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広報しおじり平成30年10月号テキスト版2ページから11ページ

ページID:0001783 更新日:2021年6月28日更新 印刷ページ表示

広報しおじり2018年10月号テキスト版2ページから11ページがご覧になれます。

特集 自分らしい生き方を 障がい者の社会参加

 生き方は人それぞれ。それは障がいがある人たちも同じです。今回は、障がいがある人たちがどのように暮らしているのか、どのように社会に関わっているのか、その一部をご紹介します。「写真」

自立した生活への第一歩を踏み出す

 「いらっしゃいませ」。ハキハキとお客さんにあいさつをする、ふれあいセンター広丘の「すみれ食堂」で働く上條康司さん(写真中央)。軽度の知的障がいがある上條さんは、お茶くみや料理の配膳、机の清掃など、混雑した中でもテキパキと仕事をこなします。「最初はいろいろなことに戸惑って仕事が上手くいきませんでした。けれど、少しずつ慣れてお客さんにも信頼されるようになって、仕事が楽しいです」とやりがいを話してくれました。
 上條さんをサポートしている就労支援事業所みどりが丘職員の水野さんは「すみれ食堂で働き始めた頃は、慣れない環境ということもあっておとなしかったですが、次第に自分から話すようになり、笑顔も増えていきました。仕事にも慣れ、今では頼りになる存在ですね」と語ります。
 さまざまな人との交流やつながを持つことは、社会参加への気持ちが向上し、自立した生活への第一歩となります。

就労意欲のある障がい者が多数

 30年4月現在、市内で障害者手帳を持っている人は、3799人います。29年に本市が行ったアンケート(65歳未満の500人が対象、有効回答数221人)によると、現在、仕事をして収入を得ている人は41.4%となっています(福祉施設や作業所などで収入を得ている人は除く)。また、収入を得ていない人の39%が「仕事をしたい」、45.7%が「仕事をしたくてもできない」と回答しており、就労意欲を持った人が多くいることが分かります。(左図参照)

障がい者に暮らしやすい環境を目指して

 近年、障がい者の日常生活や雇用などに一定の配慮を求める法律や制度が整備されています。30年4月からは、障がい者の法定雇用率に精神障がい者も含まれるようになり、民間企業は2.0%から2月2日%に、国・地方公共団体などが2月3日%から2月5日%に、教育委員会が2月2日%から2月4日%にそれぞれ引き上げられました。それに加え、28年に施行された障害者差別解消法により、障がい者が情報を入手しやすくするため手話や要約筆記などのサービスを提供したり、バリアフリー設備を整備したりといった合理的な配慮が社会に求められるなど、障がい者が暮らしやすい環境の整備を目指しています。
 しかし、全国的に法定雇用率が未達成の企業・団体があることや、障がい者の就労に抵抗があること、また、企業と障がい者の雇用に対する認識のズレなど、課題は多くあります。市内でも、障がい者雇用に関して企業・障がい者それぞれに同様の課題があることから、今後も雇用の促進に向けて、さまざまな施策・支援を展開していく必要があります。

それぞれの特性を生かして

 障がいがある人たちのそれぞれの特性を理解し支援することで、個々が持っている能力が発揮されます。
 今回は、障がいがある人たちがどのような仕事をして、どのようにして社会と関わっているのかをご紹介します。

図 収入を得ていない障がい者の今後の就労意欲「円グラフ」

仕事をしたい 39.0%
仕事をしたくてもできない 45.7%
仕事をしたくない 15.3%
塩尻市障がい者福祉プラン「障がい者福祉の現状と課題」より(回答数105人)

障害者手帳の種類と等級「写真」

 身体・知的・精神の3種類の手帳があり、それぞれに障がいの重さを示す等級があります。手帳はサービスを受けるためのものですが、障がい者によって障がいの特性が異なることから、その人に合わせた支援を行っています。

悩みや不安、誰かに相談できていますか?

 松本圏域障害者総合相談支援センター「ボイス」では、「福祉サービスについて知りたい」「仕事をしたい」「自分のことをよく分かってほしい」など、さまざまな悩み、不安の相談に応じています。電話相談や自宅訪問など希望に沿った方法で相談を受け付けますので、お気軽にご相談ください。

  • 相談時間 月から金曜日 午前9時から午後5時(祝日および年末年始は除く)
  • 場所 市保健福祉センター1階
  • お問い合わせ先
    • 電話 0263-51-5353
    • ファクス 0263-51-5363
    • メール voice5353@ca.wakwak.com
      ※申し込み、相談料は不要です。

障がいがある人たちが力を発揮できる支援・配慮を

就労支援事業所みどりが丘 所長 高島 まつみさん「写真」
 障がいがある人たちは、それぞれに得意なことや性格が異なります。例えば、作業を反復することで、要求された仕事をその通り行える人や、心の調子に波があるものの、仕事の質は高い水準で行える人などがいます。
 それぞれの特性や性格に合わせて、その人が持っている能力を発揮できるように支援をしていければ、障がいがある人たちの社会参加につなげることができると思います。
 現在、市内の就労支援施設では、さまざまな作業を受託しています。作業を通して、就労支援施設を利用する障がいがある人たちのできることを増やし、新しい可能性を見つけられるよう後押ししていきたいですね。

仕事を楽しく、一生懸命に

 市保健福祉センター内にある「喫茶マシュマロ」では、障がいがある人たちが接客などを行っています。「写真」

 市保健福祉センターの入り口右手にある「喫茶マシュマロ」は、NPO法人マシュマロが運営している喫茶店です。店員は5人で、知的障がいがある人たち4人と、サポートをする職員1人が勤務しています。
 主な仕事は接客や商品の販売、注文された料理の準備・提供です。喫茶マシュマロで長年接客をしている和田久子さんは、サポート職員の指示のもと、コーヒーを慣れた手つきで入れます。一緒に働いている上原大輝さんも、飲み物の下皿やお菓子、スプーンなどを準備。出来上がると二人でお客さんに提供します。喫茶マシュマロは、常連のお客さんも多く、仲良く会話をすることもあります。
 「仕事が楽しい。喫茶店も楽しいけど、お菓子を焼いたり、外仕事も楽しい」と上原さん。マシュマロ職員の赤津さんは「接客が苦手な人もいるけれど、今働いている4人は、自分からやりたいと言って接客をしています。人と関わるのが好きな人もいますが、中には、元々おとなしく恥ずかしがり屋な人もいます。しかし、ここでの接客を通して、人と目を合わせて話すようになったり、表情も明るくなったりと本人の自信につながっていますね」と活動の効果を語ります。
 皆さんも、市役所にお越しの際は、ぜひ喫茶マシュマロに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

営業時間

 平日午前10時から午後4時

「写真」落ち着いた雰囲気の店内。
「写真」店員の4人は、テキパキと注文されたものを運びます。
「写真」10月からは、ハロウィーン仕様の焼き菓子も販売します。
「写真」カメラに笑顔を向けてくれる山本さん(左)と南山さん(右)。
「写真」1 上原さん(左)と和田さん(右)は、10年以上働いているベテラン。お客さんからの信頼も厚いです。
「写真」2 南山さん(左)と山本さん(右)。真剣な表情で、一つひとつ丁寧に仕事をこなします。
「写真」3 お菓子や日用雑貨を作って販売しています。ぜひ一度ご覧ください。
「写真」4 常連をはじめ、お客さんと会話をすることもあります。
「写真」5 ゆっくり丁寧にコーヒーを入れる和田さん。

就労支援施設ではさまざまなものを販売しています

 市内にある就労支援施設では、焼き菓子や日用雑貨などを作り、販売しています。

焼き菓子(そよ風の家)「写真」

 そよ風の家や、市内のイベントなどで販売されています。6、7種類の焼き菓子が作られており、そよ風の家の障がい者が計量や成型、袋詰めなどをしています。

コンニャク(すみれの丘)「写真」

 長野県産のコンニャク芋を使用して作っています。プレーンや青のりなどの味付けコンニャクを製造しています。

かごバッグ(そら)「写真」

 手作りの手編みかばん。大小2種類の大きさがあります。現在は、市内の就労支援施設が行う販売会でのみ販売しています。

手提げ袋(のむらダイム)「写真」

 布の裁断や縫合を、障がい者自身が行っている手作りの袋です。ものによって、ポケットを付けたり、ファスナーを付けたりしています。
※製品の詳細については、各施設(7ページ記載)へお問い合わせください。

販売会を行っています しおじりふくふくマーケット

 夏・冬の年2回、市内の就労支援施設の利用者による販売会を行っています。8月23日木曜日には、広丘野村にあるコミュニティマーケットプレイスGaza(ギャザ)で開催し、買い物に来た皆さんでにぎわいました。

自分のペースでできることを少しずつ

 障がいがある人たちが利用している就労支援施設とは、どのような場所なのでしょうか。市内にある就労支援施設を取材しました。

就労支援施設での作業は、受託や自主事業などさまざま

 市内には、障がい者の就労支援施設が6カ所あり、すべてが「就労継続支援(B型)」(以下就労B)に該当します(障がい者の就労形態は7ページを参照)。就労Bでは、障がい者が一般就労を目指したり、自身の生活リズムを整えたりすることなどを目的に、企業や団体などから受託した作業のほか、焼き菓子や小物などの製作・販売といった、施設それぞれの特色を生かした自主事業を行っています。
 作業内容は就労支援施設によってさまざまで、商品の箱の組み立てや、企業で使う道具の製作、施設の清掃など、1日に複数の作業を行っています。

日々の暮らしからやりがいを

 就労支援施設のすみれの丘では、取材日に、箱折りを行っていました。黙々と作業する人や、周りに声を掛けながら作業をする人など、作業の様子は人それぞれ。すみれの丘の職員は「自分に役割があることでやりがいを感じる人や、1カ月の給料をやりがいに感じる人など、その感じ方や生きがいは人それぞれです。就労支援施設での暮らしが生活にハリを与え、家庭での姿に良い影響がある人もいますね」と語ります。
 また、障がい者の抱えている課題はさまざまで、時には、体調を見ながら職員の支援を受けつつ過ごしています。そよ風の家に通う玉舎さんは、「ここは自分の居場所の一つ。私は自宅だといろいろなことを気にしてしまい、気が休まりません。施設では、作業をしたり、体調が悪ければ別室で休んだりと自分のペースで仕事ができるのが良いですね」と話します。
 それぞれが自分のペースでできることをやっていく、そんな姿が見られました。

「写真」すみれの丘の作業風景。この日は、箱折りと民間企業から依頼された作業を行っていました。時折声を掛け合うなど、和やかな雰囲気で作業をしていました。
「写真」「そら」では、介護施設内の食堂や廊下の清掃を行っています。モップがけや台拭きなど、部屋の隅々まできれいにしていました。
「写真」そよ風の家では、箱折りなど企業から受託した作業を中心に行っています。また、名刺も作成しています。

障がい者の就労形態

 障がい者の就労形態は、民間企業や団体などに直接雇用されて働く「一般就労」のほかに、福祉サービスの枠組みの中で仕事や作業、訓練などを行う「福祉就労」があります。福祉就労には「就労移行支援」「就労継続支援(A型)」「就労継続支援(B型)」があり、それぞれ利用者に合わせた支援を行っています。

  • 福祉就労の種類
    • 就労移行支援 一般就労を目指して、職業訓練や就職に向けたサポートなどの支援を行っています。
    • 就労継続支援(A型) 雇用契約を結んだ上で、受託作業や自主製品の製作などを行っています。
    • 就労継続支援(B型) 雇用契約を結ばず、受託した作業や自主製品の製作などを行っています。
  • 参考 市内在住者の就労支援施設利用者数(人)
    就労移行支援 27年度11人 28年度10人 29年度16人
    就労継続支援(A型) 27年度19人 28年度21人 29年度23人
    就労継続支援(B型) 27年度144人 28年度164人 29年度189人

さまざまな作業を承ります

 就労支援施設では、企業の皆さんからの仕事の依頼や、就労支援施設の自主製品を置かせていただける店舗の受け付けなど、さまざまな依頼をお待ちしています。気軽に下記施設へお問い合わせください。(主な作業内容は一例)
施設一覧(市外局番0263は省略)

就労支援事業所エフォートマシュマロ(電話54-3523)
  • 住所 大門71―1
  • 主な作業内容
    自主製品(日用雑貨、シイタケ、焼き菓子など)の製作・販売 など
就労支援事業所のむらダイム(電話54-6752)
  • 住所 広丘野村1674-11
  • 主な作業内容
    自主製品(日用雑貨、焼き菓子など)の製作・販売、施設の清掃、農作業 など
就労支援事業所すみれの丘(電話87-4012)
  • 住所 広丘野村1788-86
  • 主な作業内容
    自主製品(日用雑貨、コンニャクなど)の製作・販売、箱折り、ポスティング、古紙回収 など
就労支援事業所そよ風の家(電話54-9510)
  • 住所 広丘野村1788-433
  • 主な作業内容
    自主製品(焼き菓子、日用雑貨など)の製作・販売、名刺作成、箱折り、施設の清掃 など
就労センターそら(電話50-6517)
  • 住所 大門七番町7-1
  • 主な作業内容
    施設の清掃、自主製品(日用雑貨など)の製作・販売、製品のラベル貼り など
就労支援事業所みどりが丘(電話31-0960)
  • 住所 広丘堅石2145-388
  • 主な作業内容
    施設の清掃、古紙回収、ステッカー作成 など

一人の社員として自覚を持って

 障がいがある人の中には、一般企業へ就職して働いている人もいます。どのような環境で、どのような思いで働いているのでしょうか。「写真」

民間企業の障がい者雇用は年々増加

 民間企業の障がい者の法定雇用率は、従業員数50人以上の企業で総従業員数の2月2日%と定められており、障がい者の雇用者数・実雇用率は、年々増加しています(9ページ図1を参照)。29年に厚生労働省職業安定局がまとめた「障害者雇用の現状等」によると、民間企業に障がい者が定着できている理由として「作業を遂行する能力がある」や「仕事に対する意欲がある」などが挙げられています。(9ページ図2を参照)
 しかし、実雇用率は全体として増加していますが、従業員数50人以上300人未満の中小企業では伸び悩んでいる現状もあります。今回は、障がい者雇用の法定雇用率を達成している企業の一つ、三全精工株式会社を取材しました。

時間で区切って作業を進行

 三全精工は、自動車関連部品を中心に製造している市内企業です。平成20年に2人が障がい者雇用枠で入社しており、現在も働いています。実際にどのような業務をしているのでしょうか。
 三全精工で働く倉口誠さん。軽度の知的障がいがあります。主な仕事内容は、完成した製品を梱包するための箱の準備や、製品の洗浄、運搬です。製造業の製品の洗浄は、金属で金属を加工するため、取引先に製品を渡すには油を取り除く必要があり、温度や溶剤濃度を管理しながら行う大切な仕事です。午前は箱の準備、午後は製品の洗浄といった具合に、時間で区切って各作業を進めています。

特別扱いではなく必要な配慮を

 「最初は覚えることが多くて大変だったけど、今では慣れてきて仕事が好きになりました。周りの社員の皆さんも優しいです」と仕事について語る倉口さん。明るい性格で、同年代の社員とも仲が良いそうです。
 倉口さんの上司の笹本さんは「一緒に仕事をする前は、いろいろと不安がありました。しかし、一緒に働いてみると、真面目で一生懸命働いています。また、知的障がいがある人には、丁寧に仕事の説明をすることが大切。そうすることで、工程に従って仕事ができます」と話していました。
 また、倉口さんの特性として、時々集中力が散漫になってしまうこともあります。しかし、だからといって特別扱いはしません。倉口さんの集中力を持続させるための配慮はしますが、特別扱いはせず、一人の社会人として倉口さんに接しています。倉口さんもそれを受け止め、熱心に業務に励んでいました。

「写真」「力仕事は大変」と倉口さん。一つひとつ丁寧にこなしていきます。
「写真」作業工程のチェックシートで作業の進捗を記録する倉口さん。

社内でのコミュニケーションと職場の理解が大切

三全精工株式会社 総務課 上嶋 普信(ひろのぶ)さん「写真」
 現在、三全精工に勤めている障がい者雇用枠の社員は、平成20年に入社しています。本人の努力と、社長から管理職、社員までのコミュニケーションが取れていること、職場の理解があることで会社に定着できたのだと思います。
 民間企業がなかなか採用に踏み切れない理由は、一つは本人の理解力に対しての不安です。例えば、工場での作業は常に危険が付きまといます。その中で安全を考えて作業できるのかはとても重要です。もう一つは、障がい者という先入観からの抵抗感があるのではないでしょうか。必要な配慮をすることで会社の戦力になれる人たちはいます。企業としてこのハードルを越えることが課題ですね。

図1 民間企業の雇用障害者数・実雇用率の推移

身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者数
25年5,220.0人 26年5,447.5人 27年5,603.0人 28年5,804.0人 29年6,075.5人

  • 長野県平均
    25年1.88% 26年1.96% 27年1.98% 28年2月02日% 29年2月06日%
  • 全国平均
    25年1.76% 26年1.82% 27年1.88% 28年1.97% 29年1.92%
    引用:長野労働局「平成29年長野県内の『障害者雇用状況』の集計結果」

図2 中小企業で雇用した障害者が定着している理由

経営トップの方針による7月3日%
現場の従業員の理解があるから17.4%
建物のバリアフリーなど物理的な環境を整備したいから0.2%
障害状況に応じて作業内容や作業手順を改善したから6月3日%
労働条件の調整や健康管理に対する配慮を行ったから1月9日%
社内に支援者を配置したいから0.7%
作業を遂行する能力があるから19.5%
仕事に対する意欲があるから33.7%
遅刻や欠勤がないから0.5%
他の従業員とのコミュニケーションが良いから3月4日%
家族との協力関係を構築したいから0.0%
ジョブコーチなど外部の支援機関を活用したいから0.5%
キャリア形成の仕組みがあるから0.2%
社員教育が充実しているから0.0%
福利厚生が充実しているから0.7%
その他3月4日%
厚生労働省職業安定局『障害者雇用の現状等』から一部引用

「働きたい」「働き続けたい」をサポートします

 就労についてのご相談を、専門の相談員が受け付けています。個人情報や相談内容については秘密を厳守します。

障害者就業・生活支援センター「らいと」

 これから一般企業で働きたい人や、実際に働いている人の、仕事内容や生活面などのお悩みについて、さまざまな支援を行っています。障がいの種類や障害者手帳の有無は問いませんので、お気軽にご相談ください。

  • 相談日時 月から金曜日および第2土曜日 午前9時から午後5時
  • 場所 〒390-0817 松本市巾上11-20
  • 利用料 無料
    ※相談時間を確保するため、事前に電話(0263-88-5146)、ファクス(0263-88-5147)またはメール(center-l@support-light.com)でお申し込みください。

地域で働く新たなカタチ

 障がいがある人の働く場所はさまざま。今、働く場所の一つとして農業が注目されており、「農福連携」の動きが高まっています。「写真」

担い手不足と雇用促進の課題解決を

 いま、障がい者の働く場所の一つとして注目されているのが農業です。担い手や人手不足に悩む農業と、働く場所や低賃金に悩む福祉を結ぶ「農福連携」の動きがここ数年で全国的な広がりを見せています。
 松本市や山形村など、近隣の地域では農福連携の取り組みが始まっていますが、市内では検証の段階です。今年度、市内の農家で障がいがある人たちが作業をしました。担い手不足の解消につながる第一歩にはなったものの、課題もあり、事業開始にはまだまだ研究が必要です。
 一方、市内にある就労支援事業所「のむらダイム」では、29年度から近隣の市町村の農家の収穫を受託しています。この日は、山形村で加工用のトマトを収穫。施設の職員は「農業に携わることで、今まで外での作業が苦手だった施設利用者が、収穫を楽しく行ったり、良い運動になったりと良い影響が出ていますね。今後、市内でも農福連携の動きが高まってほしいです」と語るなど、作業面以外に、障がいがある本人にも良い効果をもたらすようです。

農業と福祉、お互いにメリットが生まれる仕組みづくりが必要

就労支援事業所みどりが丘 古畑 直樹さん「写真」
 農福連携は、単に農業の人材不足を補う目的でスタートするのではなく、福祉的なサポートを必要としている人たちの経済的な自立を促すこと、生産者と消費者の共生を支える視点も大切です。
 今年度、市内の農家さんの畑をお借りして、実験的に農福連携を行い、多くの課題が見えてきました。例えば、今回は障がいがある人たちの体力や就労支援施設の勤務時間などを考慮し、昼間の短時間の作業としましたが、複数の就労支援施設が参加して、作業時間を確保し収穫量を増やすなどの取り組みが必要です。農業と福祉、お互いにメリットがある仕組みの構築が大切ですね。

「写真」自分らしく安心して暮らし続けることができるまちを目指して

編集後記

 これまで障がい福祉との関わりが少なかった私にとって、障がい福祉は特別なものだと思っていました。しかし、取材を通して、「特別なもの」と感じている視点が障がいに対する偏見や固定観念を生んでいるのかもしれないと感じました。それぞれに必要な配慮はあるものの、就労支援施設の職員さんもそこで活動している障がいがある人たちも、当たり前の日常を生きています。
 塩尻市の福祉が目指す「自分らしく安心して暮らし続けることができるまち」の実現には、行政や地域、市民の皆さんが障がいがある人たちの暮らしを理解し、互いに支え合う関係を構築していくことが大切だと感じました。
 今回の取材に、快く応じてくださった関係者の皆さんに、改めて御礼申し上げます。