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スミレ

ページID:0045021 更新日:2024年8月9日更新 印刷ページ表示

スミレ

〇 スミレ科の植物

  春に咲く美しい花の仲間で、シェイクスピアはスミレの香りを「ビーナスの吐息よりもかぐわしい」と表現した。ヨーロッパでは、古くから香水にも利用されている有名な植物です。  

日本にはスミレの仲間は300種以上あり、自然交雑種も多く正確に種名を同定するのが難しい植物です。

モーツァルトの歌曲「すみれ」やナポレオンの宣言「スミレの咲く頃に復活する」などでも有名で、日本文学の世界でも多くの有名人が次のように良い句材として使っています。

 

   山路来て なにやらゆかし 菫草   芭蕉

   地車に おっぴしがれし 菫哉    一茶

   菫程な 小さき人に 生まれたし   漱石

 

(1) スミレ

 スミレ科スミレ属の”スミレ”は正式和名で、 スミレ科の代表選手のような植物です。学名はViola mandshuricaでマンジュリカは分布の中心が大陸の満州付近であることからきています。花の形が墨入れ(墨壺)に似ているので、その和名が付けられたとされ、シベリア~日本~台湾~中国に分布し、カタクリやアケビ等と同じように種子をアリが運ぶことで生育域を広げることが知られています。市街地の一見苛酷にも思えるアスファルトの隙間などにも、日照りを独り占めして繁茂します。

 すみれ1

 

すみれ2

(2) シロスミレ

 すっとスマートに立った白花は、見つけた人に小さな幸せをもたらすようです。高ボッチ高原の湿った草原で以前はしばしば見かけましたが、最近では少なくなってきました。​

しろすみれ

 

(3) タチツボスミレ

 北海道から沖縄まで、海岸から亜高山まで、日本中たいていの所で見られる代表的なスミレです。環境への適応幅が広いので変異が多く、色々なタイプのものが知られています。エゾノタチツボスミレ、オオタチツボスミレも塩尻付近では見かけることができる。​

たちつぼスミレ1

たちつぼすみれ2

 

(4) ニオイタチツボスミレ

 タチツボスミレに似ていますが、花の中心部が白色で花弁が離散していないように見え、高級な香水の匂いがします。マリーアントワネットが香水として使ったニオイスミレは、日本には自生しませんが、ノジスミレ・エイザンスミレ・ヒゴスミレ・シハイスミレ・タデスミレは、良い香りのスミレとして知られています。​

によいたちつぼすみれ

(5) ニョイスミレ(ツボスミレ)

 日陰の湿気た所に生え、目立たない小さなかわいらしい白花をつけるスミレです。春の遅い時期に咲くスミレで、上高地などでは梅雨前の遊歩道脇で見かけることができます。​

によいたちつぼすみれ

(6) ノジスミレ

 スミレに雰囲気が似ていますが、花も葉もひろびろとして草丈が伸びない特徴があります。花の側弁基部は無毛で、有毛のスミレとは区別できます。人里周辺に生え、山中や高原で見ることはなく、日当りの良い乾いた環境を好みます。

 

(7) アケボノスミレ

 大きな薄い紅紫色の美しい花の色から、曙の空の色を連想して名前が付けられたとされています。ソメイヨシノが散る頃に咲き、花が咲き終わる頃に葉が開き始める特徴があります。探鳥会をする頃、塩嶺小鳥の森を歩いているとよく見つけることができます。

あけぼのすみれ

(8) シハイスミレ

 葉の裏が紫色になるので「紫背菫」と呼ばれ、雑木林の林床などに生える山地性のスミレです。ヒナスミレやフモトスミレも葉の裏が紫色になるが、他にも多くのスミレが同様の特徴を持つ。​

シハイスミレ

 

(9) マキノスミレ

 青森から近畿に分布するシハイスミレの変種で、葉が細長く距(花の後ろのしっぽ)も細長い特徴があり、花は濃い紅紫色で華やかさがあります。乾燥気味のアカマツ林から雪国のブナ林まで広く生育している。​

マキノスミレ1

マキノスミレ2

(10) ヒカゲスミレ

 半日陰の湿度の高い広葉樹の林床などに生える大きめの白花で、花柄や葉に毛が多く全体が柔らかい特徴があります。適地では地下茎から匐枝を出して新株が増えて、ちょっとした群落になることがある。​

 

(11) エイザンスミレ

 ナンザンスミレ、ヒゴスミレと同じように葉が深く裂けて、とてもスミレの仲間には見えないようなものです。青森から鹿児島まで分布し低山の日陰などを好むスミレで、塩尻でも山麓で見ることができます。​

 

(12) プリケアナ

 北米原産の外来種ですが、繁殖力が強く花をたくさんつけるため、塩尻付近でも野生状態になり公園や庭先で生育域が拡大しています。英名はCommon Blue Violet と呼ばれ、派生した園芸品種もたくさんあります。​

ぷりけあな1

プリ毛穴2