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広報しおじり平成30年11月号テキスト版2ページから5ページ
特集 認知症になっても安心して地域で暮らすために
誰もが関わるかもしれない認知症。今回は、認知症に関する取り組みについてご紹介します。
年号は、便宜上「平成」を使用しています。「写真」
問い合わせ 中央地域包括支援センター(長寿課介護予防係) 電話0263-52-0280 内線2131
人口の高齢化に伴い、認知症になる人が増加
現在、全国的に人口減少と少子高齢化が進行しています。中でも、少子高齢化は深刻で、平成27年の国勢調査によると、日本の総人口は約1億2700万人で、65歳以上が占める割合は約26.6%と、4人に1人が65歳以上となっています。本市も人口約6万7000人に対し、65歳以上が約27.1%になっているなど、高齢者の人口割合は今後も増加していくと推定されています。
厚生労働省によると、平成24年時点で、全国で認知症の人の数は約462万人に上り、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症といわれています。さらに、平成37年には、約730万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると推計されています(3ページ図1参照)。認知症の人やその家族を支える仕組みづくりが求められています。
老化による物忘れと認知症は区別が難しい
老化による物忘れと認知症には、どのような違いがあるのでしょうか。
老化による物忘れは、今やろうとしていたことを忘れたり、過去の体験の一部を忘れたりしても、何かのヒントや考え直すことで思い出します。しかし、認知症は、食事をしたことや作業をしたことなど、今やっていたこと自体を忘れてしまいます。何かヒントを与えたとしても記憶がすっぽり抜けている状態のため、思い出すことができません。(表1を参照)
また、これらの症状が現れても、認知症なのか、それとも老化による物忘れなのかは、なかなか区別が難しいです。
思い当たる部分があれば、まずはご相談ください
認知症は、放置すると症状が進行してしまいます。自分、または家族に認知症の症状が見られ、不安だと感じた場合はすぐにご相談ください。早期に対応し支援することで、症状の進行を緩やかにできる場合もあります。
市では、認知症に関する相談先を掲載した「認知症ケアパス」の発行や、認知症に関する相談窓口を開設しています。このほかにも、認知症の人やその家族を早期に支援するために、認知症初期集中支援チームを設置しました。
また、市の施策以外でも、地域で認知症の人とその家族の皆さんを支える活動が行われています。今回は、地域で認知症に関わる活動の一部をご紹介します。
早期発見!認知症チェックシート
当てはまる項目をチェックしましょう。いくつかに思い当たることがあれば、主治医または身近な相談窓口にご相談ください。
- 約束の日時や場所を間違えるようになった
- 慣れた道でも迷うことがある
- 同じことを何度もする
- しまい忘れや置き忘れが増え、いつも探し物をしている
- 財布、通帳、衣類などを盗まれたと人を疑う
- 新しいことが覚えられない
- 話のつじつまが合わない
- 料理、片付け、計算、運転などのミスが多くなった
- ささいなことで怒る
- 下着を替えず、身だしなみを気にしなくなった
- 趣味や好きなことに興味を示さなくなった
- ふさぎ込んで、何をするのも嫌がる
- 周りへの気遣いがなくなり、頑固になった
- 自分の失敗を人のせいにする
- 一人になると、怖がったり寂しがったりする
- 外出時に、持ち物を何度も確かめる
※このほかに、認知症簡易チェックサイト(URL http://fishbowlindex.net/shiojiri/fmreeZdn9y.c9S703NpYlw/menu.pl)でもチェックできます。市ホームページ(URL http://www.city.shiojiri.lg.jp/koreisha/kaigo/ninchisyou/ninntisyoutixekku.html)からもアクセスできます。「QRコード」
※このチェックリストやチェックサイトは、あくまで目安です。この結果のみで認知症の診断はできません。
図1 65歳以上の認知症患者の推定者数
平成37年には、65歳以上の5人に1人が認知症になる可能性があります!
平成24年 認知症の人数 462万人 65歳以上の中の認知症の割合 15.0%
平成27年 認知症の人数 525万人 65歳以上の中の認知症の割合 16.0%
平成32年 認知症の人数 631万人 65歳以上の中の認知症の割合 18.0%
平成37年 認知症の人数 730万人 65歳以上の中の認知症の割合 20.6%
平成42年 認知症の人数 830万人 65歳以上の中の認知症の割合 23.2%
参照:三菱UFJ信託銀行ホームページ「認知症の現状と将来推計」(URL https://www.tr.mufg.jp/shisan/mamori/dementia/02.html)
表1 老化による物忘れと認知症の違い
「老化によるもの忘れ」
忘れっぽいことを自覚している
食べた食事のメニューや約束の日時を思い出せない
日にちや季節を間違えることがある
ヒントを出すと思い出す
「認知症」
忘れたことの自覚がない
食事したことや約束したこと自体を忘れてしまう
日にちや季節が分からなくなる
ヒントを出しても思い出せない
認知症ケアパスをご利用ください
認知症についての相談窓口や、サポート医、相談医などを掲載しています。次の場所で、無料で配布していますので、ぜひご活用ください。「イラスト」
- 設置場所
- 市保健福祉センター1階長寿課
- 総合文化センター
- 各支所・各地区センター
- 市立図書館
- ふれあいセンター
- 各医療機関 など
認知症初期集中支援チームを設置
認知症の人やその家族に早期に関わり、初期の段階で診断や早期対応に向けた支援を行います。「イラスト」
- 対象
- 認知症が疑われる人
- 認知症の人で、医療や介護サービスにつながってない、または中断している人
- 認知症の症状の対応に困っている人
- 内容
本人や家族に対し、介護サービスの導入や医療機関への受診勧奨など、おおむね6カ月の集中的な支援を行います。その後は、ケアマネジャーなどへ引き継ぎを行い、経過状況を確認します。
認知症を正しく理解する場に オレンジカフェの取り組み
「家族が認知症になった」「自分が認知症になったらどうしよう」などの悩みや不安を打ち明けられる、「オレンジカフェ」の取り組みがされています。「写真」
認知症について正しい知識を
認知症は、名称は広く知られていますが、実際にどのような症状があるのかなど、正しい知識がまだまだ浸透していません。そのような中で、自分や家族が認知症になった場合、さまざまな不安や悩みが出てきます。
オレンジカフェは、そんな認知症に関わる不安や悩みを気兼ねなく話せる場です。メンバーは、認知症の人や、その家族、医療・介護の専門職、今後のために認知症について勉強をしたい人などがおり、認知症のことや、認知症の介護について気軽に語り合っています。
代表の薄田勝美さんは「認知症の人の家族もそうでない人も、まずは認知症について学び、正しく理解してほしいです。その上で、オレンジカフェで得た知識をどんどん広めてほしいですね。」と活動について語ってくれました。
メンバーの一人は「長年一人で家族を介護してきましたたが、ここで自分の現状を話したことで気持ちが楽になりました」と話します。オレンジカフェが、実際に認知症の人の家族の皆さんの癒しの場となっています。
オレンジカフェでは、認知症という共通のテーマでさまざまな立場の人が集まり、楽しみながら認知症への理解を深めています。皆さんも、一度参加してみませんか。
オレンジカフェに参加してみませんか
オレンジカフェの内容や申し込み方法などの詳細は、各施設にお問い合わせください。
ふれあいセンター広丘(電話0263-51-5070)
- 開催日
- 毎月第1土曜日
- 毎月第3木曜日
- 時間 午後2時から4時
ふれあいセンター洗馬(電話0263-51-5337)
- 開催日 毎月第4金曜日
- 時間 午前10時から正午
※参加費は、いずれも100円です。
地域で、職場で、学校で 認知症サポーター養成講座を開催しませんか
問い合わせ 長寿課高齢支援係 直通電話0263-54-3333
認知症サポーターとは、認知症を正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者です。認知症サポーター養成講座は、要望に応じて開催しています。
- 研修時間 1から2時間程度
- 受講料 無料
※電話でお申し込みください。
「写真」受講者には、サポーターの証となるオレンジリングを差し上げます。
認知症の人と家族の会 かいご・しおじりに参加してみませんか
問い合わせ 中央地域包括支援センター 電話0263-52-0280 内線2131
認知症についての正しい知識を学ぶ場として、また、情報交換や、家族の憩いの場となるような会です。
- 対象 認知症の家族がいる人、または認知症に関心がある人など
- 活動内容
- 定例会(奇数月の第3木曜日)
- 講演会への参加など
- 会費 年間1,000円
※詳細はお問い合わせください。
認知症の人の気持ちに寄り添いましょう 認知症の人に見られる行動とその対処法
認知症の人のプライドや感情を傷つけないように、気持ちに寄り添い、穏やかに接することが大切です。認知症の人に見られる行動の一例とその対処法をご紹介します。
お金がないと騒ぐ
判断力が低下しているため、財布などが見つからないと誰かに盗まれたと思い込むことがあります。
そんな時は
見つけた場所にうまく誘導して、本人に発見してもらいましょう。本人以外の人が見つけると、その人が盗んだと非難される場合があります。
現実にないものを見たと訴える
認知症による幻視や幻聴は、まるでそこにあるかのように現実味がある場合が多いといわれています。
そんな時は
本人には実際に見えたり聞こえたりしているので、否定せず話を合わせて、本人を安心させてあげましょう。
食事などを拒む
食べ方が分からなくなっていたり、入れ歯が合わず、口の中が痛くて食べられなかったりして、食事などを拒む場合があります。
そんな時は
その場では無理強いをせずに、本人が落ち着いたところで再び声掛けをしてみましょう。理由を本人に聞いてみるのも良いです。
認知症で困ったらまずはご相談を
中央地域包括支援センター(電話0263-52-0280 内線2131)
- 住所 大門六番町4番6号
北部地域包括支援センター(電話0263-88-3314)
- 住所 広丘野村2136番地
ふれあいセンター広丘(電話0263-51-5070)
- 住所 広丘堅石2150番地1
さまざまな世代と交流を深め、正しい理解を
デイサービスセンターつくしの郷 看護師 藤森 加代子さん「写真」
認知症の人にとって、自宅外での活動は効果的です。家で感情を抑えきれない人でも、施設では比較的穏やかに過ごしている人もいます。つくしの郷では、ボランティアの人たちや、地元の中学生に施設を訪問していただいています。認知症の人たちもそれを楽しみにしており、中には、以前よりも笑顔が増えた人もいます。さまざまな人とふれあうことで、認知症の人たちにとって良い刺激になるのでょう。
今後はボランティアのほか、子ども、特に中学生や高校生ともふれあえる機会を多く持てたらいいなと考えています。それに加えて、地域のイベントにも関わっていきたいですね。さまざまな交流を通して認知症への正しい理解を深められれば、地域と認知症の人の関わり方も変わっていくと思います。
「写真」つくしの郷では、地域の文化祭に出展もしています。
認知症講演会のご案内 認知症について学びませんか
「もしかして認知症?」「もしも自分や家族が認知症になったらどうしよう?」などの悩みや不安を解決するため、一緒に認知症について学びませんか。
- 日時 11月15日木曜日 午後1時半から3時半(午後1時開場)
- 場所 レザンホール中ホール
- 時間、内容および講師
- 第1部(午後1時半から3時)
講演「認知症になっても、安心して地域で暮らすために」・講師 中村 祐希さん(認知症看護認定看護師) - 第2部(午後3時から3時半)
公益社団法人認知症の人と家族の会会員の皆さんによる体験談
※申し込み、参加費は不要です。
※第1部の途中で休憩があります。
- 第1部(午後1時半から3時)