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意見書(平成31年3月定例会)

ページID:0001388 更新日:2021年6月28日更新 印刷ページ表示

意見書(平成31年3月定例会)について記載しています。

平成31年3月定例会に提出された陳情及び議員提出議案のうち、慎重審査の結果、採択及び可決された意見書を関係行政省庁へ提出しました。

地域からの経済好循環の実現に向け、最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める意見書

 労働者の4割が非正規雇用化し、4人に1人が年収200万円以下のワーキング・プアとなり、平均賃金は2000年に比べ15%も目減りしている。世界にも例のない賃金の下落が、 消費低迷、生産縮小、雇用破壊と貧困の拡大を招くなか、政府が「賃上げによる経済の好循環」をめざすことは理論的には正しい。
 2018年の地域別最低賃金は、最高の東京で時給985円、長野県では821円、最も低い鹿児島では761円に過ぎず、フルタイムで働いても年収120万~150万円しか得られず、これでは人間らしいまともなくらしはできない。また地域間格差も大きく、長野県と東京では、同じ仕事をしても時給で164円も格差があるため、若い労働者の都市部への流出を招いてしまっている。
 安倍首相は、「最低賃金を毎年3%程度引き上げて、加重平均で1,000円をめざす」と述べ、「GDPにふさわしい最低賃金にする」として、現在の最低賃金の水準の低さを認め、 引き上げを進めると述べた。しかし、2010年に行われた雇用戦略対話では「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1,000円をめざす」とした「政労使による三者合意」が成立している。「毎年3%程度」では、雇用戦略対話での合意を先延ばしし、格差と貧困の解消を遅らせるだけである。
 世界各国の制度と比較すると、日本の最低賃金は低水準と地域格差が特異点であり、先進諸国のグローバル・スタンダードに近づけるためには、最低賃金の地域間格差を是正し、全国一律最低賃金制への改正と金額の大幅な引き上げが必要である。“最低賃金1,000円以上”は、中小企業には支払いが困難との意見もあるが、欧州の先進諸国の最低賃金は、購買力平価換算で時間額1,000円以上、月額約20万円以上は当然であり、そうした高い水準の最低賃金が労働者の生活と労働力の質、消費購買力を確保しつつ、地域経済と中小企業を支える経済を成り立たせている。それらを保障するために、政府が率先して大規模な中小企業支援策を実施して最低賃金の引き上げを支えている。日本でも、公正取引ルールを確立し、中小企業への具体的な支援策を拡充しながら、最低賃金を引き上げる必要がある。人間らしく生活できる水準の最低賃金を確立し、それを基軸として生活保護基準、年金、農民の自家労賃、下請け単価、家内工賃、税金の課税最低限度等を整備すれば、誰もが安心して暮らせ、不況に強い社会をつくることができる。
 以上の趣旨より、下記の項目の早期実現を求め、意見書を提出する。

  1. 政府は、ワーキング・プアをなくすため、政治決断で最低賃金をすぐに1,000円以上に引き上げること。
  2. 政府は、全国一律最低賃金制度の確立など、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
  3. 政府は、中小企業への支援策を拡充すること。中小企業負担を軽減するための直接支援として、中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担や税の減免制度を実現すること。
  4. 政府は、中小企業に対する大企業による優越的地位の濫用、代金の買い叩きや支払い遅延等をなくすため、中小企業憲章をふまえて、中小企業基本法、下請二法、独占禁止法を改善すること。
  5. 政府は、雇用の創出と安定に資する政策を実施すること。

平成31年3月18日

長野県塩尻市議会

提出先

内閣総理大臣、厚生労働大臣、中央最低賃金審議会会長