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人工栽培できるきのこ(No.1)
人工栽培できるきのこ(No.1)
〇 スーパーや道の駅で売られているきのこは、ほとんどが農家の皆さんが室内で栽培しているものです。マツタケやハナイグチ等は樹木と共生している菌根菌なので無理ですが、木材やおがくず等を腐らせる性質のきのこは、人工栽培が可能なきのこです。
1. シイタケ(ツキヨタケ科シイタケ属)
大分や伊豆で江戸時代から栽培記録のある、和食には欠かせない食材のきのこです。生でも乾燥させても重宝する美味しいきのこですが、戦前~戦後には生産量が少なくマツタケよりも価格が高く取引されていました。昭和40年代までは、小学校の教科書に純粋培養でシイタケの種駒を作り出した森喜作さんの苦労話が載っていました。最近では、スーパー等で市販されている生シイタケの9割以上が菌床栽培のものです。
原木栽培のシイタケ 菌床栽培のシイタケ
2. エノキタケ(タマバリタケ科エノキタケ属)
様々な形のポリプロピレン瓶で栽培されるようになりましたが、昭和40~50年頃までは牛乳瓶を代用しておが粉・コメヌカを詰めて栽培していたので、重くてしばしば割れて作業が大変でした。野生のエノキタケは茶色でぬめりが強く、市販の白色のものとは大きく違うので、別種のきのこと思っている人も多いようです。茶色の栽培品もありますが、白色のものはアルビノ系統のものを育種したものです。
3. ブナシメジ(シメジ科シロタモギタケ属)
現在は「やまびこほんしめじ」の商標で市販されていることが多いのですが、以前は「ホンシメジ」の名で売られていたので、本名(標準和名)のホンシメジと混同されて問題となりました。最近では、一部で「大黒しめじ」としてホンシメジの人工栽培物が売られるようになったので、また少し混乱しているようです。基本的にブナシメジは木材腐朽菌でホンシメジは菌根菌です。
4. エリンギ(ヒラタケ科ヒラタケ属)
イタリア・フランス~中央アジアに自生するきのこで日本にはなかったきのこですが、平成4年に愛知県の研究者が国内で初めて人工栽培に成功したと学会発表してからブームになり、各地で栽培されるようになりました。スーパーでの棚持ちもよく、様々な料理に使えるので生産量の多いきのこです。
5. ナメコ(モエギタケ科スギタケ属)
日本人は納豆と同様にぬめりのある食べ物が好きですが、なめこは東日本で消費量が多く、西日本で少ない特徴があります。瓶を大量に扱う工場では、パートの人たちが長時間ハサミで切取り作業をするため手首を痛めるので、自動切取り機が開発された経過があります。また、最近では株状のナメコが販売されるようにもなりました。なめこは、日本と台湾にしか自生しない不思議なきのこです。
6. マイタケ(サルノコシカケ科マイタケ属)
昭和50年代から市販されるようになりましたが、それ以前はなかなか人工栽培できない難しいきのこでした。新潟の会社が大規模生産に成功し、郷ひろみのテレビコマーシャルで人気になり、各地で栽培されるようになりました。野生のマイタケは、ミズナラ大径木の根元に出ることが多く30~60cmの大きな塊になることもあり、見つけた人は「舞って喜ぶ」から名前が付けられたとされています。