざわ) 暁裕さん「写真」

子どもたちの社会を生き抜く力を育む

 私たちの学校では、平成29年度から「探究コース」を開設しました。生徒一人ひとりが設定したテーマに沿って主体的に活動し、地域をフィールドに課題発見力・未知なる解を求める力などを育みます。私たち教員は、「生徒のやりたいことが将来につながっているか」を念頭に置き、生徒たちが自分で考え行動する環境作りを心掛けています。普段の授業だけでは気付けない生徒の力に気付くことができ、私たち自身の学びにもなっています。

エヌイチ道場で主体性を養う

 「エヌイチ道場」には、本校探究コースからも5人の生徒が参加しました。生徒たちはプログラムを通じて「高校生だからできない」という固定概念が破れたように感じます。生徒自身がやりたいことを明確にして事業化する。エヌイチ道場で一歩を踏み出したことで、より主体性のある学びができたと思います。

挑戦しやすい環境が塩尻にはある

 塩尻市は、高校生がさまざまな挑戦をしやすい環境だと思います。親切かつ柔軟で好奇心旺盛な人が多く、ほとんどの企業・事業者が学生を受け入れてくれます。そのため、高校生が失敗を恐れず挑戦できる、この気質は塩尻市ならではだと思います。今後も連携しながら、若者の挑戦を応援していきたいですね。

エヌイチ道場

喜ばせたい一人(N=1)を喜ばせる事業を立ち上げる高校生のための伴走型支援プログラム 
高校生の参加求む!参加費無料
 エヌイチ道場は「喜ばせたい誰かがいる高校生」に寄り添い、高校生が事業を起こすためのプログラムです。
 喜ばせたい誰かを喜ばせるアイデア。それをサービスや商品にするための試作品を、実際に作ってみませんか。
お問い合わせ 産業政策課産業政策係 直通電話0263-52-0871 シビック・イノベーション拠点「スナバ」 Eメール info@sunaba.org

1.事業 アイデア スピーチ

喜ばせたい誰かはどんな人? どうやってその人を喜ばせる?
そのアイデアをスピーチし、各チームに1人ずつ伴走者※が選出されます。
※伴走者…事業化するのに良き相談相手となる人。すでに事業をやっているなど有識者を選定。

2.実践&仮説検証

伴走者に相談しながら、アイデアを形にするため仮説と検証を繰り返します。うまくいくこと、いかないこと、さまざまなことが起こりますが、伴走者や他のチームと鼓舞しあいながら、事業を組み立てていきます。

3.最終 報告会

今まで検証してきた結果を最終報告会でスピーチし、フィードバックをもらいます。また、交流会も予定しています。

プログラムの概要

■プログラムの流れ(3から4カ月間)
(1)チームビルディング「写真」
(2)事業アイデアスピーチの組み立て
(3)スピーチ&伴走者とのマッチング
(4)実践&仮説検証
(5)最終報告会に向けた練習
(6)最終報告会「写真」
■応募要件
 ○高校在学中の人
 ○左の(1)から(6)すべてに必ず参加できる人
 ○実際に行動を起こそうと決めている人
 ○参加者同士での対話や自習を通して一緒に切磋琢磨したい人
■場所
 シビック・イノベーション拠点「スナバ」(塩尻市大門八番町1番28号)
■定員
 5人(面談の上、結果を通知)
「写真」※詳しくはプロモーション動画をご覧ください。「QRコード」
※スケジュールや申し込み方法などの詳細は、決定次第、スナバホームページ(URL https://www.sunaba.org/n1dojo)で随時更新していきます。「QRコード」