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縄文のムラと水辺 <Village and waterside of the Jomon period>
博物館から、水音に誘われながらなだらかな坂を下ると、桜や紅葉が水面に映える「平出の泉」があります。ほとりに立つ天神様周辺が水源で、毎秒45リットル、水温13度のアルカリ度の高い清水がいつのときも湧いています。水が乏しいこの地域で、5千年前の時代から集落が形成されたのは、平出の泉があったからだと考えられています。泉から流れる「カワ」(「渋川(しぶかわ)」と呼ぶこともある。)は、空(から)石積(いしづみ)と砂礫(されき)等の川底でできた浅い構造で、古い家並みの間を地形に沿って流れています。カワの各所に、流れをせき止め水深を増した淵と水面に接するための足場がある水場がいくつも設けられています。これらは「ドンド」「ドドンビキ」と呼ばれ、今も大切に利用されています。上水道が整備される前は、夕方になると天秤(てんびん)棒(ぼう)に下げた手桶(ておけ)で飲み水を汲み、季節には「お菜洗い」などの洗物をする日常の水場として利用されました。カワは、集落を抜けると灌漑(かんがい)用水として水田地帯「長田(ちょうだ)」を潤します。長田の起源は古代まで遡り、古墳時代の住居跡からはイネの炭化物が出土しています
平出の泉
カワとドンド