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ゲンジボタルの一生
ゲンジボタルの一生について記載しています。
ゲンジボタルが生息する環境
1987年(昭和62年)7月初旬にみどり湖直下の河川改修工事前の田川で、ゲンジボタルがたくさん発生しました。なぜかというと、みどり湖より流れ出る田川の水は、山間から流れ出る清冽な水でもなく、工業排水や生活雑排水でひどく汚染された水でもなかったからです。そのために、水路環境もよく、幼虫のえさとなるカワニナがよく繁殖したからです。そして、ゲンジボタルの幼虫にとっても、溶存酸素量も多く、生息するための条件に適していたからです。このような水環境の川に、ゲンジボタルは生息しています。
現在、塩尻市では、田川水系はじめ田川の河川改修工事に伴ない造った農業用水を兼ねたホタル水路のほか、市内の限られた地域に生息しています。
川面をとびかうゲンジボタル
ゲンジボタルオスとメスのちがい
成虫のメスは体長約2.0センチメートルで、羽化時よりすでに卵をたくさんもっています。オスは約1.5センチメートルです。腹部にある発光器は、メスは1節でオスは2節あります。日没後に活動し、発光しながら飛ぶのはおもにオスです。
卵
1匹のメスの産卵数は、500~1,000個と個体差があります。卵の直径は0.5ミリメートルほどです。川岸のコケに産卵します。産卵したばかりの卵の色は、淡黄色ですが、数日の経過するにしたがって黒色になってきます。卵期間は約1ヶ月で、孵化(ふか)直後の卵は刺激すると光ります。
1齢幼虫
塩尻では6月下旬~7月初旬に産卵しますので、7月下旬には孵化します。孵化するのは夜間ですが、明け方に多く、体長1.5ミリメートルほどの小さな幼虫が出てきます。そして、夜明けまでには水中に入ります。水中に入った小さな幼虫は、小さなカワニナを探して食べます。
終齢幼虫
幼虫が成長するにしたがって、大きなカワニナを食べます。水温が下がる晩秋まで、えさを食べてどんどん成長します。冬になると活動がにぶり、川底の岩の下でじっとしています。春になり水温が上がると活発になり、終令幼虫は4月下旬の雨の夜、上陸します。
さなぎ
上陸した幼虫は、はい回って適当な場所を探し、その夜のうちに土にもぐります。そして、土のまゆをつくり、その中でさなぎになる準備をします。さなぎになる前の準備段階の期間は約5週間、さなぎの期間は約2週間です。羽化して2~3日すると土のまゆから地上に出ます。
成虫
塩尻では6月下旬~7月上旬が、ゲンジボタルの成虫の季節です。成虫がよく飛ぶのは、風のないどんよりとした暖かい日です。午後8時前後に黄金の弧を描いて飛び、よく活動します。成虫の寿命は、個体差はありますが約10日です。この間に、交尾をして産卵します。