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サクラ (No1)
植物 サクラ(No1)
〇 バラ科サクラ亜属の植物
日本に自生する基本種は11種類とされていて、これらを基に育成された園芸品種はソメイヨシノ、コヒガン、カワヅザクラ、ヤエザクラ、シダレザクラ、ウコンザクラなど600種類以上あるとされています。
西行の「願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」(山家集)にもあるように、日本人の自然への愛着を代表して受けとめているようなサクラです。
(1) ヤマザクラ 山桜
Cerasus jamasakura
宮城県・新潟県から鹿児島県に自生していて、エドヒガンに次いで長命で樹高は15~25mになる。葉芽と花が同時に展開するので、花が先に咲くソメイヨシノとは区別できる。江戸時代後期以降にソメイヨシノが花見の主流となる前は、ヤマザクラがなじみ深い花見の対象で「吉野の桜」も本来はヤマザクラを指していた。また、ヤマザクラは浮世絵の版木としては最高の材料で、歌川広重の「江戸名所百景」などにはヤマザクラの年輪模様が映り出ているものがある。花言葉は、「あなたに微笑む」である。
(2) オオヤマザクラ 大山桜
Cerasus sargentii var. sargentii
北海道から四国の寒冷な山地に自生している。同じ冷温帯に分布しているカスミザクラと比べると、湿潤地で自然度の高い森林に生える傾向がある。樹高は10~20mになり、葉と花がほぼ同時に展開する。北海道の花見の名所ではオオヤマザクラを指し、五稜郭、登別温泉などが有名である。
(3) カスミザクラ 霞桜
Cerasus leveilleana
北海道から九州北部に分布し、ヤマザクラよりも高い標高に生えて花期が遅く葉が緑色になる点で区別できる。個体ごとの変異が大きいため、長い間ヤマザクラの有毛の変異種として扱われてきたが、樹高25mもの大木になり樹皮が灰褐色になる点でも相違がある。
(4) オオシマザクラ 大島桜
Cerasus speciosa
関東以南の海岸沿いや山地に多く生育しているが、起源は伊豆七島とされ、製炭材として各地に持ち込まれ野生化したと考えられている。昔から芳香が良いので、葉は塩漬けにして桜餅の材料として使われてきた。また、オオシマザクラに由来するフゲンゾウ・カンザン等多くの品種が作られ受け継がれている。
(5) エドヒガン 江戸彼岸
Cerasus itosakura
青森県から鹿児島県に分布し、観賞用に広く植えられ寺社などに多く見られる。葉が展開する前に大量の小花が咲くので見栄えが良く華やかで、サクラの中では長寿で巨樹になるため、石割桜(岩手)、神代桜(山梨)、淡墨桜(岐阜)、醍醐桜(岡山)など全国に有名なサクラが多い。花言葉は、「心の平安」である。
(6) チョウジザクラ 丁字桜
Cerasus apetala var. tetsuyae
東北地方南部から熊本県の山地に分布する小高木で、沢沿いの岩石の多いような場所にも生育する。大きくなっても7mほどの高さで、樹皮を工芸品に利用するが、観賞用のために植栽されることは少ない。